母の介護のため口腔ケアを行うときは、手袋をつけるべきですか?

Question 母の介護のため口腔ケアを行うときは、私も歯科衛生士さんのような手袋をつけるべきですか?

Answer もしケアをされる人、あるいはする人で何か感染症にかかっていれば手袋をすべきです。

家族の口腔ケアを行う際に、手袋をつけるかどうかは大変答えにくい質問です。口腔ケアに関する本を何冊か調べても記載されていません。歯科衛生士さんなど専門家が来て口腔ケアを行ってくれるのであれば、その人がゴム手袋をして当然と思います。でも家族同士の場合は別問題です。というのは手袋をつけることによって心理的な隔たりができるからです。

ゴム手袋をするのは感染予防のためです。専門家は、あなたのお母様だけでなくほかの要介護者の口腔ケアも行います。誰かの菌を他の人に移さないようにするためにも自らが菌の媒介者にならないよう感染予防のために手袋をするのです。そう考えると、たとえばケアをされる人がB型肝炎やC型肝炎などの感染症にかかっていれば、家族であっても手袋をすべきです。口腔ケアの際はとくに唾液や血液などに触れる最も感染の危険が高い作業だからです。逆に口腔ケアを行う人に感染症があったり、手指が汚れているときも手袋をすべきです。要介護者は免疫力が低下していて、感染しやすいからです。

ゴム手袋は品揃えがよいドラッグストアで手に入るでしょうが、ない場合は通販などがあります。水仕事用でも十分使えます。きれいに洗って乾燥させれば再度使用が可能です。

なぜニンニクを食べると口臭が出るのですか?

Question なぜニンニクを食べると口臭が出るのですか?また、口臭の原因となる食べ物、口臭を消してくれる食べ物について教えてください。

Answer 口臭の原因となる硫黄化合物や金属のセレニウムの化合物が含まれているからです。

ニンニクは、口臭の原因となる食べ物の代表です。しかし、多くの料理で欠かすことができないうえ、薬効のある大事な食品です。

ニンニク口臭は、ニンニクに含まれる硫黄化合物や金属であるセレニウムの化合物が原因です。両者ともに薬効成分で、前者はアリシンやアリインが有名です。これに似た成分は一部のビタミン剤にも含まれています。また、後者にはがん予防などの重要な薬効があります。

ニンニクを食べてすぐに出てくる口臭は、水を飲めばただちに消えます。しかし、食べた後の口臭がやっかいです。消化器でアリシンからつくられるアリル化合物がニンニク口臭の原因となります。この化合物は長時間にわたり体中に残ります。小さな一片のニンニクを食べても24時間以上残り、それが肺から呼気中に出てきます。これがあの嫌な臭いとなります。一方、食べて数時間の口臭は、もうひとつの原因物質セレニウム化合物が原因です。

興味深いことに、ニンニク口臭では大量のアセトンも出てきます。ニンニクの薬効により、体脂肪が分解されてアセトンに変化し、呼気や尿中に出てくるのです。つまり、ニンニクはダイエットにも効果があるわけです。

その他、ニラやネギ類、一部の香辛料、そして意外にもブロッコリーも口臭の原因になります。一方、パセリやパセリ油が口臭を消す食品として、ヨーロッパや北米で昔から信じられているところもあります。

乳歯が、生えてきた時からデコボコして着色が目立ちます。

Question 上の糸切り歯の乳歯が、生えてきた時からデコボコして着色が目立ちます。どうしてなのでしょうか?

Answer  乳歯の「エナメル質減形成」の可能性があります。お近くの小児歯科で相談してみてください。

こんにちは。乳歯の表面がデコボコしているのですね。生えてきた時からそのような状態だったのであれば、乳歯の「エナメル質減形成」の可能性があります。以前、生えてきたばかりの永久歯の表面が削れているように見える、とのご質問があり、お母さまの妊娠中の体調不良やお子さんが赤ちゃんの時に乳歯をぶつけたことがなかったか、などをおたずねしました。

乳歯は、おもに妊娠中に歯のエナメル質が作られるので、妊娠中に体調が悪かったり、全身の栄養状態が悪いと、うまく作られない部分が出てくるのです。そのため、乳歯のエナメル質減形成が1本だけで起こることは少ないといえます。反対側の糸切り歯(犬歯)のエナメル質はいかがですか?うっすら変色している、わずかにデコボコしているような部分はありませんか?

エナメル質減形成の対処法は、毎日の歯みがきをしっかり行うことに加え、フッ素で再石灰化を促し、歯質を強化することです。重症の場合は、歯医者さんで削ってつめ物をしてもらいますが、障害の程度が軽ければ、フッ素入り歯磨剤でみがく、キシリトールを取り入れる、歯医者さんで定期的に高濃度フッ素を塗ってもらう、などの削らない処置で経過を観察することができます。

着色ですが、クリーニングをしてもとれない時は、削って白いプラスチックをつめる場合もあります。気になる時は、お近くの小児歯科で相談してみてください。

口の中が乾いていると口臭が起こりやすいですか?

Question  口の中が乾いていると口臭が起こりやすいという話を聞きました。こまめに水やお茶を飲んでうるおせば解決しますか?

Answer  あまり期待できません。まずは唾液が本当に減っているのか、調べてみましょう。

確かに唾液の分泌量が減ると口臭が強くなります。ところが、正常の人は唾液を増やしても口臭は減らず、水を飲んでも効果は限られています。中には「チューインガムを噛んで、唾液を通常より増やすと口臭が減る」と誤解している方はいませんか?

あなたの場合は、唾液が本当に減っているのかまず調べてください。唾液が正常ならば、水を飲んでも強い効果は期待できません。一度、口腔外科などで唾液分泌量を調べてください。唾液が減っていれば口臭予防のために、こまめに水分を摂取するほか、唾液分泌の促進や人工唾液などが必要かもしれません。専門医と相談してください。

一方、唾液分泌が正常な人でも、長い時間しゃべったり緊張すれば、口が乾き口臭が出ます。こういう時、水を飲めば口臭は減りますが、せいぜい20~30分ぐらいの効果です。飲むだけでなく、何か固形物を食べて、それから水分を摂取してください。物を食べるという行為で口臭物質が8割減ります。ちなみに歯みがきでは2割しか減りません。

もしガムぐらいしか食べるものがないというのであれば、シュガーレスガムでなく、普通の「砂糖入りガム」にしてください。砂糖のため口が酸性になると口臭は発生しません。ただし、むし歯予防のため歯みがきを忘れずに。

口臭は歯周病が原因のことがはるかに多いので、その予防のため、3ヶ月~半年に1回、歯科医院での「歯石取り」も忘れずに。

歯医者さんで作るマウスガードの良いところを教えてください。

Question  歯医者さんで作るマウスガードの良いところを教えてください。値段は高いのでしょうか?

Answer 個人の歯型を採り、調製するため適合性に優れています。市販品よりは高めになります。

歯医者さんに作ってもらうマウスガードをカスタムメイド・タイプといいます。このタイプは、選手個人の歯型を採って口腔内にぴったり合うように調製されるので、市販品のものと比べ適合性に優れ、違和感が少なく設計における製作時の自由度に応えることにも可能になります。なんといっても正しいあごの位置や噛み合わせを付与することができることが重要なポイントだと思います。

このカスタムメイド・タイプのマウスガードには、その制作方法によりバキュームタイプ、ラミネートタイプ及び埋没填入タイプの3種類があります。

バキュームタイプは、製作が簡便、そのうえ比較的安価であるため、低年齢層や普及型タイプとして有用と思われます。

ラミネートタイプは、マウスガード材を加熱・加圧により層状に張り合わせることで必要な部分の厚みを増やせます。また材料・材質を変化させることで、衝撃吸収能の高いマウスガードの製作が可能となります。このタイプは、バキュームタイプよりさらに優れており、多くのニーズに応えられます。

埋没填入タイプは、入れ歯を作るのとほぼ同じ製作過程をとります。このタイプは、形態・厚みなどを自由に設計できることから、外傷を受けやすい部位の厚みを十分確保することができます。また繊細な仕上がりが期待できます。しかし製作過程に多くの時間と労力を要し、材料自体の価格が比較的高価なため、他の2つのタイプに比べ経済的負担が大きくなる傾向にあります。

「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

Q 先日娘から「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

A 歯周病かもしれません。3ヶ月~半年に一度歯科医院で歯石取りと掃除をしましょう。

この悩み、多くのお父さん・お母さん方からよく聞きます。原因は歳のせいでも、歯みがき不足だからでもありません。

本当に口臭が出てくる真性口臭症には、生理的口臭と病的口臭があります。前者は口臭の原因となる病気がないのに口臭が発生しますが、あまり強くありません。後者は、多くの場合歯周病が原因で、強い悪臭が特徴です。とくに中年になりますと歯周病が急に増えてきます。そこで、家族から「口が臭い」と指摘されることがあるようです。したがって、歯周病が原因の病的口臭かもしれません。

ところで、あなたは3ヶ月~半年に1回、歯科医院で歯石取りや歯の掃除・研磨をしていますでしょうか?歯医者さんに行くのは、歯が痛いときだけではないですか?歯科医院での歯の掃除は時間がかかるうえ、不快感もあるかもしれません。しかし半年に1回、歯の掃除をやってもらいましょう。歯周病の予防は「歯みがき」と「歯石取り」の2つが基本です。先進国では、ほとんどの国民が「歯石取り」を習慣としていますが、多くの日本人には、この習慣がなく、汚い口の人が多いようです。

あなたの場合はお嬢さんが口臭を指摘してくれたからラッキーでしたが、他人があなたの口臭に気づくと困りものです。私の調べでは、人々はあなたに近寄らないようになります。あるいは、あなたから顔を背けるという行動もとります。寂しいですね。

こうなるまえに、3ヶ月~半年に1回、歯科医院を受診して、「お口を爽やかに健康に」なりましょう。紳士の「おしゃれ」です。

ホワイトニング以外に歯を白くする方法は?

Q ホワイトニングをしたのにあまり白い歯になりません。なにか良い方法はありませんか?

A 歯の表面を薄く削り好みの白さの薄い板を装着するラミネートベニアという方法があります。

ホワイトニングでイメージしていた歯の色にならない原因をご説明しましょう。例えば歯のつめ物やかぶせ物はホワイトニングでは白くなりませんから、以前に大きなつめ物をしている場合、思い通りの白さにならないことがあります。また、小さい頃に大きな病気をし、ある種の薬(テトラサイクリン系抗菌剤) を長期服用した方は歯が変色することがあり、この場合も効果が出にくくなります。

このような場合「ラミネートベニア」という方法があります。これは、歯の表面を薄く削って、そこに好みの白さの薄い板(ベニア)を装着するもので、つけ爪を想像していただければよいと思います。ベニアの材料には、ポーセレン(陶材)やコンポジットレジン(プラスチックのような材料)があります。かみ合わせや歯並びの状態によっては適応できないことがありますので、事前に十分な診査が必要です。当院の場合、費用はポーセレンラミネートベニアで1本8万円(税別・2009年現在)です。

ラミネートベニアとホワイトニングの大きな違いは、後者がまったく歯を削らないのに対し、前者はわずかですが歯を削る点です。しかし、かぶせ物をする場合は歯の全周を削りますから、これに比べればベニアのほうがはるかに削る量は少なくて済みます。しかし、たとえわずかでも削った歯は元には戻りません。事前に歯医者さんと相談してください。

一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Question  せっかく治したのにむし歯ができて。一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Answer  きちんと歯をみがいていないと再びむし歯になることがよくあります。

確かに一度歯科医院でむし歯を治したのに、数年たって再びむし歯になると、悔しい気持ちになりますね。

歯科医は、むし歯をできるだけ必要最小限に削って、レジンという接着剤を詰めて治します。大きなむし歯で歯髄という神経を除去したケースでは、型を取り、歯科技工士が作製した金冠や差し歯を、接着剤を用いて、歯にくっつけています。

歯を完全に、そして永久に接着する材料は存在しません。現在、これらの接着剤の耐久性について研究が進んでいますが、口のなかという過酷な環境下では、5年以上たつと接着剤の接着性能が半減することがわかっています。

したがって、治してから数年もすると、詰め物やかぶせ物がとれたり、歯とのあいだにすき間ができることが考えられます。

さらに、毎日のブラッシングが不十分ですと、そのすき間からむし歯菌が再び侵入して、残っている歯質が酸でおかされ、再びむし歯となってしまうのです。

この再度生じた虫歯のことを「二次う蝕」と呼んでいます。

「二次う蝕」の発生頻度は10~20%前後と報告されています。ただ、よくブラッシングされている患者群では、その発生率は10%以下に下がることもわかっています。

むし歯を治したあとも安心せず、毎日毎食後のブラッシングを続けてください。

電動歯ブラシでみがくのは効果的ですか?

Question 自分で歯をみがけない人の歯みがきは、手でみがくのと電動歯ブラシでみがくのとでは、どちらが効果的ですか?

Answer  介護する方が介護される方の歯をみがく場合は、電動歯ブラシが効果的です。

自分で歯がみがけなくても、お口を清潔に保つことは大切です。最近は電動歯ブラシも市民権を得て、たくさんの種類があります。

さて、おたずねの件ですが、ひと言でいうと「自分でみがく通常の使用では、どちらでも同じ。しかし、自分で歯をみがけないため、介護する方が介護される方の歯をみがく場合は、電動歯ブラシのほうが効果的」です。

歯みがきで最も重要なことは、歯面に毛先を当てて、こすることです。自分で歯みがきをする場合は、毛先がどこに当たっているか口の中の感覚でわかります。でも他人の口は目で見ないとわかりません。とくに奥歯は、歯ブラシを動かすために頬を引っ張って隙間をつくり、その状態でのぞきこみながら歯ブラシを横に小刻みに動かさなければなりません。しかも相手は動いたり、文句をいったりするなど、大変な重労働です。みがく人とみがかれる人の双方が慣れるとコツがわかり、少しは楽にできるようになりますが、やはりきれいにみがくのは大変です。電動歯ブラシがおすすめなのは、毛先を歯に当てることだけに専念できるので、小刻みに動かさなくても、楽できれいにみがけるからです。

電動歯ブラシも多種多様ですが、介護されている方の歯をみがく場合は、ヘッドが小さいものが使いやすくておすすめです。最近は、毛先が一列に植毛していなくて、カップ上に丸く植毛してある製品がいくつか製品化されています。

矯正治療は大人でもできますか?

Question 子どもの矯正治療を見て、わたしもしたくなりました。大人でもできますか?費用は大人と子どもとではちがいますか?

Answer  大人でもできます。費用は子どもと基本的に同じです。

当院では「子どもが治ったのをみて私も」「うちの子と一緒に」というお母さまが多くなっています。励ましあって矯正治療をなさる姿はとても微笑ましいものです。

ちなみに当院では永久歯の治療に変わりないので、大人も子どもも同じ料金です。

矯正技術の進歩によりいろいろな矯正治療法がありますので、歯が存在し、それを支える歯槽骨さえあればいくつになっても矯正適応年齢です。アメリカ矯正学会で有名なザクリソン先生は、60代はもとより70代、80代の方の矯正治療例を発表されました。

例えば62歳の女性という方もいます。お孫さんの治療に付き添ううちに昔から気になっていた出っ歯を治したいとはじめました。治療後は、よく噛めるようになっただけでなく、横顔も美しくなって若々しくなりました。現在74歳ですが毎日生きいきとしているそうです。

年をとると食べることがとても重要になります。40歳で噛み合わせに不安があるという方は、平均寿命から考えたらまだ倍以上の年数で自分の歯を使う計算になります。長い人生を素敵に過ごすため、ぜひ矯正治療をおすすめします。ただし、40歳を超えると歯周病にかかっていたり処置歯が多かったりと治療が難しくなってきます。信用できる先生とじっくり話し合ってください。また、子どもの頃に比べ、適応能力が落ちてきますから、矯正装置の違和感がなかなかなくなりません。やり遂げる強い覚悟は必要です。