日本顎関節学会と同時開催の日本口腔顎顔面痛学会に参加してきました。

2015-07-04 08.55.43

2015年の日本顎関節学会は日本口腔顎顔面痛学会という口の周りに関連する痛みを研究する学会と同時開催でした。口の周りでは虫歯や歯周病はもちろんですがそれ以外の様々な病気によって痛みがsyつ元して、その痛みに悩まされることがあります。そのような痛みを研究しているのが口腔顎顔面痛学会です。

顎関節症も時に痛みも伴う病気です。痛みがあることは患者さんの苦痛であり、それを少しでも早く改善したいという患者さんの希望にできるだけこたえるべく今夏のこの同時開催はとても勉強になりました。
もちろんすべての痛みがすぐに改善できるとは限りませんが、最近の研究でわかってきたことや、アメリカの大学で留学して研修を受けた先生の講演などを聞くことができました。

顎関節症の診断方法が現在世界共通基準をつくろうという動きがあり、そのプロジェクトに日本の顎関節学会から複数参加をしているとのことです。現在の診断基準作成の進行状況などの報告もありました。
これからはますますグローバルな視点が必要になってくることになり、さらなる研鑽をつんでいこうと思います。

記 沼尾明弘

日本顎関節学会で新たに学んできたこと

日本顎関節学会2013

 2013年7月20、21日は日本顎関節学会へ参加してきました。
 日本顎関節学会とは、国内外の顎関節に関する研究や診療を行っている専門家たちが集まって、研究成果の発表や情報の交換、討論などを行う場です。
 日本顎関節学会専門医である私(沼尾)も、学会へ参加をして新しい知識と技術を学んできました。

 トピックな話題としては顎関節症の診断基準について、ここ数年世界中でスタンダードになってきている診断基準についての議論がなされました。良い治療を行うためには適切な診断が絶対に必要です。そのため診断基準というのは良い治療を行うための第一歩となります。その診断基準をより良いものにしようと研究者や専門家たちがさまざまな意見を交換していました。このような議論が世界中で行われており、より良い診断基準作りが今後加速していくようです。

 顎や顔面の痛みの原因のひとつになっているだろうとされている食いしばりや歯軋りなどについても研究が進んでいます。そのような痛みの原因となる食いしばりや歯軋りは、無意識のときにやっていることも多いためなかなか気がつかないことが多く、いつになっても痛みの原因が解消されないことがあります。そんな無意識な食いしばりや歯軋りを辞めるような機械の研究も進んでおり、今後この研究は非常に楽しみなところだと感じました。

 通常、何もしていないときは上顎の歯と下顎の歯は離れていることが正常です。極端なことを言えば食事以外で歯と歯が当たることはほとんどありません。咬んだ状態だと話をすることが難しいと思いますが、咬んだ状態が通常は不自然な状態だからです。このように上顎と下顎の歯が接触している状態を最近ではTCHと呼ぶことがあります。このTCHはメディアでも取り上げられることも多くなってきました。

 顎に痛みがあったり、口が開きにくかったりとの症状が出る病気の一つに顎関節症というものがあります。そんな痛みや口の開きにくいときに対応する治療方法のひとつを少人数実習形式で教えていただけるセミナーが学会期間中に開催されたので、参加してきました。国内でもトップレベルの顎関節治療の専門家たちの直接指導を受けてきました。長年の治療経験と蓄積された技術を我々受講生たちに惜しみなく伝え教えてくれました。日頃の疑問をぶつけてみましたが非常に分かりやすい回答をいただき一気に解決いたしました。
 名医と呼ばれる方々の素晴らしい知識と技術に改めて驚かされ、そしてその教えをいただいたために彼らに一歩近づくことができました。この教えていただいたことは今後の毎日の診療に生かして、患者さんへ還元していきたいと思います。

 日本全国の知人の先生たちとも再会をしていろいろなお話をして、意見交換をすることができました。
 二日間という短い期間でしたが、非常に有意義な時間をすごすことができました。

日本顎関節学会2013講演中

日本顎関節学会の専門医を取得しました

課題となっている講習会の受講や学会での試験をクリアして日本顎関節学会から顎関節症専門医の認定を受け、先日、認定証が手元に届きました。

日本顎関節学会顎関節症専門医に認定されました。

顎関節症は顎の痛みや雑音、口の開きにくさなどの症状が出る疾患で、むし歯・歯周病についで口腔領域では3番目に多い疾患といわれています。

そのような顎関節症で悩んでいる方々へ少しでも治療を通じて貢献できるよう、今回の認定に甘んじることなくこれからも治療技術の向上にがんばっていきたいと思います。

顎関節症の症状とセルフチェックを日本顎関節学会ホームページから引用しました。ご参考にしてみてください。

「あごが痛い」

「口が開かない」

「カクカク音がして痛い」

こんな症状はありませんか?

あなたの顎(がく)関節の自己チェック法(合計点数が8.6以上では顎関節症の危険あり,杉崎正志、他:2007)

  1. 口を大きく開いたとき,人差し指から薬指を並べた3本指を縦にして入りますか?
    (1.すっと入る 2.ほぼ問題ない 3.どちらともいえない 4.やや困難 5.全く入らない)
  2. 口を大きく開け閉めした時,あごの痛みがありますか?
    (1.全くない 2.たまにある 3.どちらともいえない 4.しばしばある 5.いつもある)
  3. 口を大きく開いたとき,まっすぐに開きますか?
    (1.いつもまっすぐ 2.たまに曲がる 3.どちらともいえない 4.しばしば曲がる 5.いつも曲がる)
  4. 干し肉,するめ,タコなど硬いものを食べるとあごや顔が痛みますか?
    (1.痛まない 2.たまに痛む 3.どちらともいえない 4.しばしば痛む 5.いつも痛む)

あるいは設問2の「口を大きく開け閉めした時,あごの痛みがありますか?」に「はい」と回答した方も顎関節症である可能性がありますので,専門医を受診することをお勧めします.

顎関節学会にも専門医制度があります

顎の関節を主にテーマとしている顎関節学会という学会があります。その学会が主催する学術講演会を年2回開催しています。その学術講演会は専門医になるための必要な単位を取得できる対象の講演会です。

講師は全部で4人、小児歯科を専門とする歯科医師、精神科を専門とする医師、歯科補綴科(入れ歯や差し歯を作る)を専門とする歯科医師、口腔外科を専門とする歯科医師とそれぞれの専門医のレクチャーをそれぞれ聞いてきました。改めて思いましたが顎関節症は子供から大人まで、また医科の連携も必要なこともある非常に幅広い知識を要求される疾患です。

日ごろ診療を行いながらいくつか疑問点がありましたが、今回の講習会でそれらの疑問点も解決していきました。それでもまだまだ解明されていない部分も多く、これからの研究を待たなければいけないこともたくさんあります。朝から夕方までのタイムスケジュールでしたが、とても充実した一日を過ごせました。

第23回日本顎関節学会に参加してきました

7月23日(金)から25日(日)の間に開催された日本顎関節学会へ参加してきました。その間は臨時休診をいただきご迷惑おかけしました。

学会とは大学・研究機関・病院・開業医などが日ごろの研究成果を発表し、それに対してさまざまな研究者や専門医が議論をしてその妥当性を追及していく場です。

つまり、専門の人間の意見が多数議論されるため、正当性が高く最新の情報が得られる場であります。

口は物を食べたり話をしたりなどを毎日行う場所ですが、それらを行うための軸となるところが顎関節です。顎関節の調子が悪くなれば、話をしたり物を食べたりすることがしにくくなり、日常生活に大きな影響が出てきます。

そんな口の動きの中心となる顎関節について日本レベルで研究発表と議論される場が日本学関節学会です。今回は海外からの研究発表者もいたようでした。

顎関節症などの研究発表と議論をする学会である、第23回日本顎関節学会に参加してきました。

研究成果による新しい発見や、今までの治療に対する研究、現在セオリーとされている基本的な内容確認のためのセミナーなどさまざまな発表がなされました。

日本全国で診療や研究をしている先輩・後輩や友人などとも再会をし、色々な話をすることもとても刺激になります。

ここで学んできたことは最新かつ妥当性の高い治療という形で患者さんへ還元していきたいと思います。

第22回 日本顎関節学会へ参加してきました

7月25・26日に開催された日本顎関節学会へ参加してきました。

日本全国の大学病院や研究機関からの最新の発表や、国内や海外の著名な先生によるシンポジウム等のレクチャーも行われました。

また、医科の先生による頭痛の講演や慢性の痛みに対するメンタルケアの講演なども行われていました。

そのほかにも日本小児歯科学会後援による子供の顎関節症のレクチャーや、日本睡眠歯科学会後援による睡眠時無呼吸症候群や睡眠時の歯ぎしりに対するレクチャーも行われました。

ここ最近、普及しはじめた歯科用CTのセミナーもあり、開発の歴史や現在の機種の性能とその問題点などについて学んできました。

顎関節だけでなく改めて幅広い知識が必要であることを再認識しました。

2009年日本顎関節学会

学会の最後には一般公開された市民公開講座として、顎関節症をわずらいながら戦ってきたフードファイターの小林尊氏による講演も行われたようです。

市販のセルフメイドのマウスガードを使おうと思うのですが、作り方にコツはありますか?

Question 市販の安いセルフメイドのマウスガードを使おうと思うのですが、作り方にコツはありますか?

Answer  歯科医師による提供以外、正しいマウスガードを作るコツというのはありません。

市販のマウスガードには、一般的に常に噛んでいないと落ちてしまうようなストックタイプのものと、ご自身で成形し使用するマウスフォームドタイプがあります。成形できるタイプの中で、ボイル&バイトタイプは歯列(アーチ上に並んだ歯のこと)を覆うような馬蹄型をしています。

この馬蹄型のマウスガード材をまず温湯で軟化し、口腔内に挿入し噛み合わせて成形します。このタイプは安価で成形が容易なため、選手らの使用頻度は高いようです。しかし、このタイプのマウスガードは、選手自身が使用説明書を読みながら調整するため、息苦しくなるような形態に仕上がったり、口のなかとの適合性が十分得られないものとなり、結果として外傷予防効果などが期待できないマウスガードとなってしまいます。また、

専門知識を持たない方が調製することは難しく、たとえできあがったとしても、その使用感などは極めて悪いものとなります。

さらに、噛み合わせの位置や噛み込むときの力の入れ具合、そしてマウスガードと歯と噛み合う部分の細かい調製(非常に重要な調整部分)はできません。

このようなマウスガードを使用し続けていると、アゴの関節が痛くなったり、口が開かなくなったりして、いわゆる顎関節症になりかねません。また、パフォーマンスにも影響が及びます。

マウスガードを作るには、コツではなく、専門家に個人個人にあった正しいマウスガードを提供してもらうことです。

顎が重く、耳の下あたりを押さえるととても痛いのです。

Question 顎が重く、耳の下あたりを押さえるととても痛いのです。受診したほうがよいでしょうか?

Answer 受診するべきです。まずは口腔外科か、耳鼻咽頭科をおすすめします。

はじめに受診する科は一般歯科ではなく口腔外科または耳鼻咽頭科がよいでしょう。このような自覚症状を伴う疾患はいろいろあります。たとえば耳下腺炎をはじめとした耳下腺関連疾患や中耳炎など耳疾患などがあります。いろいろある疾患のうちのひとつが顎関節症です。発症頻度から見ると顎関節症のことが多いと思いますが、上記の疾患を除外する意味からもはじめに受診するのは口腔外科か耳鼻咽喉科または、その心得がある歯科を訪れるべきでしょう。

顎関節症として考えると、この症状は痛みを伴う顎関節症としては比較的典型的なものです。この症状は顎関節症としては

① 筋肉の長期間にわたる過緊張による筋筋膜痛という状態。

② 顎関節に何らかの炎症が生じている状態。

以上の2つが主に考えられます。

① 筋肉の異常であれば、あたためて(あるいは冷やして)ゆっくりと大きく開閉口することで痛みを軽減させることができます。②顎関節の異常の場合には無理をすると状況っを悪化させることがあります。安静にして、しばらくは硬いものを食べないように、うつ伏せ寝や頬杖をつかないようにして様子を見ます。そうすると数日後には改善してくることがあります。

顎関節症は若い女性に多いのですか?

Question 顎関節症は若い女性に多いと聞きました。どうしてですか?

Answer その理由は、「若い女性」を「若い」と「女性」に分けて考えてみると、よくわかります

 顎関節症にはいろいろな病変とそれに伴う症状が含まれますので、その中でもっともよく起こる顎関節と筋肉のトラブルについてご説明します。「若い」「女性」それぞれの特徴をみながら考えてみましょう。

①「女性」であること

 顎関節症の患者さんは女性が圧倒的に多いようです。筋肉や骨格が男性に比べてやや弱い、心理的・社会的にストレスにさらされた場合に不利な面が多い、生理があるので自分のからだに対して関心をもつ機会が多いことなどが関係するようです。

②「若い」ということ

 若い人は顎関節部が成長期にあり、関節の動く部分や受け皿となる骨とその上の繊維層や軟骨部分がまだ弱く、少しの刺激で症状が出てしまいます。子どもは適応能力が高いので変形という方法で刺激に対応できます。

③「若い女性」ということ

 ①と②の2つの働きで、顎関節や咀嚼筋などに症状を示すようになります。私の経験では、大学受験の頃に筋痛や関節痛があったけれど、受験の終了とともに症状がなくなった症例がいくつかあります。

 また、社会人となって会社で必死に働くうちに、生理まで不順となり女性ホルモンのアンバランスが生じ、それによるものか、顎関節部の骨が吸収して関節が変形してしまった症例もいくつかあります。

 ストレスをいかにうまくやり過ごすか。そのコツをつかめれば、多くの場合、発病しないですむようです。

顎が少しカクカクと音が鳴りますが?

Question 顎が少しカクカクします。痛みはありません。今のうちに顎関節症の予防に硬いものをかんで鍛えたほうがよいですか?

Answer いいえ。顎関節に過剰な負担がかからないようにしてください。

 あごがカクカクするのは、口を開くとき、あごを横に動かすときや咀嚼時などいくつかの場合があります。下顎頭とよばれる、あごの関節の端の骨が動くときにカクカクするのです。

 正常な場合はもちろんカクカク感はありませんが、関節を作る組織の形や機能が異常な場合に、あごの動きがスムーズでなくなってカクカク感が出てくることがあります。

 もともと、あごを動かすときには、この杵に相当する下顎頭という骨が下顎窩という骨の臼の中を移動します。移動する道すじは、関節円板とよばれるクッションや靱帯などによっておおむね決められています。

 この道すじに傷ができたり、道を作る関節円板の機能に異常があったりするとカクカクします。この傷がすごく深かったり、関節円板がひどく変形したり、癒着したりするとカクカク感も強くなり、時には口を開くことができなくなるなどの機能障害を起こすことがあります。しかし、おたずねの方は痛みがないということですので、かなり軽症であるといえましょう。

 さて、病状悪化の予防ですが、原因の多くは外傷ですから、これ以上あごの関節に機械的負担をかけないようにしていればよいのです。硬いものをかんであごを強くして病状悪化を阻止しようという考えは、むしろ逆効果です。病状悪化を防ぐには無意識のかみしめやうつぶせ寝などの長時間にわたる関節へに負担をさけましょう。

 繰り返しになりますが、訓練のために硬いものを習慣的に食べるなどということは「百害あって一利なし」にことわざとおりです。