Question
デスクワークでずっと下を向いて作業をしていると、顎関節症が悪化すると聞きました、本当ですか?
Answer
その可能性はあります。歯を食いしばることが多く、関節に負担をかけてしまうからです。
あなたが下を向いて、書いたり、パソコンを使ったりといったデスクワークをしている姿を想像してください。その時にあなたの歯はどこにありますか?通常は上顎の歯と下顎の歯はふれあうことはなく、空間を形成していて、その間に空気や舌が入り込むような状態になっています。しかし、すごく面倒な作業や複雑な作業をしていると、思わず歯を食いしばっていることが多くなります。食いしばりが一過性ならとくに問題はないのですが、その状態が長時間、長期間に及ぶと、顎関節症になったり、悪化させたりするのです。これはデスクワークに限らず、炊事など家庭での家事労働でも同じくらい、悪化の原因になりやすいのです。
これらの作業の何が問題なのかというと、実は下を向いて作業していることがいけないのです。うつむき加減で作業をしていると下顎は顔の前のほうに下がっていきます。唾液もよだれとして出やすくなるでしょう。これを避けるために、 歯を食いしばってしまうことが多いのです。この状態が長引くと、関節に器械的、生物学的負担をかけるので、ついには関節組織が壊れてしまいます。さらにかむために使う筋肉も疲労して筋肉痛が起こり、それが顔全体の痛みとして認識されることが多くなります。
予防法は簡単で、デスクワークでも家事でも、たとえばおしゃべりをするとか、歌を歌いながら作業をするとか、場合によってはガムを噛みながら作業をするなど、食いしばらないための工夫をすればよいのです。
カテゴリー: 顎関節症
噛みしめる癖は要注意 -あごを痛める可能性あり-
口を開けるとき、カクンと音がする。あるいは、口が開けにくかったり、耳の前方にある関節が痛むなどの症状がある人は、あごの関節や筋肉に、何らかに問題を抱えている可能性が強い。顎関節や咀嚼筋などに異常をきたす「顎関節症」の疑いが考えられるからです。
「顎関節症」では、あごの関節や筋肉に痛みや違和感を伴うが、その発症は複雑で、いくつもの要因が関わっているとされています。例えば、あごの関節に負担をかけるうつぶせ寝やほお杖、悪い姿勢、片方の歯だけで噛むといった癖や習慣が原因になることもあります。また、急に口を大きく開けたり、顔を打ったりなどが、発症の引き金になることもあります。
なかでも一番悪いのは、口を固く結んで動かさなかったり、歯を習慣的に噛みしめる癖です。あごの関節や筋肉に負担をかけ続けると、筋肉はこわばり、関節もうまく機能しなくなってきます。
顎関節症の予防と治療に詳しい中沢勝宏院長は「パソコンの前で歯を食いしばっている人は、顎関節症予備軍と言ってもいいでしょう」と警告する。「上と下の歯を接触し続ける」だけでも、あごの筋肉には大きな負担がかかるそうなので、注意したい。
さらに、疲労や精神的ストレスも、「顎関節症」に関係するとされています。これら、いくつもの要因が重なり、その人の限界に達したときに、「顎関節症」は発症します。
顎関節症の症状
1.顎に痛みがある
あごを動かしたときに痛むのが特徴。あごの関節、ほおにある咀嚼筋に痛みを感じる。あごを動かしていないときの痛みは少ない。
2.口が大きく開けられない
下あごの動きが制限され、大きく口が開けられなくなる。指を立てに揃えて2本以下しか入らないと要注意。いきなり口が開かなくなる場合と、徐々に開きづらくなる場合とがある。
3.あごを動かすと音がする
口を開けたり、物を噛んだりするとき、「カクン」「ガクガク」「シャリシャリ」「ミシミシ」といった関節の雑音がする。
噛まなくなった現代人に危険信号
-戦前に比べると、咀嚼回数は6割も減少-
「食事の時間を惜しんで、噛む時間が短くてすむ、柔らかいファストフードやジャンクフード(塩分、糖分、脂肪分が多く、栄養価が低いスナック菓子などのこと)のようなものばかり食べている現代日本人の咀嚼回数は、わずか数十年の戦前に比べると、約6割も減っています。
時代によって変わる咀嚼回数(1回の食事)
弥生時代 3990回
鎌倉時代 2654回
江戸時代 1465回
戦前 1420回
現代 620回
また、健康を維持するためには、本来は食事から必要な栄養素を適切に摂取することが大切なのに、安易に健康補助食品や栄養剤などを多用するという傾向もあります。こうしたことで、人間の生存にとって身体的にも精神的にも不可欠な、『咀嚼』という行動が疎かにされ、いろいろな問題が起きてきているのです。
小児や未成年者が、噛む回数が少なく柔らかい、ファストフードやジャンクフードばかり食べていますと、咀嚼筋とそれらが関連する顔やあごの骨の成長発達が遅れ、頭、顔、あご、口、さらに唾液を分泌する唾液腺、特に耳下腺の発達が抑えられ、あごが小さくなります。それに伴って、歯や舌の位置が不正となり、口呼吸となり、虚弱体質をつくることになり、顎関節症や種々の耳鼻咽頭疾患、姿勢障害、睡眠障害などを発症させやすくします。必然的に先ほど述べた咀嚼の効能も阻害されます。また、中高年以上でも咀嚼の効能が阻害され、健康に影響が及ぶことになります。」
小林義典教授はそう警告する。
-よく噛むには〝正しい噛み合わせ〟が条件-
健全な咀嚼は、咀嚼筋やあごの関節、あごの骨、それに歯や歯周組織、舌、唾液腺など、咀嚼系を構成する器官と中枢神経系が健全に働かなくては成り立たない。特に、咀嚼運動には、「噛み合わせ(咬合)」が具体的に関わるので、咬合に問題がある場合には、咀嚼にも影響が出てくる。現代の日本人が噛まなくなったのは、噛み合わせの不具合も影響しているということはないだろうか。
小林義典教授によれば、「噛み合わせが不安定だったり、損なわれている場合には、歯科治療を行い、適正に回復する必要があります」ということだ。悪い噛み合わせをそのままにしておくと、「ものが食べにくい」だけでなく、顎関節症や口腔顔面痛、口腔顔面変形、姿勢障害、全身運動機能低下、聴力障害などを起こしやすくなることもあり、脳内ストレスや睡眠中の歯ぎしりや噛みしめ、睡眠障害を起こす可能性もあるという。
「噛まなくなった現代日本人」は。今一度、「咀嚼」の重要性、「食べる」ことの正しいあり方について考え直す必要があるようだ。なによりも、健康長寿には、「咀嚼」が大切なことを再認識したい。
「噛むこと、そして食べることは、人間が生きていくための基本的な動作です。多くの動物では、噛めなくなることは命が終わることを意味します。家族が食卓を囲んで楽しく食事すること、そして健全な咀嚼は何かまで、『いかに食べるか』を考えることは、今、緊急の課題として、われわれが取り組まなくてはならないことだと思います」
顎関節症のサプリメント
2007年7月14・15日に日本顎関節学会に参加してきました。
そこで下記の記事にもなっている、顎関節症に効くサプリメントに関する発表を聞いてきました。
顎関節症に悩みを持つ方は多数いらっしゃいます。
様々な治療法もありますが、サプリメントを使うといったことは初めての試みだと思います。
どのような効果が期待できるのか、更なる発表をチェックしていきたいと思います。
三重大学(津市)などの共同研究チームは、20代の女性に多く見られる顎(がく)関節症の痛みを和らげる効果があるサプリメント(栄養補助食品)を開発した。15日に仙台市で開かれる日本顎関節学会で、臨床試験の詳しい結果を発表する。
開発したのは、同大医学系研究科の田川俊郎教授(口腔(こうくう)・顎顔面外科学)と、健康補助食品などを開発・販売する「イシダファーマ」(津市、石田剛社長)。サプリメントは、軟骨の再生作用がある成分と鎮痛・抗炎症作用がある成分でできている。臨床試験では、あごの痛みを訴える患者が減ったといい、今秋には商品化を予定。歯科医などを通じて販売する。
顎関節症は、口を開けると音がする、痛む、口が開かなくなるなどの症状があり、国内に推計約1600万人の患者がいるとされる。米国のホットドッグ早食い大会のチャンピオンとして知られる小林尊さんが顎関節症になったことを自らのブログで告白して話題になった。現在は主に、スプリントと呼ばれるマウスピース状のものを口にはさむなどの治療が行われている。田川教授は「顎関節症の痛みが緩和できるサプリメントは初めて。治療の一助になる」と話している。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000e040065000c.html
記事はこちらより引用しました。