矯正中にスポーツをするときに気をつけるポイントを教えてください。

Question 矯正中にスポーツをするときに気をつけるポイントを教えてください。

Answer 口元にボールや打撃を受けて矯正装置が壊れないように気をつけてください。

 スポーツ選手にとっても歯ならびは重要です。世界の一流アスリートの多くは矯正治療をして歯並びを治しています。噛み合わせを治すことで、体のバランスがとれるうえ力が入るからです。テニスボールを打つときなど、力を入れるときは知らず知らず奥歯に力が入るもの。この噛み合わせが悪ければ歯に負担がかかり、歯の寿命を短くすることにもなりかねません。

陸上のカール・ルイス、ゴルフのタイガー・ウッズ、テニスの杉山愛、スケートの岡崎朋美などスポーツのジャンルを問わず矯正治療経験者はいっぱいです。矯正経験の有無は分かりませんが、テニスのシャラポワの歯ならびも取ってもきれい!「一流アスリート=歯並びがいい」という公式は世界共通のようです。残念ながら、日本においてはこの公式は当てはまらないようです。いまだ「歯並びの重要性」に気がついてくれないスポーツ関係者にがっかり。日本が「歯並び後進国」と呼ばれるゆえんでしょう。

 さて、矯正中にスポーツをしてもまったく問題ありません。でも、サッカー、バレー、野球などのボールが口元を直撃する可能性があるスポ-ツはご用心、衝撃で装置が壊れたり、まれに口の中が切れたりすることもありますのでマウスガードを装着しておくと怪我の予防には効果があります。ラグビーのように激しいスポーツにはマウスガードを必ず装着するとよいでしょう。

 もっとも注意が必要なスポーツはボクシングなどの格闘技。装置で口の中が切れてしまうのはマウスガードを装着しても避けられないかもしれません。

歯がなくなったときの治療法にブリッジという方法があります。

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)
歯が抜けてなくなってしまった場合は不都合なことがたくさんあります。
まず見た目が悪い。見える場所の歯が抜けていると非常に見た目が悪くその人の顔の印象も悪くなってしまいます。
次に、食べずらくなります。抜けた分だけ咬みにくくなり食事が困ります。
そして発音も悪くなります。特に前歯の場合は息が漏れるのでうまく発音することができません。発音がうまくできないと周りの人に話が通じにくくなります。


上の写真は前歯が2本なくなっています。そのなくなった歯を作るために「ブリッジ」という方法で歯を作成していきます。
ブリッジはなくなってしまった歯の両脇の歯を土台として橋をかけるように歯を入れます。その場合、両脇の歯はむし歯があろうとなかろうと歯を作るために無条件で削ることになります。これがブリッジを行ううえで一番のデメリットです。
上の写真は3本を土台として5本分の歯をブリッジで作っていくために、3本の土台を削り終わったところの写真です。


ブリッジを装着すると、パッと見た感じは歯が無いようには見えませんが、3本の土台の歯で5本分の歯を支えているので、3本の土台の歯には大きな負担がのしかかってきます。これもブリッジのデメリットですが、歯が無くなってしまった代償としては大きなものとなってしまいます。
そのため自分の歯を悪くすることなく使っていくことは本当に大切なことです。
そのためにはやはり予防していくしかありません。
(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

矯正装置をつけている間は、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

Question 矯正装置をつけている間は、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

Answer お口の中を清潔に保ち、硬い食べ物はなるべく避けましょう。

矯正装置は自分で取り外しのできないものがほとんどで、治療開始から終了までの1~2年間、ずっとお口の中に入りっぱなしになります。しかもとても複雑なつくりですから、装置装着中はとにかくお口の清掃状態に気を配ることが重要です。

 「食べたらみがく」というのは当たり前のことですが、装置がジャマして上手にみがくのが難しいのです。矯正治療中は歯ブラシだけでなく、補助歯ブラシやデンタルフロスなどを駆使して、時間をかけてみがくがひつようです。

 また、毎食後完璧にみがくのは、時間的制約のある現代人には大変です。時間のない食後は簡単でもかまいません。少なくとも一日一度は時間をかけて、ていねいにみがきましょう。

 きちんとみがかないと、むし歯や歯周病になってしまいます。何のために矯正治療をしているのかを考えて、とにかく口腔清掃に注意してください。フッ素塗布や洗口剤の利用を補助的に行うのも良い方法です。

 矯正装置は、強力に歯の表面に付いているわけではなく、ある程度の力が加わると外れるようになっています。

 治療中はナッツ類、おせんべい、フランスパンなど硬い食べ物をかじるのは避けましょう。硬いものは小さくちぎって、奥歯でかむようにします。そうしないと、装置が壊れる可能性があります。

 チューインガムは、装置に慣れてきたら、100%キシリトール入りなら食べても大丈夫です。このガムはむし歯菌を抑制することでも知られていますので、ときには積極的にかんでもらうこともあります。

子供の歯並びをよくするにはどんなことに気をつけたらよいか?

Question 子供のかみ合わせや歯並びをよくするには、小さいころからどんなことに気をつけたらよいでしょうか?
Answer よくかむこと、むし歯にしないこと、悪習癖を止めることが重要です。
不正咬合の原因には先天性原因と後天性原因があります。遺伝などの先天性原因の不正咬合を防ぐのは難しいですが、後天性原因は日常生活に注意すればある程度予防できます。
① よくかむこと
乳歯は2歳半くらいに完成し、6歳臼歯が生えるころまでが一番成長する時期ですので、この時期によくかむことが重要です。乳歯間に隙間ができて、永久歯の場所が確保されます。
「一口ごとに30回以上かんで」などといわれますが、私は一口でいつもより3~5回分余分にかむことから始めてもらいます。そして毎食一品はかみごたえのある食材(ごぼう、レンコンなど何でも)を食べてもらうよう指導しています。
②むし歯にしないこと
乳歯をむし歯にして抜いてしまうと、永久歯のための隙間は減少してしまいます。乳歯間に十分な隙間が確保されれば、ガタガタの歯ならびは防げるはずです。むし歯になったらすぐに治してもらいましょう。
③悪習慣をやめること
指しゃぶり、異常嚥下癖、舌前突癖などは、よい歯ならびの妨げになります。また、ほおづえや寝る姿勢(うつぶせ寝や同じ向きで寝る)も顔面非対称の原因となります。口呼吸も歯ならびの大敵です。鼻炎や扁桃肥大などで、鼻呼吸ができない場合もありますので注意が必要です。
お子さまの歯みがきをときどきチェックするとともに、かみ合わせも常に注意してみましょう。受け口や出っ歯などはわかりやすい不正咬合です。乳歯がいつまでも残っていたり、かみ合わせが気になっている場合は矯正医に早めに相談してみましょう。

歯との付き合い方 思春期編

-思春期のむし歯に注意!-

日本では、むし歯を持っている人の割合が、八歳ですでに五〇パーセントを超え、一二歳では九十パーセントを超えるといわれています。なぜこんなに若いあいだに爆発的にむし歯が増加してしまうのでしょうか。
むし歯ができるには、四つの因子が原因となるといいます。それは、細菌(むし歯菌)・食べ物(糖)・時間・歯(むし歯になりやすさ)です。
永久歯になっても、やはりむし歯になりやすい状態が続きます。十二歳ごろ二〇歳ころにかけては、とくにむし歯になりやすいといわれています。このような時期の若いむし歯は進行が速く、できはじめて一年あまりで、相当深くまで進んでしまいます。
これはなぜかというと、永久歯が生えてきて、ものを噛んだり、あるいはしゃべっているあいだに、口の中の唾液が歯の表面にくっつくわけですが、この唾液の中には歯を硬くする成分が含まれており、歯(エナメル質)をさらに強くしていきます。そのために、年をとった人の歯は、むし歯に対して抵抗力が強くなるのです。
永久歯の場合でも、生えはじめてまもない歯の場合は、むし歯に対する十分な抵抗力をもっていませんから、むし歯にかかりやすいわけです。

-親知らずが生えてくる-

親知らずは一七、一八歳ころからはえはじめます。この親知らずは、必ずしもまっすぐに生えてくるとは限りません。親知らずが生える場所が狭ければ、横のほうに、あるいは斜めに生えてきてしまいます。
親知らずが生えてきたら、小さな歯ブラシを使って毛先届くようにして、鏡を見ながらよく磨くようにしましょう。いちばん奥にある歯なので、自分では磨いているつもりでも、歯ブラシが届いていない場合が少なくありません。そのために、親知らずはむし歯になる確率が高いのです。
生え方が正常で、歯ブラシが届くような親知らずであれば、必ずしも抜く必要はありません。
親知らずが顔を出すころに、歯の周りの歯肉に炎症が起こってきます。たとえば赤く腫れて痛みが出ることがあります。歯医者さんに行って、薬をつけてもらったり、症状によっては抗生物質を処方してもらってください。
そして、親知らずが、横に生えてしまったり、骨の中にもぐってしまった場合には、最終的には抜いたほうがよいでしょう。

-あごの骨と歯並びが完成-

乳歯が抜け変わりはじめてから、永久歯による噛み合わせが完成するまで、じつに十数年にわたって歯は生え変わり続けます。ヒトのあごの骨は男子では十六歳ころ、女子では十四歳ころまでに成長・発育が活発に続けられるのです。永久歯が生えそろうまでのこの長いあいだには、外から歯や歯列にいろいろな刺激が加わり、さらに遺伝的背景や先天的な因子も歯並びのよしあしに関わってきます。
十五歳で永久歯の歯列がほぼ完成し、さらに十八歳ころになると第三大臼歯が生えはじめるので、これらの歯の生え具合から歯並び全体のチェックを行い、必要な場合は矯正治療を受けることになります。ただ、前にも書きましたが、ちょうど年ごろですので、もう少し幼いころに対応するという考え方もあります。

歯との付き合い方 小児期編

-乳歯が生えそろった!-

乳歯が生えそろうころには、子供は不十分ながら少しずつ一人で歯を磨けるようになってくるでしょう。しかし、磨いていることと「磨けていること」は違いますから、家族がチェックしてあげる必要があります。
まだこのころは、仕上げ磨きをしてあげるとよいのです。とくに奥歯の溝や隣り合った歯の間、歯と歯ぐきの境目のあたりに磨き残しがないかどうか調べながら磨いてあげてください。なぜ歯を磨かなければならないのか、歯の大切さを離してあげてください。

-永久歯が生えてくる!-

永久歯で最初に生えてくるのは、第一大臼歯です。これは、六歳前後に生えてきますが、一生使う歯ですから、むし歯にならないように一生懸命磨くようにしてください。
永久歯があごの中からどんどん顔を出してくると、乳歯はグラグラしてきます。乳歯がグラグラしてきたら、自然に抜けるまでそのままにしておいてかまいません。
しかし、グラグラしているために食事やおやつを食べるときに痛がるようなら、歯医者さんに乳歯を抜いてもらいましょう。
また、乳歯がグラグラしながらも抜けず、永久歯が脇のほうから顔を出してくるような場合も、歯医者さんに診てもらったほうがよいでしょう。

-むし歯になりやすい時期、要注意!-

その後、乳歯は少しずつ永久歯に生えかわり、第二大臼歯まで生えそろうのは十三歳ころになります。永久歯の数は親知らずを含めて三十二本ですが、親知らずは生えない人もいます。
生えたての永久歯は、むし歯になりやすいものです。できれば、歯医者さんでむし歯を予防する処置を施してもらうとよいでしょう。それは「フッ素の塗布」です。
これは、フッ素入りのむし歯予防ジェルを塗布してしばらく待ち、終わったらブクブクうがいをして完了という、簡単で効果の高い方法です。年に三~四回くらい塗布すると、ある程度むし歯を防ぐことができるのです。
このころの子供の歯は、一度むし歯になるとたいへん進行が速く、できはじめたと思ったらずいぶん深かったということもあるほどです。口の大きさに合った、小さな歯ブラシを選んで、日ごろからていねいな歯磨きをする習慣をつけさせましょう。

-歯並びのよしあしはいつごろから?-

年齢に見合った正しい歯並びの基準は、三の倍数の年齢がおおよその目安になるといわれています。
三歳では乳歯列の完成、六歳では上と下の第一大臼歯が生えそろっていることが目安。九歳では乳歯と永久歯の両方が混ざった混合歯列気のまっただなかで、いわゆる「みにくいアヒルの子」といわれる歯並びの時期です。十二歳で上と下の第二大臼歯が生え始め、十五歳で永久歯列がほぼ完成します。
生え変わりの時期は、歯列の良し悪しが決定するまでにはまだ時間がありますが、両親や兄弟の歯並びから、本人の歯並びも良くないだろうと予測される場合は、この頃から小児科医、矯正歯科医に相談してみるのも良いでしょう。

前歯の差し歯ができるまで

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

-前歯がとれた-

この方は、今まで入っていた歯がいきなり取れてしまいました。
これは自分の歯の根が残っているところに作った歯をさしてあったものが、根のところがまたむし歯になってしまい差し歯が取れてしまった方の写真です。


差し歯の状態でも、根の部分がむし歯が進行したり、根にヒビがはいって折れたりして抜かないとダメになってしまうことも珍しくありません。
差し歯にしてある場合、神経を取ってあるのでむし歯が進行してもまったく痛みを感じないことがほとんどです。差し歯にしたからといって安心していると、後でこのようにいきなり歯が取れるという思わぬアクシデントが起こります。
今回のこの方の場合は、むし歯は進行していましたが何とか抜かずに根が使えそうだったので、根の再治療を行ってもう一度差し歯を作っていくこととしました。

-とりあえず仮歯-

歯がないままだと、
・話しにくい
・食べにくい
・見た目が悪い
などと日常生活にとって非常に困ります。しかし、すぐに歯は作れないので「仮歯」というものを作ってそれをつけて、一時的に対応します。


これも歯の根があまりにもむし歯が進行してボロボロになってしまうと、仮歯も作れないこともあります。そのため痛くないからといって放置しておくと、歯が取れても仮歯も入れられないといった、大変なことになることも多いです。その場合は、仮歯ができる状態まで治療してからでないと仮歯も入りません。
この方の場合は、仮歯を入れた状態で根の中の治療を数回の通院で行いました。根の治療が終了した段階で、やっと最終的な歯を作る過程に入っていきます。

-まずは土台を作ります-

根の治療が終了してから、歯を作る過程に入っていきます。
まずは歯を入れるための土台つくりです。土台には主に金属とプラスチックの2種類があります。この材質の選択は歯の根の状態や、保険治療と自費治療などの条件によって選択されます。

今回この方の場合には、プラスチックの素材を選択しました。その理由はプラスチックの土台の特徴は歯の根よりもプラスチックの土台のほうが折れやすいからです。
ここで、どうして折れやすい材質を選択するのかという疑問があると思います。それは、歯は毎日いろいろなものを噛んだり(時々食べ物以外も噛むことはありませんか?)、転んだりしてぶつけたりすることもあります。そのように毎日のように衝撃が歯に加わっているのですが、衝撃が続けていることは歯にとって大きな負荷がかかります。そうするといずれ歯の根は折れてしまうのですが、歯の根が折れた場合はもう使い物にならなくなってしまうので抜歯することとなります。抜歯してしまうとそこにはもう歯の根が残っていないので、差し歯を作ることはできず、ブリッジや入れ歯で歯を作るようになってしまいます。
こういった事態を少しでも回避するため、衝撃が持続的にかかったときに、歯の根ではなく土台のほうが先に折れてくれれば、歯の根は抜かずにもう一度使っていくことが可能な場合が多いのです。土台が壊れてくれれば、もう一度土台から作り直して差し歯にすることが可能だからです。自分の歯を少しでも長く使ってもらい、入れ歯などになることを少しでも回避できるようにとの理由でプラスチックの土台を今回は選択しました。

オールセラミック(金属を使わず瀬戸物だけで歯を作る方法)で歯を作る場合にも、金属の土台よりプラスチックの土台のほうが綺麗に仕上げることができます。

-土台の型を取って歯を作ります-

できあがった土台を綺麗に形を整えて、いよいよ最終的な差し歯の型を取っていきます。
型を取ったものから石膏で模型をおこして、その模型上で差し歯を作成していきます。

今回は金属でベースを作ったところに、セラミック製の歯を盛り上げて作っていったものです。
歯の色はあらかじめ方をとったときに色見本で歯の色を確認しておきます。この色見本も微妙な色合いの歯が多数あるためじっくりと見ていくと悩んでしまい選べなくなってしまうので、患者さんにはパッと見たときの第一印象で決めてもらうようにしています。そのほうが、じっくり選んだときよりも仕上がりの色合いがよく合います。

-口腔内で歯を合わせていきます-

模型上で作成した差し歯を、口の中でぴったり合うように微調整していきます。

土台の状態から、

作成した歯を差し込んで、

微調整をしてぴったり合おうようにしていきます。
土台の部分にかぶさるようにして歯が入ります。そのためこのようにして作った歯を、歯科では総称的に「クラウン(王冠)」といっています。
調整が終了した歯は「接着性セメント」という接着剤を使って土台にくつけていきます。
これで治療は完了です。
あとはむし歯が再発しないよう、丁寧な毎日の歯ブラシと定期的に歯科医院でメインテナンスを行っていけば長持ちします。

-治療前と治療後を比較してみてください-

差し歯ができるまでの最初の状態から終了するまでの一連の流れを掲載します。

前歯がとれちゃいました。

見た目の問題もあるので一時的に仮歯を作りました。

土台を作り、歯の根に立ち上げていきます。これも特殊な接着剤で歯の根に土台をつけていきます。

型を取って石膏模型をおこして、その上で歯を作って生きます。これは金属ベースの上にセラミックで歯を作っています。

模型上で作成した歯を仮合わせしています。土台のうえの差し込むようにしてはまります。

出来上がった歯を歯科専用の特殊な接着剤で装着して完了です。

口元の仕上がり具合です。自然な歯に見えていると思います。
(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

反対咬合【うけ口】の矯正治療 

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

矯正治療前

8歳 男児です。
上の前歯より下の前歯が前になってしまい、受け口状態になってしまっています。
まだ8歳であり、永久歯と乳歯が混ざっている混合歯列期です。
上下の前歯4本が生えたところで、前後逆になってしまい、受け口状態になってしまいました。
大人の歯にすべて生え変わるまで待っているより、今の状態を早期に改善したほうが良いので、矯正治療を行うこととなりました。

正面の写真です。

横から見た写真です。上の前歯より下の前歯が前になっているところが分かると思います。

上あごを下から見上げた状態です。前歯が凸凹して並んでいます。

下あごの写真です。

右斜め前から見た写真です。

左斜め前から見た写真です。
この状態を改善するために、矯正装置を取り付けて治療を開始しました。

矯正治療後

受け口状態(反対咬合)になっているものを矯正治療しました。

治療後の正面からの写真です。

横から見た写真です。上の前歯のほうが前になっています。

下から上あごを見た写真です。凸凹していたところは改善されています。

下顎の写真です。

右斜め前から見た写真です。上下の糸切り歯が生えてきています。

左斜め前から見た写真です。

治療前後の比較

治療前後の比較をしてみます

上が治療前の正面写真です。下が治療後の正面写真です。

上下の前歯の位置関係が改善されていることがよくわかると思います。
ここまでが生え変わりの時期の矯正の一次治療です。
今後奥歯に残っている乳歯が脱落して、永久歯が順次生えてきます。
生え変わった段階で歯並びに異常があれば、そこから矯正の二次治療が開始されます。

上が治療前、下が治療後の側面写真です。

上下の歯が完全に逆転しているのがよくわかると思います。
(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

矯正中の歯みがきでは、ふつうの歯みがきとはちがった注意が必要ですか?

Question
矯正中の歯みがきでは、ふつうの歯みがきとはちがった注意が必要ですか?
Answer
矯正中は歯みがきが難しい状況になるので、時間をかけて1本ずつみがくようにします。
一般的な矯正装置は、治療中は取り外しができず、歯に装着されたままになるので、一時的にせよ歯みがきが難しい状況になります。そこで、次の①~⑤に注意して、時間をかけて1本ずつみがくように指導しています。
① 最初、歯みがき剤はつけずにみがく。最初からつけると泡がでてさっぱりした気がするので、実際はみがけていなくてもみがいた気になってしまいます。最後に歯みがき剤をつけて仕上げみがきをするように。
② 手鏡を見ながらみがく。洗面台のような大きな鏡では、奥のほうがよく見えません。自分専用の手鏡を使うとよいでしょう。
③ 補助歯ブラシの使用。矯正装置は複雑な装置です。人によっては普通の歯ブラシだけでは上手にみがけない場合があります。細かいところは、インタースペースブラシなど小回りのきく小さなブラシを使います。
④ デンタルフロスの活用。歯と歯の間(隣接面)はなかなかみがけない場所。面倒でもフッ素つきのデンタルフロスを利用しましょう。
⑤ 洗口剤の利用。本人はちゃんとやっているつもりでも、残念ながらみがけていないこともあります。そこで、寝る前にフッ素含有の洗口剤でブクブクゆすぎましょう。
おすすめ歯ブラシは、小回りがきくようにヘッドは小さめで、毛の硬さはやわらかめ。硬いものは歯肉を傷めるので避けましょう。握り方は必ず鉛筆もちで、ていねいに1本ずつ磨いてください。矯正中の歯ブラシは装置のせいですぐ傷み、寿命がはやいのでこまめに取り替えましょう。

日本人のあごは大丈夫か? -日本人の未来の顔に不安-

(コラムより抜粋)
電車のなかで何気なく目にした中刷り広告の写真に、思わず息をのんだ。あるテレビ番組の宣伝ポスターで、いわゆるジャニーズ系のさわやかな青年2人が並んで写っている。その2人の〝あご〟のあまりの細さにびっくりしたのだ。面長な顔のアゴは尖って、まるでアイスクリームコーンのようだ。
昨今の若者の顔が何か頼りなげに見える、と前々から気にはなっていたが、その原因はこの細い尖ったあごにあったのか。がっしりとエラの張った大きな顔よりも、細くて長い〝小顔〟は今時のトレンドだし、見栄えもよいことは認める。しかし、日本人の顔は、このままの〝進化〟で果たしていいのだろうか。
「日本顔学会」というユニークな学会がある。そこに所属する研究者たちの予測によると、遠からず日本人の顔は、「あごが極端に尖った細い二等辺三角形」のようになるという。現代日本人の顔は、1万年以上前から日本列島に住んでいた縄文人と、2000年前に大陸から渡来した弥生人が混ざり合って形成されている。その変化の過程を延長していくと、〝未来の顔〟が出現する。その顔がかなり問題なのだ。
あごが細くなりすぎると、上下32本の歯が生えるスペースが確保できなくなる。そのため、歯並びがデコボコになったり、生えるべき場所に生えず、横に飛び出したりという不都合が起こってくる。また、下あごの骨が伸びすぎると、下の歯が前に出てしまう不正な咬合、いわゆる受け口も起こりやすい。
かくもあごが細くなってきたのは、やはり日常生活で、「ものをきちんと噛む」ということを、疎かにしてきたからだ。あごの骨も、体の他の骨と同様に、鍛えれば頑丈になる。今からでも遅くはない。日本人のあごの将来のためには、子どもたちには干物やたくわんなど硬い食物をバリバリと食べさせて、咀嚼筋を鍛えてあげたい。そうすれば、日本人のあごは少しは守られるだろう。