どうして虫歯は急に痛み出すのか?

急な虫歯の痛みを経験された方はいらっしゃいますか?
なんともなかった歯が急に痛み出すと、とても困ることもあったのだろうと思います。

なぜなんともなかった歯が急に痛み出したのでしょう?

それは急に虫歯が発生したのではなく、長い時間をかけて少しづつ歯を侵食されていたからです。
ただ、少しづつ浸食をされているときは全く自覚症状がないため、自分で虫歯の浸食に気が付くことはありません。
ある程度大きな穴になってきたときに、「冷たいものがしみる」「甘いものを食べると違和感がある」などの症状が出る時もありますが、気が付かないこともあります。

そのままにしておけば虫歯は徐々に浸食をしていきます。
そして、歯の神経の近くまで浸食されたときに、初めて痛みを感じます。
この痛みこそが「急に痛み出した!」痛みなのです。

虫歯があなたの知らぬ間に侵食していきいます。
しかも1本の歯だけでなく、複数の歯で同時進行で侵食をしていくことがほとんどです。
そうすると複数の歯が次々と急に痛み出してくるかもしれません。

自分の知らぬ間に歯が侵食されていることはよくあることなのです。

近年の顎関節治療について

写真 1 (9)

日本顎関節学会会員なってからすでに17,8年ほど経過します。
その間に、顎関節疾患の診断や治療については年々変化していってます。
20年前に盛んにおこなわれていた治療方法の中には、今ではごく限られた症例にのみ行われているものもあります。
逆に研究が進んだことによって、昔はあまり積極的に行われていなかった治療方法が、最近の治療の中心になりつつあるものもあります。
これらは世界中で行われている日々の研究成果によってより良いものへと変化をしていきます。

このような変化は専門学会に所属しながら、継続的に学術大会へ参加をしていくことによって実感してきました。

医療の基本ではありますが、まず適格な診査をして顎関節疾患の診断をしっかりと行うことが大切です。
患者さんが訴えている病態が、どのようなものが原因で発症しているのかを的確にとらえなければいけません。
それによって適切な治療方法を選択し、患者さんへ提示をして同意が得られることによって、治療が開始されます。

最近の学術大会ではその診断についてのディスカッションがメインテーマとされています。
日本では日本顎関節学会が定める顎関節診断基準がありますが、世界にはそのほかにもいくつかの診断基準があります。
同じ疾患を診断するのでおおよそ類似してはいますが、細かな部分のニュアンスなどの認識がアップグレードされていたりする場合がありますので、
そのあたりも学会でのテーマになっているものもあります。

顎関節疾患の診断が確定すればそれに準じて治療方法が選択されます。
治療方法についてもたくさんの研究がなされており、最初の病態に対して有効な治療方法やあまり有効ではない治療方法はどのようなものがどれくらいの割合であるかなどの結果が出されています。

我々臨床医は、患者さんの病態を的確に診断し、適切な治療方法をいくつか提示し、患者さんと相談をしながら治療方針を決めていきます。
顎関節疾患は慢性的な疾患がほとんどなため、長く上手に付き合っていく必要性があります。

矯正治療で歯並びをきれいにするメリットとは?

この写真は当クリニックにて矯正治療を行った治療前後の写真です。患者さんは10代女性です。
大門美咲初診時05
↑治療前 ↓治療後
大門美咲動処後05
矯正治療を行うとどんなメリットがあると思いますか?
まず、見た目が綺麗になることはどなたも感じることではないかと思います。
しかし、矯正治療のメリットはそれだけではありません。
1.歯並びがきれいになると毎日の歯のお掃除が格段にしやすくなります。
掃除がしやすくなり、歯の汚れが取れやすくなれば虫歯や歯周病になりにくくなります。
その結果、予防には非常に有利になり、年齢を重ねても虫歯や歯周病で自分の歯を失う可能性が少なくなるため、入歯やインプラントもやらなくて済むようになるかもしれません。
2.発音がしやすくなります
歯が無くなったり、すき間があいたりすると息が漏れるため発音がしにくくなります。
発音がしにくくなれば相手に通じにくくなり、コミュニケーションが難しくなるかもしれません。
ずっとコミュニケーションが苦手なまま過ごしていくのは辛いことでしょう。
3.咬みやすくなります。
歯並びが悪いと、しっかり噛んでいないため食物をよく噛み砕くことができず
美味しく食事をすることが難しくなったり、ほかの人より異常に食事をする時間が長くなったりとする可能性があります。
食事はいくつになっても楽しくしていきたいものです。
見た目を改善することも大切ですが、それ以外にも改善することによって人生をずっとグレードアップすることができます。
歯並びが悪いと将来、虫歯や歯周病になってその都度治療を繰り返し、高額な医療費が発生しつづけるかもしれません。
矯正治療をすることによって精神的にも金銭的にも有意義な人生を送ることができるかもしれません。
そのため矯正治療は先行投資として欧米では考えられています。
もちろん矯正治療は歯が健康であれば年齢は関係ありません。当クリニックでも50歳代の方が矯正治療を行っていたこともあります。
矯正治療は健康保険適応外の治療になりますが、当院では初回矯正相談は無料で行っております。初回相談でおおよその治療方針と費用についてご説明させてもらっております。その後、ご本人とご家族とじっくりと時間を取って話し合いをしていただき、矯正治療を行うか否かを決めていただいております。
この写真を使用することはご本人の保護者の方のご了解をいただいておりますので、ここで紹介をさせていただきました。

新しい総入れ歯で悩みが解消できました!

つらかった食事が楽しくなった!
ピーナッツを食べても痛くならない!
つぶがいを美味しく食べられた!
新しい入れ歯になってから食べられるようになり、少し体重が増えた!
歯医者が大嫌いだったけど、今は違う!
グラグラしていた歯では咬めなかったが、抜いて総入れ歯にしたほうが噛めるようになった!
新たなスタートラインに立って、人生が変わったようだ!

このすべてのコメントは新しい総入れ歯を作り変えた患者さんたちの生の声です。
今回の総入れ歯の勉強会には、患者さんたちが多数招かれており、その患者さんたちが直接お話になった生の声です。
今回の勉強会では招かれた患者さん一人一人にマイクを向けてインタビュー形式ではじまりました。

自分の歯が無くなって入れ歯を入れるようになってからは、みなさん、うまく食べられなかったり、会話がスムーズにできなかったり、精神的に負担が大きくなったり、痛い思いをしたりなどがあったとのことです。 このように従来の入れ歯を作る方法では十分に満足できる入れ歯にならない方も多数いらっしゃいます。

従来の方法は、型を取って入れ歯を完成させてから、その完成した入れ歯を調整をしていきます。この従来の方法でも十分に咬める入れ歯となる方もいらっしゃいますが、何回も調整を行ってもなかなかうまく合わずに苦労されている方もいらっしゃいます。
そのような方々に従来の方法とは違う方法で総入れ歯を作成して使い始めたことにより、入れ歯の不都合が解消され、最初に書いたような言葉を話されていました。

ここでいう従来と違う方法とは?
それは「治療用の入れ歯」を使う方法です。

最初に「治療用の入れ歯」を作成します。その治療用の入れ歯を使ってもらいながら、その入れ歯がぴったり合うまで調整を繰り返します。
調整箇所は入れ歯の形態や当たり具合、噛み合わせ、舌の感触、頬や唇の膨らみ具合など様々なところを調整していきます。
この時の調整はプラスチックの部分を削ったり、プラスチックをつけ足したり、柔らかいプラスチックを使用したり、咬み合わせを調整したりなど、じっくりと不都合な部位が無くなるまで調整を続けます。これを繰り返すと治療用の入れ歯が、自分の口に合うようにどんどん形が変わっていきます。

そしてそのような調整を繰り返すことにより、最終的にご自身の口にぴったりと合った入れ歯になっていきます。
調整中の仮の入れ歯 
上の写真が調整を繰り返していった「治療用の入れ歯」です。
調整用入れ歯の奥歯は平らになっており自分の咬みやすいところで自由に咬むことができます。
自由に咬むことができるので、治療用の入れ歯を使い続けていくうちに自分の咬みやすい場所がすり減ってきます。
そのすり減ってきたところを目安に最終的な噛み合わせを決めていきます。
毎日使いながらできたすり減ったくぼみは、使っている本人が噛みやすい場所なので、その咬みやすい場所を参考にして完成品の新しい入れ歯の噛み合わせを作ります。

治療用の入れ歯のピンク色の部分もプラスチックを削ったりつけ足したりしてお口の中にピタリ合うように調整をしてあります。
ここには柔らかいプラスチックを部分的に使って、あたりが無くなるように調整を加えていきます。
柔らかいプラスチックのため使用していくうちに、だんだんとお口にぴったりと合ってきます。

調整完了した入れ歯を元に作った、完成品の入れ歯

しかし、治療用の入れ歯のプラスチックを削ったりつけ足したりしている部分は汚れがたまりやすく、不衛生なためそのまま使い続けることはできません。
そこで、そのぴったりとなったその治療用の入れ歯の型を取って、新しく最終的な入れ歯を作成します。
つまり、調整を繰り返してぴったりとなった入れ歯のレプリカから最終的な入れ歯とするのです。

調整をしてぴったりと合った治療用の入れ歯から、そのままの形で新しい最終的な入れ歯を作成したものが上の写真です。
すでに治療用の入れ歯でぴったりと合っているので、完成品の入れ歯もほぼぴったりと合います。

このような方法によって作成された最終的な入れ歯は非常に使い心地がいいものです。

この入れ歯を使うことによって、最初に記載したような感想が出てくるのです。

今回の写真の入れ歯は当院で治療を行った「治療用の入れ歯」と、それを元に作成した最終的な入れ歯です。
この方は、昔の入れ歯では食べることに困っていましたが、この入れ歯に変えてからは色々なものが食べられるようになったとおっしゃっていました。

時間と手間がかかる方法ではありますが、最終的な入れ歯の使用感を考えると、合わない入れ歯を我慢して使っている間に心地い入れ歯を作ることができます。

日本顎関節学会で新たに学んできたこと

日本顎関節学会2013

 2013年7月20、21日は日本顎関節学会へ参加してきました。
 日本顎関節学会とは、国内外の顎関節に関する研究や診療を行っている専門家たちが集まって、研究成果の発表や情報の交換、討論などを行う場です。
 日本顎関節学会専門医である私(沼尾)も、学会へ参加をして新しい知識と技術を学んできました。

 トピックな話題としては顎関節症の診断基準について、ここ数年世界中でスタンダードになってきている診断基準についての議論がなされました。良い治療を行うためには適切な診断が絶対に必要です。そのため診断基準というのは良い治療を行うための第一歩となります。その診断基準をより良いものにしようと研究者や専門家たちがさまざまな意見を交換していました。このような議論が世界中で行われており、より良い診断基準作りが今後加速していくようです。

 顎や顔面の痛みの原因のひとつになっているだろうとされている食いしばりや歯軋りなどについても研究が進んでいます。そのような痛みの原因となる食いしばりや歯軋りは、無意識のときにやっていることも多いためなかなか気がつかないことが多く、いつになっても痛みの原因が解消されないことがあります。そんな無意識な食いしばりや歯軋りを辞めるような機械の研究も進んでおり、今後この研究は非常に楽しみなところだと感じました。

 通常、何もしていないときは上顎の歯と下顎の歯は離れていることが正常です。極端なことを言えば食事以外で歯と歯が当たることはほとんどありません。咬んだ状態だと話をすることが難しいと思いますが、咬んだ状態が通常は不自然な状態だからです。このように上顎と下顎の歯が接触している状態を最近ではTCHと呼ぶことがあります。このTCHはメディアでも取り上げられることも多くなってきました。

 顎に痛みがあったり、口が開きにくかったりとの症状が出る病気の一つに顎関節症というものがあります。そんな痛みや口の開きにくいときに対応する治療方法のひとつを少人数実習形式で教えていただけるセミナーが学会期間中に開催されたので、参加してきました。国内でもトップレベルの顎関節治療の専門家たちの直接指導を受けてきました。長年の治療経験と蓄積された技術を我々受講生たちに惜しみなく伝え教えてくれました。日頃の疑問をぶつけてみましたが非常に分かりやすい回答をいただき一気に解決いたしました。
 名医と呼ばれる方々の素晴らしい知識と技術に改めて驚かされ、そしてその教えをいただいたために彼らに一歩近づくことができました。この教えていただいたことは今後の毎日の診療に生かして、患者さんへ還元していきたいと思います。

 日本全国の知人の先生たちとも再会をしていろいろなお話をして、意見交換をすることができました。
 二日間という短い期間でしたが、非常に有意義な時間をすごすことができました。

日本顎関節学会2013講演中

自分の歯を残せる時と抜かなければならない時

痛くもかゆくもない歯や、まったく自覚症状がない口の中で
「いやぁ、かなり進行していて重症ですよ」
「もう抜かないとダメかもしれませんね」
と、言われた経験はありませんか?

このような経験をされた方、このような経験をしたくない方へ解説をしていきたいと思います。

先日に参加してきたセミナーに関して内容を普通の方に分かるように噛み砕いて表現してみます。
このセミナーは海外の大学院を卒業者で組織されている団体が主催しています。これに参加している先生は留学経験者で歯周病の専門家・歯を作る専門家・インプラントの専門家・歯の根の治療の専門家などが多数集まって討論を行います。私は留学経験はありませんが、オブザーブ参加が認められているセミナーでした。

虫歯や歯周病などの歯の病気が進行してきた場合(ただし進行しても痛くなるときもあればほとんど痛みを感じないときもあります)
自分の歯が残せるのか?それとももう抜かなければならないのか?
患者さんも歯科医師も歯科衛生士もみんな歯は抜きたくはないものです。しかし、病気が進行してしまってはそうも言っていられません。
それを決めるのにはその歯の状態をさまざまな角度で見て、最終的に歯科医師が5段階に分類していきます。
その5段階をざっくりいうと「いいね」、「まあまぁ」、「微妙」、「厳しい」、「希望なし」のような感じになります。

「いいね」 ならここで治療をしておけばまだまだ使えるだろう
「まあまぁ」 程度なら歯を残しておいてもしばらく大きな問題は起こらないだろう
「微妙」 は今はいいけどそのうちだめになるかもしれない
「厳しい」 は歯を残しておくと問題が起こりそうなので抜かないとダメかもしれない。
「希望なし」 は残念ながら手遅れで手のほどこしようがないため抜歯になります。
といった感じですね。

さて、これはあくまでも医療サイドから診査をして判断した結果の分類です。
では患者さんからみるとどう感じるのでしょう?
実は「希望なし」の状態でも、痛いとか腫れたとかの自覚症状がまったくない場合も少なくはありません。
つまり痛くも痒くもない歯が実はもうダメになっているということも起こりえるということです。
そういった歯があると、一番最初に書いたような
「いやぁ、かなり進行していて重症ですよ」
「もう抜かないとダメかもしれませんね」
というような結果になってしまいます。

痛くも痒くもないのにいきなり「ダメ」出しをされてしまうのなら、皆さんはどうすればいいのでしょうか?

その答えは
歯科医院で定期的なチェックを行い、「希望なし」にならないように歯のメンテナンスを行っていくことが必要になってきます。
定期的なメンテナンスを行えば虫歯や歯周病の進行を抑制することができます。病気の進行が抑制されれば、それだけ長期間自分の歯の健康を保つことができ抜歯するような事態になりにくくなっていきます。
これはさまざまな研究がなされており、歯のメンテナンスを行うことにより自分の歯を長期間使っていけることは科学的に証明されています。

これ以外にも歯のメンテナンスを行う必要性を裏付けるものがまだあります。

例えば虫歯になって治療を行いました。そして治療した歯がしばらくたって、またむし歯が再発すれば再治療を行わないといけなくなります。
これは非常に悪いサイクルになっています。なぜなら再治療を行うことは上に出てきた5段階の分類が、最初の治療のときからさらに悪い方へと移動します。
例えれば、最初の治療で「いいね」の状態だったものが、再治療後は「微妙」に変わってきます。ひどい場合は「いいね」だったものが、再発の進行が急すぎて「希望なし」に変わることもあります。
これは「むし歯になったらまた治療すればいいや」と思っており、またむし歯になって再治療を繰り返すことは、どんどんと抜歯する状態へと近づいていってしまいます。
そのためむし歯の再発は防がないといけませんので、そのために歯のメンテナンスが必要になってきます。
理想は最初から虫歯を発生させないように、予防やメンテナンスを実践していくことです。

結論としては

「希望なし」まで進行してしまったら、痛みが出るのを待つか抜歯するしかない。
そうならないよう定期的な歯のメンテナンスをして、虫歯や歯周病の予防をすること
究極的な意見ですが、生まれたときから予防やメンテナンスを行って、理想的には虫歯や歯周病と無縁で一生過ごすことができれば素晴らしい!

皆さんはどう考えますか?

顔にもこのような難病があります

「頬が少し腫れている。」
「見た目が少し青あざのように黒ずんでいる。」
「なんとなく頬やあごに痛みがある。」

こんな初期症状ですが、実は顔の内側で「ある難病」になっているときがあります。

「混合型血管奇形」

というものです。
あまり聞きなれない病気であるとは思いますが、これは
動脈・静脈・毛細血管・リンパ管などの複数の血管が先天的に異常な形態をしている病気です。
これは顔だけに限らず体のさまざまな場所にできることがあります。
この病気は、血管が異常なため出血しやすく、まれに生命を脅かすほどの大量出血に繋がることもあります。
また、ウイルスや細菌に対しても抵抗性が弱く、感染を起こす危険性も高いといわれています。
この部分が大きくなることもあり、見た目が腫れてきたり、その周囲に影響を及ぼしたりとすることがあります。
そのため患者さんはいつなのが起こるのか不安なまま毎日を過ごさなければならないのです。

これほどの難病ですが発生頻度が少ないため、認知度が低く、また決定的な治療方法がなかなかないというのが現状のようです。
そのためにこの「混合型血管奇形」を国において難病指定をしてもらうような運動を行っている団体があります。
難病指定をもらうと、その難病を解明するための研究者の確保や研究費の確保をしやすくなり、その結果解明される可能性が大きくなり、この難病で苦しんでいる方々が助かるかもしれません。

医学の発展には、優秀な研究者と多額の研究費はどうしても必要になります。
最近話題のノーベル賞を受賞されたiPS細胞の山中教授も、研究費がなくマラソンで研究費を集めた話は記憶に新しいと思います。

そのためこの「混合型血管奇形」の難病指定に向けて活動をしているグループがあります。
「混合型血管奇形の難病指定を求める会」です。
この会の支部が地元の栃木県日光にもあります。お子さんがこの病気であるお母さんが窓口になっています。 
難病指定を求める請願書もあります。

夏に日光歯科医師会主催で行った歯のフェスタでも、栃木支部の方が署名活動を行っておりましたが
まだ、署名は受け付けているとのことです。

私も研修医時代に似たような病気の患者さんを担当させていただいた経験もあり、このような未知の病気に対しては早期に解明されてほしいと願っています。

歯並びが悪くなる原因のひとつに、過剰な歯が埋まっていることがあります

正中過剰埋伏歯のCT画像

人間の歯は子供の歯(乳歯)が20本、大人の歯(永久歯)が32本(親知らずを含む)と歯の本数は決まっています。
しかし、時々決まった本数以上に歯があることがあります。それを専門用語では「過剰歯」といいます。

その「過剰歯」のなかでも、上顎の前歯のところに過剰歯があることが比較的多いです。 (正式には上顎正中過剰埋伏歯といいます)
しかも歯肉の中に埋まっていることが多く、生えてくることのほうが少ないです。
では、歯肉の中に埋まっている歯は眼では見えないのにどうすれば見つけることができるのでしょう?

よくある症状としては
・前歯がすきっ歯になっている
・前歯が生えてこない
・前歯が変なところから生えてきた
といった症状のときに過剰歯があるときもあります。(必ずしもこの症状があるから過剰歯があるとは限りません)
無症状であるときも多く、たまたま撮影したレントゲン写真に過剰歯が写っていたため発見されることも少なくないです。

今回ご紹介する例は小学校低学年のお子さんの例です。
乳歯が抜けたのに永久歯がなかなか生えてこないとお母さんが心配して来院されました。
永久歯の確認のため通常のレントゲン写真を撮ったところ、過剰歯を疑う像が見られました。
しかし、通常のレントゲン写真では過剰歯の位置や生え方が詳しく分からないため、歯科用CTを撮影して過剰歯を確認しました。(このときのCTの画像が上にある写真です。)

CTでは大人の前歯の後ろ側にさかさまになって埋まっている過剰歯があるのが良く分かります。写真の黄色の矢印のところに過剰歯があります。しかも、過剰歯が2本もあります。
このままでは歯並び等に影響が出るためお母さんと本人と相談して、日をあらためて当院で過剰歯の抜歯をしました。
抜歯後の治りは順調でした。
今もこの方の抜歯後の経過を見ながら、成長とともに歯並びのチェックや虫歯予防を行っていく予定です。

 (栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

総入れ歯で苦労していたけど、新しい入れ歯で今は支障が少なくなりました。

「上の入れ歯が落ちて困る」
「咬むと入れ歯が動いてずれる感じがする」
「話をしていると入れ歯が飛び出しそうになる」
「咬みにくいのでお粥みたいのしか食べられない」
総入れ歯ではこのようなさまざまな悩みをお持ちの方がいらっしゃると思います。
入れ歯を支えている歯がすべてなくなると、今まで使っていた部分入れ歯が使えなくなり、総入れ歯になってしまいます。
入れ歯を安定させるために支えになる歯が1本もないため、部分入れ歯とちがい総入れ歯はとっても不安定になります。
不安定になれば今まで部分入れ歯で食べられていたものが、総入れ歯だと食べにくくなってしまうこともあります。
そのため総入れ歯で食べにくく苦労されている方も、たくさんいらしゃるのが現状だと思います。
そこで、少しでも総入れ歯を安定できるような特殊な作り方をすることがあります。いろいろな方法がありますが、そのうちのひとつを紹介します。
歯がなくなり総入れ歯を使っていましたが、土手が平坦になっており安定せず、入れ歯が使いづらくなっていました。 治療用の入れ歯を使って新しい入れ歯作成を行います。
左上の写真は歯が1本もなくなってしまった方の口の中の下顎の写真です。
歯肉の土手がほとんどなくなってしまい平坦になっています。
今までも総入れ歯を使ってはいましたが、土手が平坦な状態だったので入れ歯は安定せず食べる時や会話する時に苦労していました。
そこで「治療用の入れ歯」を使った新しい入れ歯の作成をこの方へ提案させていただきました。その治療方法に納得していただいたために承諾していただき、治療用の入れ歯を使った治療を行いました。
右上の写真が治療用の入れ歯を口の中へ入れた状態です。
ここで「治療用の入れ歯を使った入れ歯作成方法」について説明します。
まずはじめに上顎と下顎の両方に治療用の入れ歯を作ります。
治療用の入れ歯の下顎の奥歯は写真のように歯の形ではなく平らになっています。平らなため自分の咬みやすい位置で自由に咬むことができます。
この状態で毎日使ってもらうと、平らな部分に自分の咬みやすい位置の跡がついてきます。
また、使っているうちにあたってくる場所を削ってみたり、足らない部分はプラスチック部分を足してみたりなどをして調整をしていきます。話をしたときに舌が気になるところがあれば足したり削ったりして調整していきます。
それによって咬みやすい位置を確立し、使いやすい入れ歯の形を調整しながら、そしてまたしばらく使ってもらい、また調整して、また使って・・・・と繰り返しながらその人に合った入れ歯の形を作っていきます。
治療用入れ歯を用いて使いやすく安定した入れ歯へと作り込んでいきます。
上の写真はしばらく使いながら調整を繰り返した治療用の入れ歯です。
自分の咬みやすい位置に跡が付いているのがわかりますか?最初は平坦だった部分が毎日使うことによって磨耗してくぼんできます。白く抜けている部分がそのくぼみの跡になります。(写真で分かりやすくするために跡以外の部分を黒く塗りました。使っているときは黒くありません。)
また、ピンクのプラスチック部分も調整を繰り返しているため、つぎはぎになっていますが咬んでも痛みがなくなるところまで入れ歯の形が出来上がってきています。また、会話でも気にならないようにも入れ歯の形態を調整してあるため、以前使っていた入れ歯より飛躍的に使用感はよくなりました。
つまり、時間をかけて患者さんご本人が治療用入れ歯の使い込みをして、そのつど不都合な部分を解消してきたため、治療用の入れ歯が咬みやすくて話しやすい入れ歯になってきたということです。
しかし、咬みやすく話しやすい入れ歯にはなってきましたが、咬むところは平坦のままですし、ピンクの部分は補修を繰り返していますのでツギハギになっています。補修に使用したプラスチックは長期間使えるほど耐久性がありません。
そこでこの安定してきた治療用の入れ歯を元に、最終の入れ歯を作成していきます。
安定した治療用入れ歯を元に、最終の入れ歯を咬合器を使って作成しています。
安定してきた治療用の入れ歯をそのままコピーして模型を作り、かみ合わせに合わせて入れ歯を作る機械に装着します。
その模型を装着した機械の上で、新しい入れ歯を作っている途中の工程が上の写真です。
余談ですが、この機械は「カプカプ」と咬む動きを再現できる機械で、「咬合器」といいます。歯のお化けみたいでチョット不気味ですか?(笑
さらによく咬めるように治療用の入れ歯では平坦だった奥歯から、新しい最終の入れ歯は凸凹のある硬いプラスチックの歯にします。
ツギハギだったピンクの部分も、舌触りも滑らかで綺麗な仕上がりになるよう作っていきます。
これらの工程を経て完成した最終の入れ歯を患者さんに使ってもらいます。
治療用の入れ歯で何ヶ月と時間をかけて調整を繰り返してきた入れ歯をコピーして作ってあるので、この最終の入れ歯はほとんど調整することなく使うことができました。
患者さんもいろいろなものが食べられて嬉しいといっていただき本当に良かったと思います。
以前の入れ歯では苦労されていましたが、今の入れ歯に代わってからは話すことやそのほか日常に大きな支障はなく過ごせているとのことです。
ただし、「レバーは硬くて咬みきれそうにもなかったので無理をしないで細かく切ってから食べました。」 とのこと。
入れ歯でも食べられないものを無理をして食べないようにして、食べ方に工夫をしていただくコツも掴んできたようです。
自分の体の一部として入れ歯を上手に使いこなしている感じでした。
ご家族の方からも
「前の入れ歯ときは食べられなくて苦労していたけど、今の入れ歯になってからは何でも食べられてバッチリだよ」
といっていただき、家族みんなで楽しく食事ができると笑顔で話していただきました。
これからは定期的に入れ歯やお口の中の状態をチェックして、日頃の食事や会話などがなにも気にせずできるような生活を続けられるようにしていきたいと思います。
最後に、この患者さんへ今回治療の途中で撮った写真を元にほかの方々への説明用に使わせて欲しい旨をお伝えしたところ、快諾していただきました。
写真を提供していただいた患者さんへ感謝しております。ありがとうございました。

歯の矯正治療はいつ開始すればいいのか?

歯並びや咬み合わせが気になる場合、歯の矯正はいつごろはじめればいいのでしょうか?

答えは 「歯科医師にそのタイミングを見極めてもらうことが一番正確」 だと思います。
その理由はいろいろな状態や条件があるので、その判断は簡単にはいかず難しいからです。
治療開始時期が早い場合は適切な時期まで待てばいいですが、なかには自己判断で待っていた為に適切な治療開始時期を逸する場合もあります。

歯ならびやかみ合わせの異常はその程度によってさまざまな種類があり、その種類によっても治療方法が変わってきます。
・前歯が1本だけ内側に入ってしまったもの、または外側に飛び出しているもの
・歯が前後に重なってしまいガチャガチャになっているもの
・全体的に出っ歯になっているもの
・下顎が前に出てしまい受け口といった状態になってしまっているもの
・上の歯と下の歯がかみ合わず隙間が開いてしまっているもの
・八重歯になってしまっているもの
・いつもポカンと口を開いていることが多く、唇が閉じにくくなっていること
・上の歯の中心と下の歯の中心がずれているもの

また、乳歯から永久歯への生え変わりの状態や年齢によっても治療開始時期や治療方法が変わる場合もあります。
・まだ乳歯しか生えていない頃
・乳歯が抜けはじまり、前歯や六歳臼歯が生え始めた頃
・前歯が大人の歯になってきたけど奥歯に乳歯がまだ残っている頃
・大体の乳歯が抜けてしまった頃
・12歳臼歯が生え始めてきた頃
・大人の歯がほとんど生えそろい、体の成長も止まってきた頃
・成人を向かえ20代の頃
・生活が落ち着いてきた30代以降

そのほかにも
・むし歯の状態やむし歯のなりやすさやむし歯のリスクリスクの問題
・歯周病や歯肉炎がある場合、また歯の重症度によっても変わります。
・顎の関節の状態が矯正治療を行っても大丈夫かどうか
・学校や仕事の都合
・転居や転勤の可能性
・全身的な病気があればその影響

などなど、さまざまなことが矯正治療には関連してきます。このほかにも状況によってはいろいろな条件が発生する場合もあります。
これらをすべて一つ一つチェックして、それによって矯正専門の歯科医師がおおよその治療を開始する時期を決めています。
まだ治療開始の時期ではないと判断した場合は、3~6ヶ月間隔で定期的に経過観察を行い適切な治療開始の時期を判断していきます。
その後に精密検査を行ってからより正確な開始時期と治療期間、治療方法などを決めていきます。

歯並びが気になり、矯正したほうがいいかどうか悩まれている場合は、まずは歯並びの矯正治療が必要かどうかを歯科医師に判断してもらわなければなりません。
矯正治療が必要と思われる場合には、矯正治療を開始する時期を定期的に受診しながらその時期を待つことが、最小限の治療で最大限の効果を得られます。
悩み続けるくらいなら早めに相談してみてください。必ずそのほうがメリットが大きいのです。