精密な歯科治療のトレーニング

歯の治療は非常に細かな部分を治療するので、その細かな部分を拡大をしてよく見えるようになれば治療の精度は格段に上がります。それを可能にしてくれるのが手術用顕微鏡という機械です。

テレビで行っている医療の手術シーンによく出てきますが、覗きながら手術を行っているものが顕微鏡です。

手術用顕微鏡を使って患部を見ると、通常肉眼では見られない細部までよく見えます。イメージとしては双眼鏡で覗いたときに、遠くのものが手に取るように見えているのと同じような感覚です。

良く見えるために痛みなどの原因も良く見えることが多々あります。見えれば治療の成功率も上がります。そのため手術用顕微鏡は非常に有用な機械なのです。

 

ただし、手術用顕微鏡を使いこなすためにはそのスキルが必要です。

手術用顕微鏡を導入してからスキルアップをはかってきましたが、今回さらなるレベルアップを目指すために顕微鏡歯科治療の研修を受けてきました。

顕微鏡を使いながら直接指導をいただき、新たな知見や使用方法などを学びました。

セルフトレーニングの方法も学んできたため、今後研鑚を積んで、顕微鏡歯科治療のレベルアップをはかっていきたいと思います。

 

 

歯を温存するための根の治療 -実習と講義に参加ー

歯科大学病院にて2日間にわたり、歯を温存するための治療の、実習と講義に参加してきました。
1日目は歯の治療の実習をします。実習をするために机が、一人1台与えられます。

ここでは歯を温存するための歯根の治療の専門医たちが多数おりました。
そして専門医たちから丁寧な指導を丸一日うけてきました。
専門医から診る、病状の把握、治療のコツ、難症例の対応の仕方など貴重な指導をしていただきました。

多種類の機材を駆使して難しい病状に挑みます。
少人数での実習だったために、細かなところまで指導をしていただきました。
今まで分からなかったことも、解決するようになりました。
少しでも専門医に近い治療ができるように、これからも精進し続けたいと思います。

2日目は午前中は講義、午後は治療例の発表会でした。
他の歯科医師の治療例は大変勉強になります。
今回得られた知見で、今まで温存できなかったケースも温存できるようにしていければと思います。

ただし、
むし歯が進行しすぎて重症化したものは、温存することができません。
それは専門医でも温存は不可能となり、抜歯せざるを得ません。
歯を温存するためには、やはりむし歯を進行させないことが大前提です。
むし歯を進行させないためには、むし歯予防が大切になります。
歯磨きだけでは十分な予防ができないので、詳しくは歯科医院にて相談してみてください。

お口の健康を守る歯科衛生士さんの勉強会に参加してきました。

お口の健康を守るには歯科衛生士さんが欠かせません。
なぜなら、口腔衛生管理がお口の健康を守るには必須であり、
口腔衛生管理のスペシャリストが歯科衛生士さんだからです。

 

この口腔衛生管理とは?
お口の中には歯周病菌や虫歯菌など数百種類の細菌が住みついています。そして常に増殖し続けて行くので、その結果お口の中にいろいろな病気を発症させます。
そうならないように細菌の増殖を抑えるようにしていくことが口腔衛生管理です。

 

お口の中のいろいろな病気から守ってくれる口腔衛生管理を、ご本人と二人三脚で行っていくのが歯科衛生士です。
その歯科衛生士さんの仕事ぶりの報告会がありました。
参加された歯科衛生士さんは患者さんと真摯に向き合っており、その結果患者さんのお口の健康を守り続けている方たちばかりでした。

学ぶべきことがたくさんあった勉強会だったので、それらの内容を当クリニックでもフィードバックしていきます。

インプラントは必ず一生もつのか?

インプラント周囲炎
タイトルの答えは 「否」 です。
スウェーデンから大学教授が来日し、インプラントに起こる問題について、講義を聴いてきました。
インプラントとは、自分の歯が無くなってしまった場合、金属製のボルトをあごの骨の中に埋め込みその上に歯を作る治療方法です。
世界中で行われているメジャーな治療方法で、適応がマッチすればとてもいい治療方法の一つです。
ただ、インプラント治療後にずっと使っていくためには
毎日、自分にきちんとお手入れをしていき、
定期的に、主治医のところでチェック&クリーニングを行う必要があります。
もし、それを怠るとインプラントの周りにも病気が発症します。
それは
歯肉が腫れたり、
歯肉から膿が出たり、
痛みが出るようになったり、
インプラントがグラグラするようになったり、
などの症状になってしまい、
最終的にあごの骨を削ってインプラントを取り外すようになってしまいます。
インプラント治療には限りませんが、治療にはリスクとメリットが必ずあります。
リスクとメリットをよく検討してみることを強くお勧めいたします。

歯や口の中の痛みは必ずしも虫歯ではない。

歯や口の中に痛みを感じたことはありますか?
その痛みの原因は虫歯のときもありますが、虫歯以外の原因でも痛みが出る場合はよくあります。
そのような歯や口の中に出てくる痛みについて、研究をして議論をし学んでいく学会があります。
それは日本口腔顔面痛学会というもので、先日その学会へ参加してきました。
歯や口の中だけではなく、顔面や顎などにもおよぶ痛みに関して様々な発表と議論がありました。
痛みの原因を特定することは、時々非常に難しい場合があります。
そのような場合の対応策についても学ぶことができました。
さらに、まだまだ知識や経験不足な面もあることを実感し、今後さらなる研鑚の必要性も感じました。
痛みに悩まれている患者さんへ、より良い医療を提供できるように努めていきたいと思います。
日本口腔顔面痛学会と日本顎関節学会

歯を温存する新たな学び 2017in栃木

日本歯内療法学会という主に歯の神経の治療を研究する学会があります。
その研究は虫歯になった歯を少しでも長く温存させるためにはどうすればいいか?ということがテーマの一つにもなっています。
そんな歯を温存するための学会が主催した研修会が栃木県で開催されたので参加してきました。
普段は日本全国各地で行われているものなので、参加するためには診療を休診にしなければならないのですが、
今回は地元開催でしかも休診日の開催だったのでとても助かりました。
虫歯によって歯の神経がダメになったり、痛くなったりすることの原因は多種多数のばい菌によるものです。
ばい菌が大量にいると虫歯は進行し、神経は腐り、歯の根の周囲に膿がたまってきます。
そのうち歯肉や顎が腫れたり、我慢できない激痛が始まったりします。
そのようにならないように、そのばい菌を撲滅することが、歯を長く温存していくためには重要なことになります 。
今回の研修会では、ばい菌撲滅するための新しい研究や新しい治療器具なの講習を受けることができました。
早速ですが診療にフィードバックをさせて、より多くの歯を温存できるようにしていきます。
ただ、もう温存できないくらい進行した手遅れの状態になってしまっては
どんなに研究や治療方法が進化しても、温存することはできません。
手遅れになるまえに早期の治療をすること。
でも、理想は虫歯にならないよう予防をしておくことが一番いいのです。

歯が痛くなっても、歯に原因があるとは限りません。

第21回日本口腔顔面痛学会学術大会 

歯が痛くなると、歯科医院を受診されると思います。
しかし、歯が痛いのに、痛いはずのその歯にむし歯が全くないこともあります。

それでは、なぜ歯が痛くなっているのでしょうか?
それは歯以外の他の場所に痛みの原因がある時に、健康な歯でも痛みを感じることがあるからです。
もちろん痛みの原因が歯にないので、歯の治療をしても痛みは変わりません。

では、他にある痛みの原因とはどんなものなのでしょうか?
それは、筋肉であったり、神経であったり、鼻だったり、血管だったり、ウイルスだったりなど
歯以外の様々な場所に、ある特定の病態が原因となって、歯が痛く感じることがあります。

そのような歯や口の周りの痛みを科学する学会が「日本口腔顔面痛学会」です。
今年もまた口腔顔面痛学会に参加してきました。

痛みの診断をするためには、
さまざまな原因があるので幅広い知識と診断能力が必要になります。
その原因によっては、耳鼻科、脳神経外科、内科、皮膚科などの様々な専門のドクターと連携をとって
治療が必要になることもあります。
そのような知見を得るために、日本口腔顔面痛学会に参加しています。
今回の学会でもいろいろな知識を得ることができました。
これを日々の診療で患者さんへ最大限に還元できるように、していこうと思います。

他の歯科医院で「全部抜歯」と言われた方が、歯周病治療で歯を抜かずに済んだ話

日本歯周病学会という歯を温存することを目的とする事を研究発表をする場で、歯科では最大級の学会です。その学会が時々研修会を開催しています。
今年は栃木県がその対象になり開催されたので、参加してきました。

学会を代表する著名な4名の講師の講義を聴講しました。その中でも歯を温存するにあたって、非常にいいお話だったものをご紹介いたします。

臨床経験が長い講師からは40年以上経過をした長期経過の治療例の紹介がありました。
歯周病のためずっと悩んでおり受診した歯科医院では「全部の歯を抜歯しないとダメだ」と言われた方が、40歳にして初めてこの講師の方の診察を受け、そこから二人三脚で歯を温存する治療を開始しました。
そして、その方は80歳代でお亡くなりになったとのことですが、それまで1本も自分の歯を失うことがなかったそうです。
今回の講習ではその治療内容や患者さんの努力などを細かに教えていただきました。

これは歯科医院での歯を温存する治療を行ったことはもちろんですが、それと同時に大きな要素として自分の歯を失いたくないという患者さんのすさまじい熱意があったから成功したとのことでした。
その熱意は毎日の自分のお口の中のお手入れに注がれ、非常にきれいな状態を保っていたそうです。

毎日歯磨きを行っても磨きのこしをなくすることはかなり至難の業です。しかし、その方はほとんど磨きのこすことはなく、逆に毎日ピカピカに光るほどの状態を維持していたそうです。
ここまできれいにしておけばばい菌の増える機会もないため、歯周病という病気も進行することはなくなることを実践した例でした。

もちろんしっかりとした歯周病治療が必要なことは言うまでもありません。そのためにはしっかりと歯周病検査をして、今の歯周病の病態がどのような状態なのかを、医療者と患者さんで共有して治療に挑む必要があります。
そして今回の実例のように、治療が成功すればするほど医療者と患者さんとは非常に長い付き合いとなります。

患者さんとの良い関係のもとに二人三脚で治療を行っていくことの大切さを改めて実感した研修会となりました。

日本歯周病学会関東地区臨床研修会

有病率8割に対する挑戦!

2015-05-16 08.24.46

「有病率8割に対する挑戦!」
今回の歯周病学会のサブテーマはこれでした。

幕張で開催された歯周病学会へ参加してきました。
学会では大学などでの日頃の研究成果の発表が行われたり、
海外の研究者をお招きして講演を行ったり、
色々な治療例の報告が行われたし、
歯科医師や歯科衛生士向けにそれぞれスキルアップのための教育講演が行われたり
と、様々なことが行われています。

歯周病は非常に多くの方がかかりやすい病気です。そして重症化すれば歯が抜けてしまい、食事や会話などに支障をきたします。
そんな歯周病から、一人でも多くの方の歯を守っていければと思います。

近年の顎関節治療について

写真 1 (9)

日本顎関節学会会員なってからすでに17,8年ほど経過します。
その間に、顎関節疾患の診断や治療については年々変化していってます。
20年前に盛んにおこなわれていた治療方法の中には、今ではごく限られた症例にのみ行われているものもあります。
逆に研究が進んだことによって、昔はあまり積極的に行われていなかった治療方法が、最近の治療の中心になりつつあるものもあります。
これらは世界中で行われている日々の研究成果によってより良いものへと変化をしていきます。

このような変化は専門学会に所属しながら、継続的に学術大会へ参加をしていくことによって実感してきました。

医療の基本ではありますが、まず適格な診査をして顎関節疾患の診断をしっかりと行うことが大切です。
患者さんが訴えている病態が、どのようなものが原因で発症しているのかを的確にとらえなければいけません。
それによって適切な治療方法を選択し、患者さんへ提示をして同意が得られることによって、治療が開始されます。

最近の学術大会ではその診断についてのディスカッションがメインテーマとされています。
日本では日本顎関節学会が定める顎関節診断基準がありますが、世界にはそのほかにもいくつかの診断基準があります。
同じ疾患を診断するのでおおよそ類似してはいますが、細かな部分のニュアンスなどの認識がアップグレードされていたりする場合がありますので、
そのあたりも学会でのテーマになっているものもあります。

顎関節疾患の診断が確定すればそれに準じて治療方法が選択されます。
治療方法についてもたくさんの研究がなされており、最初の病態に対して有効な治療方法やあまり有効ではない治療方法はどのようなものがどれくらいの割合であるかなどの結果が出されています。

我々臨床医は、患者さんの病態を的確に診断し、適切な治療方法をいくつか提示し、患者さんと相談をしながら治療方針を決めていきます。
顎関節疾患は慢性的な疾患がほとんどなため、長く上手に付き合っていく必要性があります。