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歯周病学会推奨の子供から大人までの歯周病対策法

 日本全国の歯周病専門医を中心に構成されている日本歯周病学会から、子供から大人までを対象にしたライフステージ別の歯周病対策の最新のまとめの研究論文が出ましたので、一般の方にも内容を抜粋し分かりやすく書き直してみました。

 この研究論文は生涯を通じて虫歯や歯周病の予防をして健全な生活が営めるようにと、2011年8月に施行された「歯科口腔保健の推進に関する法律」を受けて作成されたようです。

1.14歳以下の歯周病対策

 この時期に歯周病になることは少数ですが、成人になってから歯周病のなりやすさへの影響が出ます。ブラッシング(歯ブラシ)を中心としたセルフケア(自宅で行う歯のお手入れ)できちんと歯の汚れが取れるようになれば、約10年後には歯周病になりにくくなります。歯周病の進行にともなって深くなる歯周ポケット(歯と歯肉の隙間)ができにくいということです。裏を返せば、この時期にきちんとしたセルフケアができていないと歯周病になりやすいということになります。
 また食事のとりかたや栄養についての正しい知識を身につけ、望ましい食習慣を身につけていくことが必要です。そして歯や歯肉のチェックのために歯科医院を受診して、虫歯・歯周病・歯肉の腫れなどの予防を行うことが大切です。定期受診ごとにセルフケアの方法をチェックしてもらえば、セルフケアがどんどん上手になり、その結果歯周病になりにくくなっていきます。

2.15~29歳の歯周病対策

 厚生労働省が6年に一度、全国規模で「お口に関する調査を行う歯科疾患実態調査」というものがあります。その最新版である平成23年の結果を見ると歯肉になんらかの異常のある人の割合は15~19歳で69%、20~24歳では74%となっています。ここで言う「なんらかの異常」とは自覚症状がまったくないものがほとんどで、健診などで歯科医師によってチェックされたものをさします。若い世代でも約4人中3人に歯肉に「なんらかの異常がある」ということです。
 また別の研究論文では、この若い時期に歯肉に異常がない人は50歳のときに99.5%自分の歯が残っていたのに対し、若い時期に歯肉に異常があった人は63%しか歯が残っていなかったそうです。つまり若い時期の歯肉の状態が、将来の自分の歯の寿命を左右している要因のひとつと言えます。
 そのため若いときから歯周病ケアを始めておいた方が有利になります。ケアの方法としては毎日自分で行うセルフケアと、定期的に歯科医院を受診して行うプロフェッショナルケアとがあります。セルフケアは歯ブラシで行うことは皆さんご存知だと思いますが、デンタルフロス(糸ようじ)も同時に使用した方が効果的です。歯ブラシだけでセルフケアをするよりも、歯ブラシとデンタルフロスを併用した方が歯肉の異常の回復には有効だという研究結果があります。デンタルフロスの使用方法が分からない場合は歯科医院で教えてもらえます。

3.妊娠期の歯周病対策

 妊娠時には女性ホルモンの増加にともなって、歯肉になんらかの異常が出やすくなります。更につわりがあると歯ブラシも使えなくなり、更に歯肉の状態が悪化します。そのためセルフケアだけでは十分に歯肉の異常を治すことができないときは、歯科医院でプロフェッショナルケアを受けたり、セルフケアのアドバイスを受けたりするといいです。
 歯周病があると早産・低体重児出産になりやすいという研究結果と、歯周病と早産・低体重児出産の関係はないという研究結果があり、これらの因果関係はまだはっきりしたことが分かっていないため、今後のさらなる研究結果を待っているところです。
 なお、今回の歯周病対策とは別になりますが妊婦さんでも母子ともに健康であれば、歯科治療のほとんどは可能な場合が多いです。妊娠をしていても積極的に歯科医院を受診して、産婦人科医と歯科医に相談をしながらお口の治療やケアを受けましょう!

4.30~49歳の歯周病対策

 15~29歳のところでも出てきた平成23年歯科疾患実態調査では、この世代(30~49歳)の80~90%の方に歯肉になんらかの異常があるとの結果が出ました。20歳のころに比べて更に異常のある人の割合が増えており、10人中9人の歯肉に異常があるということなので、歯肉に異常がない人の方が珍しい状態です。年齢を重ねるにつれて増加の一途をたどっている理由は、歯周病は自覚症状が出ないまま進行する病気だからです。
 さらに20~30%の方が軽症ではなく重症な歯周病へ進行しているとの結果です。歯周病は重症でもまったく自覚症状が出ない場合もあるため、重症化しやすいのです。そのためこの世代の歯周病予防は、歯周病の発症予防と歯周病の進行阻止の2段階での対策が必要になってきます。今までの世代同様にセルフケアを充実していかなければなりませんが、歯ブラシとデンタルフロスのほかに歯間ブラシが有効な方も出てきますので、定期的なプロフェッショナルケアを受けた時にチェックしてもらうといいです。
 この世代では全身疾患(内科的な病気)や喫煙が歯周病のリスク(歯周病を更に悪化させる要因)になることも、本人は知っておかなければなりません。つまり全身疾患や喫煙があると歯周病は進行しやすいということです。

5.50歳以上の歯周病対策

 30~49歳では歯周病になっている人が30%だったものが、歳をとるごとにその割合はどんどん増加していきます。そして65~69歳では歯肉の異常ではなく、完全に歯周病になってしまった人の割合が83.2%と、この世代では歯周病にかかっていない人を探すのが難しい状態になっています。歯周病になっているということは、すでに歯を支えている周囲の骨が溶けている人が83.2%もいるということです。
 しかし、70~74歳では歯周病になってしまった人の割合は10%も少なくなっています。その分、全部歯が無くなってしまった人(総入歯の人)の割合が10%も増えています。つまり、歯が無くなると歯周病も無くなります。歯周病の最後は歯が全部無くなって、そして歯周病も無くなるということです。
 この世代ももちろんセルフケアは重要ですが、歯が無くなってきたり治療をしてブリッジや入れ歯が入っていたりすると歯ブラシが難しくなるため電動歯ブラシを使用してみるのもひとつの方法です(電動歯ブラシはこの世代専用ではなく全世代で使用できます)。使用するときは定期的に行っているプロフェッショナルケアのときに相談をしてみましょう。
 この世代に見られる病気に誤嚥性肺炎があります。これは口の中のばい菌が原因で肺炎を起こしてしまう病気で、死にいたる場合もあります。歯周病ケアをして歯周病が安定している人より、歯周病が安定していない人のほうが誤嚥性肺炎の発症率が明らかに高かったという研究データがあります。つまり、口の中の歯周病菌がたくさんいると、それが原因で誤嚥性肺炎になってしまうことが考えられるということです。

 

 ライフステージ別の歯周病対策を見ると、若い世代から対策をしておけば、年齢を重ねても歯周病のリスクを下げることができます。また、どの世代であってもケアを怠ってしまうと歯周病が進行してしまい、最後は歯が無くなってしまったり、死の危険さえ出てきます。
 自覚症状がほとんど出ない歯周病は、自分で知ることができませんから、歯科医院でしっかりと検査を行い歯周病の有無のチェック、また歯周病があった場合はその重症度はどの程度のものなのか、そしてそれらの治療についてどのようなことをしていけばいいのかを明確にして実行しておかなければなりません。
歯周病の脅威から逃れるために、セルフケアとプロフェッショナルケアをしっかりと行っていくかかりつけ歯科医を持つことが大切になります。


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ホテルのような快適さを追求した産科クリニック

栃木県壬生町に昨年、産婦人科「クララクリニック」が開院しました。

平塚光広院長とは自治医科大学の研修医時代からの友人で医療に対する情熱はそのころからすばらしかったのです。

そこにホスピタリティ(おもてなし)の充実したクリニックを作って全ての人に感動と喜びを受け取って欲しいとの理念を元にこのようなすばらしいクリニックの開院となりました。

下記の写真は外来の受付と待合室の風景です。今までの病院の概念が覆されるような落ち着いた雰囲気です。

栃木県壬生町産科クララクリニック 栃木県壬生町産科クララクリニック栃木県壬生町産科クララクリニック

待合室は大きなガラスになっているためとても明るいです。(暗く感じるのは写真が下手なせいですね・・・スミマセン)

栃木県壬生町産科クララクリニック 栃木県壬生町産科クララクリニック

出産を迎える病室とナースステーションです。ホテルのゲストルームのようです。

栃木県壬生町産科クララクリニック 栃木県壬生町産科クララクリニック

妊婦さんを対象に妊娠前期・中期・後期の3コースに分かれて母親学級を開催しています。

写真は平塚院長がお話をしている写真です。

今回はだんなさんも同行してくれた方もいらっしゃいました。家族みんなで子どもが生まれることを待ち望んでいることはとてもすばらしいですね。

クララクリニックの母親学級には私も参加させてもらっています。この日も妊娠中の歯や口腔内についてお話をさせていただきました。

たくさん質問が出てきましたが、妊産婦の方とその家族の方々の不安材料が少しでも解消できればと思います。今後も継続的に母親学級には参加させてもらう予定ですのでよろしくお願いいたします。

栃木県壬生町産科クララクリニック母親学級20100401クララクリニック 021


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乳歯が、生えてきた時からデコボコして着色が目立ちます。

Question 上の糸切り歯の乳歯が、生えてきた時からデコボコして着色が目立ちます。どうしてなのでしょうか?

Answer  乳歯の「エナメル質減形成」の可能性があります。お近くの小児歯科で相談してみてください。

こんにちは。乳歯の表面がデコボコしているのですね。生えてきた時からそのような状態だったのであれば、乳歯の「エナメル質減形成」の可能性があります。以前、生えてきたばかりの永久歯の表面が削れているように見える、とのご質問があり、お母さまの妊娠中の体調不良やお子さんが赤ちゃんの時に乳歯をぶつけたことがなかったか、などをおたずねしました。

乳歯は、おもに妊娠中に歯のエナメル質が作られるので、妊娠中に体調が悪かったり、全身の栄養状態が悪いと、うまく作られない部分が出てくるのです。そのため、乳歯のエナメル質減形成が1本だけで起こることは少ないといえます。反対側の糸切り歯(犬歯)のエナメル質はいかがですか?うっすら変色している、わずかにデコボコしているような部分はありませんか?

エナメル質減形成の対処法は、毎日の歯みがきをしっかり行うことに加え、フッ素で再石灰化を促し、歯質を強化することです。重症の場合は、歯医者さんで削ってつめ物をしてもらいますが、障害の程度が軽ければ、フッ素入り歯磨剤でみがく、キシリトールを取り入れる、歯医者さんで定期的に高濃度フッ素を塗ってもらう、などの削らない処置で経過を観察することができます。

着色ですが、クリーニングをしてもとれない時は、削って白いプラスチックをつめる場合もあります。気になる時は、お近くの小児歯科で相談してみてください。


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最近の医療の動向 2007

病気治療の医療から健康づくりの医療へ

国立の研究機関の方の講演に行ってきました。
そこで聞いてきた内容を分かりやすく書いていきたいと思います。

今までの病院のかかりかたは、病気になってから治療をするといった方向性でした。
みなさんも風邪を引いて熱が上がったから病院に行くとか、頭が痛いから病院に行くとか、フラフラするから病院に行くなどと何か症状があってから病院を受診していたと思います。

しかしそれでは、症状が悪化してから治療するので治るまでに費用と時間がかかってしまったり、ひどい場合は病気が進行しすぎていて手遅れな状態になってしまったりと、後手後手の処置になってしまうことが多くあります。

後手に回らないようにするために、病気になってからではなく、健康診断を定期的に行い病気の原因になりそうな因子を早めに治療しておくことが推奨されています。

例えば、
血圧が高いのを放置しておくと、脳卒中や心筋梗塞になってしまうので、そうなる前に血圧をコントロールをしておく、とか
血糖値が高いのを放置しておくと、腎臓や網膜などに障害が出てきてしまうので、そうなる前に血糖をコントロールしておく、とか

血圧や血糖をコントロールすると聞いてピンときましたか?
これはメタボリックシンドロームという名前で盛んにPRされているものです。

「病気を治療することよりも、病気にならない治療を優先する」
といった考え方に基づき、そのようなことになるのです。

もちろんこの考え方は歯科領域にも適応できる話です。

栄養と歯

健康でいるためには栄養を必要かつ十分に取らなければなりません。

(もちろん取りすぎればメタボリックなどの危険にさらされますが・・・・)

しかし歯が悪いと健康を維持するための栄養摂取に大きな影響を与えることは、既にデータとして出されています。

70歳以上の方を対象に、残っている自分の歯と栄養摂取状態の統計を取ったものがあります。

そこでは20本以上自分の歯が残っている人は、魚や野菜の摂取量が有意におおく、バランスよく食事を食べられる結果が出ています。その方たちは栄養状態も非常によい結果も出ました。しかし、その一方、自分の歯が少なくなればなるほど、栄養状態は偏っていくそうです。

最近は食育という言葉もよく聞かれますが、食べることの重要性はここで説明するまでもないと思います。健康に大切な栄養が、歯の残っている数で左右されるという結果となりました。

そしてもうひとつは、同じ70歳以上の方で咬む力を測定した結果があります。そのなかで自分の歯の数が28本ある人(永久歯は親知らずをのぞいた総数は28本です。つまり、永久歯が1本もダメになっていない方です)の咬む力は、若い人とほぼ同じ力がだせるとのデータも立証されました。もちろん咬む力が強ければ食べたいものは何でも食べられますので栄養も偏らなくなります(食べすぎには注意ですが・・・・)。

自分の歯がなくなってしまい、部分入れ歯や総入れ歯などで28本に歯の数を回復した方の場合では、咬む力はそこまで回復することはありませんでした。自分の歯には及ばないということがここでも立証されています。

運動と歯

体を動かすことも健康には大切です。そして、体が動かなくなれば健康に影響が出てきます。

そこで体を動かすことと、歯の関係について実験したデータがあるので紹介いたします。

バランス感覚をみる「片足立ち」で何秒立っていられるかという試験を行ったところ、自分の歯の数が多い人ほど長時間たっていることができたそうです。さらに、物を咬み砕く力が高い人ほど長く立っていられたそうです。

バランス感覚が鈍れば、高いパフォーマンスが出来なくなるばかりか、体勢を崩して転倒などによる怪我の可能性も高くなります。これはトップアスリートはもちろん一般の方でも起こっては欲しくないことだと思います。

同様にジャンプ力についても試験をした結果、歯の数とジャンプ力にははっきりとした傾向は出なかったそうですが、物を噛み砕く力が高い人のほうがジャンプ力の成績はよかったとの結果も出ています。

握力については、歯の数も物を噛み砕く力についても、明らかな傾向は今回の実験ではなかったそうです。

数年前のことになってしまいますが、マウスピースについてのデータもあります。通常マウスピース(マウスガードといわれています)は、コンタクトスポーツにおける口腔内の怪我防止のために装着します。

パワー系の筋肉では、マウスピースを入れたほうがパワーアップするというデータがありました。例えばウエイトリフティングなどゆっくりと力をかけることに関しては有効であるとの結果が実験で得られたそうです。しかし瞬発系の筋肉に対しては明らかな違いはなかったとのことです。スピードアップに有効とは実験的にはいえなかったそうです。

しかし、このマウスピースに関するものは数年前にデータなので、最新の研究ではどのようなデータが得られているかは、。。。。。すみません、勉強不足でまだ私は把握していません。最新データが分かったらここで書き込みをしたいと思います。

余談ですが、部分入れ歯が必要なほど自分の歯がなくなっても、マウスガードの作成は可能です。全部歯がある方も、何本か歯がなくなってしまった方も、スポーツ事故でこれ以上歯をなくさないようにするために、是非コンタクトスポーツを行うときには、歯科医院で自分の口にぴったり合ったマウスガードの作成と装着をお勧めいたします。既成のものと比べると装着感は断然違うので、いいパフォーマンスが出来ると思います。

休養と歯

先日の講演でお話をしてくださった、 国立の研究機関の方の最新の動向についてできるだけ分かりやすく書き込みをしています。今回はその第4弾です。

体を休めることは健康を維持するために必要なことです。特に毎日のことである睡眠が重要になってきます。

そこで睡眠と歯の関係について研究を進めているそうですが、なかなか難しいそうです。

まず睡眠のデータを取るためには、寝ているときのデータが欲しいので、その実験に参加してくれる方は1泊していただける方でないといけません。そして実験をするほうは深夜の仕事になります。そうやってコツコツとデータを集めるのですが、傾向が分かるほどの数がまだ集まらないそうです。そのためにはっきりとした結果がまだでていないのが現状だそうです。

これについてはもうしばらくお待ちください。それにしても研究者って大変です。頭が下がります。こうやってコツコツと積み上げていった優秀な研究者のデータを、現場の私たちが患者さんに対して有効に使わせていただけることはとてもありがたく思っています。

こころの健康と歯

こころの健康とは、いきいきと自分らしく生きるための重要な条件で、「生活の質」に大きく影響するものです。
こころの健康には、個人の資質や能力の他に、身体状況、社会経済状況、住居や職場の環境、対人関係など、多くの要因が影響し、なかでも、身体の状態とこころは相互に強く関係しているといわれています。

こころの健康と歯については、あるアンケートによる結果があります。その結果には

・歯並びが悪かったり、歯の色が気になって、人の前で笑うことが出来ない 。
・口臭が気になって、他人と話すことが出来ない。
・歯の痛みや入れ歯などのために、食事が思うようにできず、ほかの人と食事ができない。
・顎の痛みがあり、うたを歌ったり食事が思うようにできない。

などの悩みが多くあり、それがストレスとなってこころの健康によくないとのことです。

上のアンケート結果でも分かるように、口の悩みは日常生活に密着していることが多く、ストレスとしてもかなり大きく負担となるようです。

海外で行われた別のアンケートでは次のような結果がでています。

人生のイベントでどれだけ苦痛があるかを点数化してもらうアンケートです。

その中でもっとも苦痛が大きいと点数が高かったものは「肉親の死」です。

「義歯を入れるようになる」ということも高得点だったそうです。やはり入れ歯は相当なストレスを感じるということであり、「義歯を入れるようになる」ことより「勃起不全になる」(このアンケート項目が海外らしいですが・・・)というイベントのほうが点数が低かったそうです。

果たしてあなたはどちらのほうがショッキングな出来事ですか?(男性限定の質問ですね)

たばこと歯

たばこに関しては現在、禁煙運動も盛んですね。確かに肉体的には悪いことばかりです。

たばこは、肺がんをはじめとして喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、膵がんなど多くのがんや、虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、歯周疾患など多くの疾患、低出生体重児や流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子であります。

恐ろしい病気がずらずらと並んできます。その中に歯周疾患も含まれています。

確かにたばこを吸っていると歯肉の健康を保つことは難しくなり、歯周病が悪化していくリスクがぐんと上がります

愛煙家の方も「散々吸っているのだからいまさらやめても・・・」と思っている方も多いかもしれませんが、禁煙に成功すれば、喫煙を継続した場合に比べて、上に書いてある疾患の危険性は減少するとの報告があります。

さらに、たばこによる疾病や死亡のために、1993年には年間1兆2000億円(国民医療費の5%)が超過医療費としてかかっていることが試算されており、社会全体では少なくとも4兆円以上の損失があるとされているとのデータもあります。

私も昔はたばこを吸っていたので、愛煙家の気持ちはよく分かりますが、残念ながら愛煙家に対しては厳しいデータしかないのが現状です。

アルコールと歯

アルコールも皆さんの生活の中にいろんな形で密接に関係していることと思います。最近は飲酒運転による事故でいろいろ問題となっていますが・・・・・・

アルコールを飲むことによってその慢性影響による肝疾患、脳卒中、癌などの臓器障害があります。

口腔内に関しては大量にアルコールを摂取していると歯周病のリスクが2倍になるとの報告があるそうです。

よく勘違いしている方もいますが、「お酒でアルコール消毒してバイ菌をやっつける」ことは決してできません。お酒を飲んで、つまみを食べて、歯に汚れをたっぷりつけて、酔ったまま寝てしまうことは、やっぱり歯周病にも虫歯にもなってしまいます。

できることなら、そういうときも歯を磨いてもらったほうがいいです。酔ったときに歯を磨くことが難しいことは重々承知ですが・・・・・・

口の中にもピロリ菌

ピロリ菌はヘリコバクターピロリと呼ばれる、人間の胃の中に住んでいる細菌です。この細菌が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になっていることが最近の研究で分かってきています。そのため潰瘍を再発する方に対してピロリ菌をやっつける除菌療法も行われるようになっているそうです。

胃の中にいるピロリ菌ですが、実は口の中にも存在しているそうなんです。

歯垢(デンタルプラーク)と 呼ばれている歯の汚れの中に、34.1%の割合でピロリ菌が存在するとの研究データがありました。

またピロリ菌をなくす除菌療法を行うと、90%の方の胃の中からピロリ菌がなくなるそうですが、口の中のプラークの中には除菌療法を行っても60%が生き残っているそうです。

プラークとは細菌が出したネバネバするものと、その中に含まれる大量の細菌とで出来ています。分かりやすく言えば細菌のすみかです。

細菌はそのプラークの中で増殖をしてさらにすみかを大きくしていきます。細菌にとってプラークは居心地がとてもいい場所になるのです。その中には虫歯のバイ菌や歯周病菌などが大量にあります。

ピロリ菌もその細菌がすみやすい環境に守られて、除菌療法を行っても生き残ってしまうようです。

細菌が大量発生するプラークをしっかりと取り除くことが出来れば、虫歯や歯周病の予防歯もちろんのこと、そのほかに胃潰瘍の予防にもなるのかもしれませんね。


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女性の元気は口元から

-Dr.志村対談集-

女性歯科医師である 志村先生による、 女性向けの歯科の話をご紹介していきます。

女性に対するむし歯や歯周病の治療の話を対話形式で書いてあります。

思春期・女性ホルモンについて・妊娠・出産・骨粗しょう症・更年期・ドライマウス・老年期など女性特有の話題とはとの関係が満載です。

思春期から成熟期を経て更年期へ
女性のからだは年齢にしたがって変化していきます。
その変化のかじ取りをしているのが女性ホルモン
ところで、このホルモンが女性の口の健康と
深い関わりがあることをご存知ですか?
それぞれのホルモンステージごとに
起こりがちなトラブルとその原因を知って
予防と、いきいきした毎日に役立ててください

Dr.志村(NTT東日本関東病院歯科口腔外科)

(Dr.志村対談集)

-なぜ女性外来?-

━志村先生は、勤務医として歯科口腔外科で「ドライマウス外来」を、そしてご自分の歯科医院で「ドライマウス女性専用外来」を開設なさっておられるんですね。

志村

はい。ドライマウス外来は2000年に、ドライマウス女性専門外来は2003年にはじめました。

━ 歯科のジェンダー医療として、先生の医療活動が健康雑誌や週刊誌にもとりあげられて話題になっています。「ジェンダー医療」は、内科やがん治療などでしばらく前から盛んで「女性外来」が好評だと聞いていますが、歯科医療でも「女性外来」が誕生してきているとは、最初は意外な感じがしたんです。

志村
そうかもしれませんね。ところが、口のトラブルには、女性ならではの症状と原因があるんですよ。このことがまだ広く知られていないのが残念です。

-ホルモンで変化する女性の一生-

志村

私は、医師や看護師、管理栄養士などで組織する「性と健康を考える女性専門家の会」に歯科医師として参加させていただいています。女性のための医療の推進を目指す会なのですが、ここで学んだこと、そして啓発活動を通じて考えたことが、歯科の「女性外来」を通じて病気や、そしてからだ全体を診ていこうという思いへとつながっているんです。

━そうなんですか。

志村

成長し、成熟し出産期をむかえ、その後更年期を過ぎて高齢期へと続く女性の一生には、さまざまなホルモンステージごとに特徴的に、口のトラブルが起こりやすいことがわかってきています。その多くは女性ホルモンの影響によるものなんです。

それで、歯科医療でも、遅ればせながらジェンダー医療がはじまっているんです。

-迷信に惑わされないで-

━男性と女性では、そんなに口のトラブルに違いがあるんですか。

志村
はっきりとあります。
「ホルモンによって、女性の一生は変わっていく」といい切れるほど、女性のからだは女性ホルモンの影響を受けています。
女性は、女性ホルモンの分泌が増える思春期ごろから、体型が急速に変わっていきますよね。初潮から、10歳代、20歳代と成熟期をむかえます。このように、女性のからだは男性とはまったく違った成熟を示すわけです。
女性に特有の口のトラブルというと、たとえば「女性は出産すると歯が弱くなる」と聞いたことがありませんか?こうしたことはたしかに昔からいわれてきたのですが、「赤ちゃんがカルシウムをたくさん使うから仕方ないんだ」、という迷信を信じて、あきらめてきてしまったように思います。

━たしかに、出産後に歯の悩みを抱えるようになったという話はよく聞きますね。

-口の健康をどう守る?-

志村

ホルモンステージの変化は、女性の「からだの変化と健康の節目」でもあるわけです。ですからホルモンステージの視点から歯科的にアプローチするのことは、口の健康を、「全身の健康を支える重要な機能」としてとらえて治療を行っていくうえで、とても大切なことなんです。

ホルモンステージごとに、どんなトラブルに気をつけたらよいのか、予防のためにどんなことをすると効果的か、いざトラブルが起こってしまったときに考えられる原因は?、などの情報も患者さんに届けることができますからね。

女性のホルモンステージの分類

思春期(6歳~18歳くらい)

成熟期(18歳~40歳代半ば)

更年期(40歳代半ば~50歳代半ば/個人差あり)

老年期(65歳以上)

-女性ホルモンと歯周病-

━それはこころ強いですね。でも、なぜ女性ホルモンが女性の歯と口に深く関係するんでしょうか。

志村
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。こうしたホルモンは、月経、妊娠などに作用するほか、自律神経、感情の働き、皮膚、骨、筋肉など全身に影響を与えます。それと同じように、口にも影響を与えるわけです。女性ホルモンのプロゲステロンは、歯肉の血管に働きかけて、歯肉溝(歯と歯ぐきのあいだにある溝でプラークがたまりやすく歯周病の原因になりやすいからの浸出液の分泌を増やします。そして、毛細血管の内皮細胞を変化させて、炎症反応も増やします。つまり、少しのプラークでも炎症が起こりやすくなるので、歯周病になりやすいわけです。

━それでは、女性ホルモンがたくさん分泌されているときには、歯周病になりやすいということですか

志村
そうなんです。そのため、女性ホルモンの分泌が急速に増える思春期や妊娠期に歯ぐきがひどく脹れやすくなります

━そういえば、中学生のころに歯ぐきが脹れた記憶があります。

志村
思春期の女の子特有の歯肉炎だったかもしれませんね。それではまず、思春期に起こりやすいトラブルからご説明しましょうか

-思春期にご注意!-

志村

エストロゲンとプロゲステロンという、先ほどお話した女性ホルモンの分泌が活発になります。プロゲステロンの量が増えると先ほどお話したように、歯ぐきが過敏になり、すこしのプラークでもひどく炎症を起こして、赤く腫れたり出血したりするんです。

━不思議ですね。

志村

歯周病菌のひとつであるプレボテラ・インテルメディア菌は、女性ホルモンを栄養としています。それで、女性ホルモンが増えると、細菌の数も増えるわけです。

━女性ホルモンの多いところに寄ってくるんですね。

志村

そうです。ですからこの時期は、とくにブラッシングをていねいにすることをおすすめします。そして、歯科医院で定期的に歯石をとるなど、プラークコントロールを効果的に行うことが大切です。

━わかりました。

志村

それから、思春期にかぎらず、月経が近づくと、周期的に起こるホルモン量の変化で歯ぐきが腫れたり、口内炎ができるなどのトラブルが起こりやすくなります。こうしたトラブルは、月経がはじまると自然になくなることが多いです。

━口内炎がいつできるか、 日ごろ気をつけていると女性ホルモンの影響を実感できるかもしれませんね。

-妊婦さんは?-

━ところで、成熟期の女性の大きな節目というと、妊娠・出産がありますね。この時期にはどんなトラブルが起こりやすいですか?

志村

妊娠期は、女性ホルモンの分泌がかなり増えます。妊婦さんのお肌はスベスベして、とてもきれいですよね。これは女性ホルモンがさかんに分泌されているからです。

━こういうよいこともあるかわりに・・・。

志村

そうなんです。口の健康にとっては、気をつけなければならない重要な時期です。

妊娠12週~13週には、エストロゲンとプロゲステロンの濃度が上昇するんですが、このとき、妊娠初期に比べて、歯周病菌であるプレボテラ・インテルメディアという菌が、5倍にも増加します。

━そんなに増えますか。

志村

ええ。ですから、妊娠気には歯肉が炎症を起こす「歯肉炎」、それから歯肉炎がもっと進行してしまった「歯周炎」になりやすくなります。

-歯周病菌は女性ホルモンが大好き-

志村

ただでさえ、妊娠期は、つわりがあったりしてプラークコントロールがついおろそかになりがちです。それで、歯周病には、むし歯にもなりやすい面があります。そのうえ、口のなかの歯周病菌が5倍にもなってしまう。

しかも妊娠中の歯科受診については、不安感が大きいでしょう。かかりつけ歯科医がないと、妊婦さんは、つい受診せずに過ごしてしまいがちです。無理もないのですが、これはとても残念です。

━それで、出産したころから歯が弱くなったと嘆く方が多いんですね。

志村

そうなんです。受診時期を逃して重症になってしまう方もなかにはおられますからね。とはいえ、日ごろから口のなかを清潔に保ち、妊娠前に治療をすませておけば、防ぐことは十分できます。

それから、歯周病の妊婦さんの場合、早産・低体重児出産のリスクが7.5倍にもなるという報告もあります。

━それはこわいですね。日ごろから努力してプラークコントロールに励むことが大事だという訳がよくわかりました。

-妊娠中に歯が痛くなったら?-

━とはいえ、現実には、妊娠中に口のトラブルに悩まされる方もいると思うんです。そうした場合、妊娠していると、治療をすることでお腹の赤ちゃんに影響が出ないかと心配です。

志村

でも、歯が痛んだり、歯肉が腫れているのを我慢しなくてはならなかったら、つらくて、食事もままならないですよね。食事は、赤ちゃんにとっても、母体にとっても、とても大切です。

治療する時期やおもな検査、薬について、患者さんからよくあるご質問への一般的な答えをお教えしましょう。もちろん妊婦さんの体調などを考慮しなければなりませんから、詳しくは、治療する歯科医院に妊娠していることを伝えて、ご相談いただきたいと思います。

-妊婦さんの口腔のトラブルの訴え-

50.0% 歯が痛い

31.9% 歯ぐきから出血する

18.9% 口腔に不快感を感じる

13.9% 口臭が気になる

13.0% 歯ぐきが痛い

12.6% 訴えはない

9.2% その他

6.3% 口の中が乾きやすい

3.8% 歯ぐきの色が悪い

2.9% 歯茎がやせてきた

1.3% 歯が動く

7.6% 無回答

2004年女性の健康と歯周病フォーラム調べ(全国の産婦人科238件を調査)

-妊婦さんは歯の治療をしても大丈夫?-

<治療に適した時期について>

① 妊娠4ヶ月くらいまで

このころはつわりがあったり、精神的にも不安定なことがあります。また胎児もまだ安定しないので流産しやすい時期です。治療は応急処置にとどめましょう。

② 4ヶ月半~7ヵ月半

胎盤が完成して胎児も安定してきます。抜歯はふつうの場合可能ですが、なんといっても妊婦さんは疲れやすいので、長時間の処置は避けたほうがよいでしょう。

③ 8ヶ月以降

出産間近のこの時期は、ちょっとした刺激で子宮が収縮を起こし早産につながる可能性もあります。応急処置が望ましいでしょう。

<X線について>

歯科検査に用いられるX線の放射量はごくわずかなので、基本的にプロテクターをきちんとつければ問題ないとされています。撮影する側の注意としては、撮影の主軸が子宮方向に来る場合は、とくにプロテクトに気をつけることが必要になります。

<局所麻酔薬について>

歯科外来で使われる局所麻酔薬は、大量に使用されることがないので大きな影響は与えないといわれています。ただ、注射の刺激が流産を招くことがあると考えると、まだ安定期に入らない妊娠3ヶ月までは避けたほうがよいでしょう。また臨月に近い8ヶ月以降も避けたほうがよいとされています。

<薬剤について>

妊婦に対する安全性が完全に確立されている薬剤は、現状では残念ながら存在しません。そのなかでは、抗生物質のペニシリン系、セファロスポリン系は害が少ないといわれています。ただし、妊娠中毒症を起こさないよう、妊婦さんの腎機能など十分な注意が必要です。

-妊娠・出産で歯は弱くならない-

━通常の場合、むし歯治療もできるんですね。安心しました。

志村

できますよ。むし歯が痛いままだったり、歯ぐきが腫れて痛んだりでは、思うように食事もできなくなってしまいます。そのことも大きな問題です。赤ちゃんの成長のためにも、母体の健康のためにも、食事はとても大切です。妊娠期を順調に楽しく過ごすためには、歯石の除去やむし歯治療は必要なのです。

とはいえ、よほどの症例がない限り、極力X線検査や投薬は避けたいですから、応急処置を受け、出産後なるべく早く、再度受診なさるのが望ましいです。

また、女性のからだにとって、とても大切な節目をむかえているわけですから、とくに注意をしてプラークコントロールをしていただきたいです。妊娠期の歯質がとくにむし歯になりやすくなっている、なんてことは決してないんですから。

-プラークコントロールを!-

━いまにして、「知っていればなあ」と残念です。

志村

妊娠・出産以降のお口の環境の悪化は、これまでは妊婦さんのブラッシング不足や、妊娠すると歯が弱くなるんだから仕方がないといわれてきました。でもこれからは、「ホルモンステージの変化による影響を受けやすい時期だからだ」、とまずは知っていただきたいと思っています。

でも、現状では、母親学級などで口腔ケアについての指導が行われることは、まだまだ少ないんです。これはとても残念なことだと思っています。産婦人科での定期健診などでも、この時期の女性ホルモンと歯周病の関連について伝えていただけるとよいのですが。歯科医療関連の指導があまり行われていないのが現状なんです。産婦人科との連携を強めて、口腔ケア指導を広めていかなくてはなりませんね。

━そうですね。生まれてくる赤ちゃんのむし歯予防にとっても、親自身が口を清潔にして、むし歯菌を赤ちゃんにできるだけうつさないようにすることが大切だそうですし。

志村

むし歯菌であるミュータンス菌は、生まれたての赤ちゃんの口のなかにはまったくいませんからね。家族など、周囲の大人からうつってはじめて赤ちゃんのむし歯ははじまるんです。プラークコントロールは、自分のためだけでなく、家族のためでもありますね。

-更年期以降は?-

━更年期以降は、逆に女性ホルモンが少なくなってくるわけですね。そうしたときには、どんなことに気をつけたらよいのでしょう。

志村

今度は女性ホルモンが急激に減ることによって起こってくる問題もあるわけです。

個人差はありますが、40歳を過ぎたころから月経が乱れはじめ、エストロゲンが減ってきます。エストロゲンは、骨量と骨密度を保つのに重要な役割を果たしています。そのエストロゲンが減ってくると、骨がスカスカになる骨粗しょう症が起きやすくなります。

骨粗しょう症は、歯周病とも深い関係があります。歯は、歯槽骨という骨を土台にして本来がっちりと支えられているのですが、その歯槽骨は、歯周病がひどくなると、少しずつ溶けてなくなっていってしまいます。

-歯周病と骨粗しょう症-

志村

まして、骨粗しょう症で骨密度が低くなっていると、歯周病はますます進行しやすくなります。ブラッシングをていねいにして歯周病を防ぎ、大豆などエストロゲンを多く含む食品を摂って、減ってしまったホルモンを補うとよいでしょう。ただし、薬剤による過剰な摂取には注意が必要です。そのほか、骨を強くするカルシウム、たんぱく質、ビタミンやマグネシウムなどを多く含む食品を摂ることをおすすめします。

━更年期には、歯周病が進みやすいので注意が必要ということですね。

志村

はい。それから、男性でも女性でも加齢とともに唾液の分泌量が減ってきます。それは口の周りの筋肉が衰えることで噛む力が弱くなり、噛む回数が減ると唾液の分泌量が減るということも関係します。また、加齢とともに唾液の分泌能力も落ちます。

とくに女性は、更年期以降、女性ホルモンの分泌量が減ることで、口のなかが乾くのです。

-ドライマウスと女性-

━女性ホルモンは、唾液とも関係があるんですか。

志村

女性ホルモンには、からだの皮膚粘膜を保護し、うるおいを保つ働きがあります。そして、ホルモンバランスの乱れから、唾液の分泌量が減ることもあります。そのため、ドライマウスは、更年期以降の女性に多くなってくるのです。私が勤務しているNTT東日本関東病院のドライマウス外来においでになる患者さんの9割が50歳以上の女性です。

━圧倒的に多いですね。

志村

そうなんです。口が乾くと口のなかが粘るような不快感がありますが、これが慢性的になると舌の表面がひび割れたり、舌や口のなかが痛んだりします。また、食べ物が飲み込みにくくなったり、舌の痛みで熟睡できないとか、しゃべりづらかったりというような支障がでてくるわけです。

さらに、唾液には、抗菌作用や自浄作用のほか、歯の再石灰化を助けるなど、口と歯の健康を守る大切な役割がありますから、唾液が減ると、口臭が強くなったり、むし歯や口内炎になりやすくなります。

-しょうゆがしみて痛い-

━ドライマウスの影響って大きいんですね。

志村

とても大きいですね。会話がきちんとできなくなったり、おしょうゆがしみて刺身が食べられなくなったり、おかゆしか食べられないなど、ドライマウスの症状は日常生活への支障も大きいです。

ところが、日本では病気としての認知が遅れていて、「年だから」「更年期だから仕方ない」と、適切な処置がされることがほとんどありませんでした。それで、ドライマウスの症状がありながら、我慢しておいでの方も多いのが現状です。

最近では、歯科口腔外科にドライマウス外来を開設する医療機関が増えています。ぜひ我慢しないで、専門外来を受診してください。

━隠れているけれど、患者さんは意外に多いということですか?

志村

そうです。人知れず悩んでいる方は多いはずなんです。目が乾くドライアイと同じように、日本国内で800万人ほどいるのではないかと試算されています。

━そんなにいるんですか。

-症状の原因は複合的-

志村

ドライマウスの原因には、女性ホルモンの分泌の低下や加齢のほかに、ストレス、服用している薬の副作用、がんの放射線治療などの影響、糖尿病などもあります。

薬の副作用としては、抗うつ剤や精神安定剤、睡眠薬や、高血圧の治療に用いられる降圧剤のなかに唾液の分泌量を少なくする作用のものもあります。ちょうど体調の変化があったり、病気の罹患率が高まる年代で、さまざまな薬を常用する方が増えてくるころですよ。

━たしかにそうですね。

志村

年齢、持病と薬、ストレスなど、さまざまな原因が複合的に関わっているケースが多いです。とはいえ、ほかの病気の治療に飲まなければならない薬を、ドライマウスだからといって突然「飲むのを止めてください」というわけにはいきませんよね。それでは患者さんの悩みはかえって深くなってしまうかもしれません。

-原因を知ってリラックス-

志村

そこで、まずは病気の原因について知っていただき、情報不足で不安になっている気持ちをサポートします。リラックスすると、唾液はでやすくなるんですよ。緊張する場面では、口が乾きやすいでしょう。私の診療室では、まずジャスミンティーをお出しして、飲みながらお話を伺います。

そして、薬の常用を続けながら、唾液を増やす方法を総合的に指導していきます。保湿ジェルや保湿スプレーの使用法について指導し、当座の痛みを減らすことができるだけでも患者さんのストレスは激減します。そして発泡剤が含まれない歯磨き剤を使い、ガムを噛み、体液の循環をよくするために運動をし、唾液腺マッサージを行っているうちに、少しずつ症状が改善していきます。

訳もわからずに苦しんでいたころとは、表情もまったく違って、笑顔も戻ってきます。そうしているうちに、ストレスやうつの症状が軽減されて薬の服用も減る、というケースも少なくないのです。

━症状を理解することがとても大切なんですね。

志村

そうです。女性ホルモンが減ってきまいますし、そのほかにも原因としてこんなことが考えられますよ、という適切な情報が、患者さんには必要なんです。そのことで安心できるんですよ。ですから女性に多い病気について、ぜひ広く知っていただきたいです。

━ほんとうにそうですね。

-シェーングレン症候群?-

志村

ただし、こうした指導で改善しないケースもあります。それはシェーングレン症候群といって、ドライマウスの症状のなかにこの思わぬ病気が隠れている例も少なくないのです。

シェーングレン症候群は、自己免疫疾患で膠原病の一種なんです。日本では患者数は10万人から30万人とも推定されていて、関節リウマチなどと合併していることもあります。自分の涙腺や唾液腺を免疫細胞が異物として認識してしまうので、そこに炎症が起こり、涙や唾液の分泌量が極端に減るため、ドライアイやドライマウスという症状があらわれます。

患者さんの男女比は、1対14と、圧倒的に女性に多いんです。40歳代から60歳代に発症することの多い病気です。口腔検査、病理検査、目の検査、血液検査のうち2つ以上の検査で異常が見つかるとシェーグレン症候群と診断されます。

━どんな治療法があるのですか?

志村

いまのところ、根本的な治療は見つかっていません。対症療法が中心になります。内科では全身の管理を、歯科では塩酸セビメリン水和物を処方してドライマウスの治療をします。眼科でもドライアイの治療をします。こうして各科が連携して治療をすることが必要です。

-ドライマウス治療は専門分野の連携が必要-

━総合的な治療と指導が必要なんですね。

志村

そうです。ドライマウスの治療にあたるなかで、私は他の医療分野とのネットワークに必要性を実感してきました。たとえば、糖尿病の患者さんには、そちらの治療を優先していただかなくてはなりません。歯科医だけでは多くの患者さんを救えないのではないかと考えたからです。複合的には絡まりあう原因の全体像を把握して、理解し、医療的な処置も総合的に行っていくことが大変重要なんです。

そこで昨年、歯科医、内科医、耳鼻科医、産婦人科医、看護師、薬剤師に加えて、咀嚼学の専門家、管理栄養士、料理研究家などが参加するドライマウスネットワークを設立し、代表になりました。

-ドライマウスネットワーク-

━それぞれの専門分野の研究の情報交換ができるんですね。

志村

医学的な情報交換だけでなく、飲み込むことがつらくなっている患者さんには、おいしくて食べやすい料理を薬膳料理の専門家中村きよみさんが考えてくれます。そして、スポーツ科学の鈴木正成先生はドライマウスの改善に役立つ体操を考案してくださる、という具合に、あらゆるアプローチができるわけです。

━しかも、とても楽しそうです。

志村

ええ。ほんとうに楽しいですよ。昨年末には、患者さんに参加していただいて、「ドライマウスネットワーク・ランチセミナー」を開きました。ドライマウスについてのレクチャーを内科医に菅井進先生から、ドライマウスの方のためのおいしいお料理の試食と作り方のレクチャーを中村きよみさんから、そして口腔ケアのコツについては私からお話しました。

━患者さんにとって楽しくておいしくてためになるわけですね。

志村

(笑)、そうですね。患者さんにとっては、同じ悩みを持つ人同士の交流の場にもなるんです。

━励まされるでしょうね。

志村

そういう場所が必要なんですよね。情報不足は患者さんに孤独を作り出してしまうでしょう?日本では、女性に多い病気への理解が遅れていますから、ぜひ広く知っていただきたい。そして、若いころから、更年期を過ぎてから、そうした情報を活かしていきいき過ごす毎日に役立てていただきたいと思います。

-ドライマウスの症状を和らげる-

ドライマウスのつらい症状を和らげる、保湿ジェルの使い方

①指先に少量とり、舌におきます。

②舌で口の中全体にいきわたるようにします。入れ歯をお使いの方は入れ歯の内面に塗ると楽になります。

③夜間はとくに(健康な方でも)唾液の分泌が減ります。寝る前に塗ると効果的です。

「乾いているな」と思ったら随時使用できます。副作用がありませんので安心して使ってください。ドライマウスの症状のつらさは、感想感と舌の痛みです。ジェルなどのケア用品の使用でつらい痛みや不快感を和らげることがストレス緩和にもなります。ぜひ試してください。口の中全体に舌でジェルをいきわたらせることは、唾液腺の機能を高めるための舌のストレッチにもなります。

(Dr.志村対談集より)


ここの管理人は

栃木県日光市の歯科 【日光の歯科 沼尾デンタルクリニック】

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