寝る前に入れ歯を外すと、食べかすがいっぱい付いていて汚いです

Question 寝る前に入れ歯を外すと、食べかすがいっぱい付いていて汚いです。手が不自由なので、入れ歯を楽に清掃する方法を教えてください。

Answer 入れ歯を調整してもらえば汚れは付きにくくなり、清掃の負担も減らせます。

 入れ歯の汚れは、直前に食べた食べ物のかす、表面に粘着しているネバネバ、灰白色の硬い歯石のような沈着物に大別できます。

 食べ物のかすは容易に清掃できますが、ネバネバや沈着物は頑固な汚れです。とくに硬い沈着物は、歯科医院で取ってもらうことになります。

 入れ歯には、総入れ歯と部分入れ歯があります。総入れ歯の形態は比較的単純なため、汚れが付きにくいのですが、部分入れ歯では金属製の安定装置(バネなど)の大きさや種類、部位や数によって汚れの付き方が大きく変化してきます。長期間使用していると入れ歯の表面はわずかずつ磨耗し、歯ぐきもだんだんやせてきて、入れ歯とあごの土手との適合性が損なわれるようになります。口の中で入れ歯が「ギッタンバッコン」と動けば、当然のように食べかすがたまりやすくなります。

 ご質問の件ですが、まず、かかりつけの歯科医師に適合のよい入れ歯に調整してもらってください。入れ歯の清掃は毎食後が理想的ですが、手がご不自由とのことですので、できるなら就寝前に入れ歯専用のブラシでできるだけていねいに清掃するようにしてください。その後、義歯洗浄剤にひと晩浸けておけば頑固な汚れは付きにくくなります。汚れの蓄積が頑固な汚れになるのです。「今日の汚れは今日のうちに」です。

 部分入れ歯が汚れているということは、とりもなおさず自分の大事な歯にも汚れが溜まっているということになります。入れ歯と一緒にチェックしてもらいましょう。

口臭を測る機械があるそうですが、どういうところに行けば測定してもらえますか?

Question 口臭を測る機械があるそうですが、どういうところに行けば測定してもらえますか?一般の歯科医院にも置いていますか?

Answer 大学病院には大抵置いてあると思います。一般の歯科医院にあるかどうか電話して確認してみてください。

 口臭検査法には、機器検査と官能検査があります。機器検査では、口臭の主な原因物質である揮発性硫黄化合物を特異的に測定します。揮発性硫黄化合物というのは硫化水素、メチルメルカプタンやジメチルサルファイドなどの総称で、口臭では硫化水素とメチルメルカプタンが大部分を占めています。

 これらの物質を測る機器としてはガスクロマトグラフィーと半導体センサーを利用するものとがあります。ガスクロマトグラフィーは個々の硫黄化合物を正確に測定することができる優れた機器です。しかし、装置が大型で操作や管理にも特殊な技術を要するため、大学病院や一部の施設に設置されています。

 一方、半導体センサーを応用した機器は先ほどの3種類の硫黄化合物をまとめて測定します。装置も小型で操作が簡単なため、一般の歯科医院でも設置するところが増えているようです。ただ、アルコールや香料などの影響を受けるので、結果の判定にはその点を考慮する必要があります。歯科医師はこのような機器測定による結果と患者さんのお口の状態などから口臭に対する診断をします。

 官能検査というのは、歯科医師が直接においを嗅ぐ方法です。機器検査のように口臭物質の濃度を直接測るというものではありませんが、人が感じるにおいを評価するということで大切な検査法と考えられています。

 口臭検査を実施していない歯科医院もありますので、事前に確認してください。官能検査も機器検査も簡単な検査ですので、口臭が気になったらぜひ受けてみてください。

PMTCとはどのような処置ですか?また、その効果は?

Question PMTCをすすめれましたが、あまりすると歯ぐきに悪いと聞きました。実際のところはどうなのでしょうか?

Answer 適切なPMTCであれば、歯ぐきに悪いどころかどんどん健康になっていきます。

PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士の専門家による機械的紙面清掃のことをいいます。歯ブラシでは落としきれないプラーク(バイオフィルム)を、いろいろな機械・器具を使って徹底的に落として、きれいな歯面に仕上げていきます。

 このプラークは細菌の塊ですから、長期間そのままにしておくと、口臭はもちろん、むし歯や歯周病の原因にもなります。ですから、定期的に歯科医院でPMTCを行うことは、予防や健康な口腔の維持という点から大きな効果をもたらします。

 では、PMTCはどのくらいの間隔で行えばよいのでしょうか。一人ひとりの口のなかの環境が異なっているので個人差がありますが、通常4~6ヵ月に一度、症状によっては1~3ヶ月に一度の間隔で行うのが標準です。

 ご質問についてですが、適切なPMTCであれば、歯ぐきに悪いということはありません。ここでいう、〝適切なPMTC〟とは、歯や歯ぐきにダメージを与えずに、隅々まできれいに仕上げることをいいます。術者のテクニックが問われるところですが、適切なPMTCであれば、歯ぐきに悪いどころか、どんどん健康になっていきます。

 自分自身で毎日行うブラッシング(セルフケア)に加えて、定期的なPMTC(プロフェッショナルケア)を組み合わせることが、自分のお口の健康、そして全身の健康を維持することにつながります。まずは歯科医院に行って診てもらい、自分に必要なPMTCの方法や間隔を決めてもらいましょう。

喫煙で歯周病を悪化させると聞きましたが、どんな影響があるのですか?

Question 夫が喫煙者です。喫煙で歯周病を悪化させると聞きましたが、どんな影響があるのですか?副流煙にされされている私も歯周病になりますか?

Answer さまざまな悪影響があります。タバコの害をご主人にお話し、禁煙をすすめてみてください。

 喫煙を歯周病の関係についてお話すると、まず、一日の喫煙本数と喫煙年数が、歯周病の進行度に比例することがわかっています。つまりヘビースモーカーの方は、タバコを吸わない方より歯周病の進行の度合いが強く、歯を失う大きな危険にさらされています。

 その原因のひとつは、煙の中のタールなどのヤニが歯の表面について黒く着色し、歯の表面がザラザラになり、むし歯や歯周病の原因のプラーク(歯垢)がたまりやすくなるためです。また、煙の中のニコチンは歯ぐきや粘膜から吸収され、毛細血管を収縮させて血の巡りを悪くし、バイ菌と戦う免疫を担う白血球などの細胞の働きをくるわせ、さらに傷口を治す細胞の働きを鈍らせるのです。

 これらは歯周病の原因であるバイ菌の侵入を容易にするとともに、歯周病の治療をしても歯医者さんの思いどおりに治りにくいことを示しています。よって現在では治療前に禁煙をすすめる歯医者さんが増えています。

 喫煙には、口から吸い込まれるタバコの煙(主流煙)を吸う能動喫煙と、タバコの先からたなびく煙(副流煙)を吸う受動喫煙があります。おそらくあなたは受動喫煙をしていることになります。副流煙の中の有害物質の量は主流煙より何倍も高く、非喫煙者の夫を持つ妻に比べ、喫煙者の妻の発がんの危険性が高いことが報告されています。

 歯周病に関してははっきりした研究報告がありませんが、喫煙者の子どもに歯肉が黒ずむメラニン色素沈着が多くみられることから、副流煙がなんらかの影響を与えていると考えられます。

口臭のおもな原因は何ですか?なぜ臭うのでしょうか?

Question 口臭のおもな原因は何ですか?なぜ臭うのでしょうか?

Answer 歯周病やむし歯の原因菌が腐敗臭を作り出しているのです。

 地球上の生き物には臭いがあります。別な見方をすれば、臭いは生きている証でもあるのです。ただ、臭いには心地よい臭い(香り)もあれば、不快な臭い(悪臭)もあり、その種類は200を超えるそうです。

 さて、口臭はもちろん悪臭ですが、その原因はさまざまで、全身的な病気、お口の病気あるいは精神的な病気が関係していることが多いようです。口臭は健康のバロメーターともいえるかもしれません。口臭の原因でもっとも多いのは、お口の不健康です。そこで、ここではお口から発生する口臭物質についてお話しすることにします。

 口臭を引き起こすお口の不健康な状態の代表は、歯周病とむし歯です。この2つの病気は「口腔の二大疾患」ともよばれ、非常に多くの人がかかっています。ということは、口臭のある人も同じく多いことが想像されます。

 では、歯周病やむし歯があるとどうして口臭が発生するのでしょう。それは、これらの病気がお口の中の細菌によって起こされることと関係しています。

 歯周病やむし歯の原因菌は、お口の中に存在するタンパク質(細胞や食べ物のカスなど)を分解します。これが口臭の元で、臭気物質とよんでいます。なかでも、口臭との関係が証明されているのは揮発性硫化物で、肉や魚が腐ったときのあの強烈な臭いの元となるものです。歯周病やむし歯がある人のお口の中では、細菌がせっせと腐敗臭を作り出しているのです。

 つまり、お口の中をきれいに保つことは、歯周病やむし歯予防につながるだけでなく、口臭予防にもとても大切なのです。

夜間の歯ぎしりがひどいと家族に言われました

Question 夜間の歯ぎしりがひどいと家族に言われました。どうしたらやめることができますか?

Answer ストレスを減らすための、生活環境の見直しをおすすめします。

 歯ぎしりをどのようにしたらやめられるかというご質問です。歯ぎしりの本態は世界中の研究者によってさまざまな研究がなされていますが、今のところよく分かってはないようです。しかし、基本的に患者さん自身の本質的な体質、性質と精神的ストレスが大きい要素として考えられております。

 このように、歯ぎしりは病気と認識されておらず、むしろ「個性」として認識されているので、治療という概念はありません。

 しかし、歯ぎしりがあると、周囲に迷惑をかけるばかりか、ご自身の歯や歯周組織、またはかむ筋肉や関節にも負担をかけることになるので、何とかコントロールしたいものです。

 歯ぎしりの原因が個性とストレスということなので、「歯ぎしりコントロール」の要素として、個性の変更とストレスの低減が考えられます。「歯ぎしりをする人」という個性を変えることができれば、非常に結果がよいのですが、実際には個性の変更は難しいので、ストレスの低減が実現可能なコントロール法ということになります。

 職場の上司が退職したとたんに歯ぎしりが消失した症例があります。また、なかには転職と同時に歯ぎしりしなくなった方や、離婚したら歯ぎしりしなくなったという方もおられます。また、歯ぎしりのまったくなかったか方が、生活環境の急変と同時に歯ぎしりが出現した症例もあります。

 このようなことから、気づかなかった精神的ストレスが歯ぎしりの原因になっていることもありますので、ご自分の生活環境を見直してご覧になったらどうでしょう。

 マウスピースを使用することによって歯ぎしりや音が軽減したりするケースもあります。

歯をぶつけてしまい、グラグラしています

Q 子供が歯をぶつけてしまい、グラグラしています。いつも通院している小児歯科医院と、一般歯科ではどちらがいいのでしょうか?

A 早急な処置が必要な場合もあるので、すぐ行ける歯科を受診してください。

 障害の程度によっては早急な処置が望まれますので、すぐに行ける歯科医院や大学病院が良いと思います。ただ定期的に通院されている歯科医院が近くにあるならば、そちらのほうが望ましいでしょう。

 ご質問のような場合や、転んだりして歯や歯ぐきが損傷した場合を「外傷」と呼びます。外傷はその程度や状況、年齢により、手当ての方法や治療の期間が異なります。

 外傷では、歯が抜けかけていたり、歯が折れていたりするケースもあります。この場合、その部分には触らないようにして、早急に歯科を受診してください。歯科ではその部分を固定します。この固定は骨折などと同じで、歯の位置を安定させるための処置で、固定期間はおおむね1~3週間です。

 その他に歯が欠けて感染が疑われる場合には、必要に応じてX線撮影をし、いわゆる「根の治療」が必要となります。また、歯肉に裂傷がある場合には縫うこともあります。

 乳歯の場合には、事故直後には何の症状がなくても、数日から数ヶ月の後に歯の色が褐色に変化することも珍しくはありません。この色の変化は歯の神経が壊死(死んでしまう状態)したためです。歯の変色があっても、歯ぐきが腫れるなどの症状がないときには、処置を行わないことも多くあります。

 また、乳歯ではぶつけた方向や強さによっては、乳歯の根の近くに存在している永久歯に何らかの影響がある可能性もあります。その場合には、永久歯が完全に生え終わるまでの管理が大切になります。

お口のリハビリはどんな方法がありますか?

Question 咀嚼が苦手になってきているお年寄りに、お口のリハビリをすると効果があると聞きました。どんな方法がありますか?在宅でもできますか?

Answer 歯がない場合は入れ歯やブリッジを入れ、しっかり噛んでもらいましょう。

 年をとるにつれ、食べにくい食品が増えてきてきます。かむ力が弱くなってくるからです。また、歯の数も年齢とともにむし歯や歯周病にかかって少なくなります。硬い食品や噛み切りにくい食品が苦手になってきます。でも、食べやすいものばかり選んで食べては、バランスの取れた食生活を送ることができません。

 まず、すでに喪失した歯に対しては歯科を受診して、取り外し式の入れ歯や固定式のブリッジを入れてもらいましょう。喪失した歯をそのままにしておくと、はがなくなったためにできた空白を埋めるように、周囲の歯が傾きます。その結果、歯のない状態で放置しておくと歯が斜めになってしまうのです。

 歯は縦方向にには強い力を発揮しますが、傾斜して斜めになってしまうと、垂直にかかるかみ合せの力に十分抵抗することができません。ぐらぐら動揺してきます。歯がなくたんったら、傷が治り次第早めに入れ歯やブリッチを作ることが、残った歯を犠牲にしない対処法です。

 自分の歯または入れ歯などでかみ合うところが確保されたら、しっかりかんで食べることです。使わない機能は衰えます。これを廃用といいます。軟らかいものばかり食べていると、かむ力を発揮する咀嚼筋が弱くなり、次第にやせてきます。

 こうなると、もとの咀嚼力に戻すのは困難です。無理のない範囲でしっかりかんで、お口のリハビリに努めることがバランスのとれた栄養をとる秘訣です。ただし、入れ歯の咀嚼効率は自分の歯と比べるとうんと低下します。日常の歯の手入れがもっとも重要といえます。

矯正装置をつけている間は、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

Question 矯正装置をつけている間は、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

Answer お口の中を清潔に保ち、硬い食べ物はなるべく避けましょう。

矯正装置は自分で取り外しのできないものがほとんどで、治療開始から終了までの1~2年間、ずっとお口の中に入りっぱなしになります。しかもとても複雑なつくりですから、装置装着中はとにかくお口の清掃状態に気を配ることが重要です。

 「食べたらみがく」というのは当たり前のことですが、装置がジャマして上手にみがくのが難しいのです。矯正治療中は歯ブラシだけでなく、補助歯ブラシやデンタルフロスなどを駆使して、時間をかけてみがくがひつようです。

 また、毎食後完璧にみがくのは、時間的制約のある現代人には大変です。時間のない食後は簡単でもかまいません。少なくとも一日一度は時間をかけて、ていねいにみがきましょう。

 きちんとみがかないと、むし歯や歯周病になってしまいます。何のために矯正治療をしているのかを考えて、とにかく口腔清掃に注意してください。フッ素塗布や洗口剤の利用を補助的に行うのも良い方法です。

 矯正装置は、強力に歯の表面に付いているわけではなく、ある程度の力が加わると外れるようになっています。

 治療中はナッツ類、おせんべい、フランスパンなど硬い食べ物をかじるのは避けましょう。硬いものは小さくちぎって、奥歯でかむようにします。そうしないと、装置が壊れる可能性があります。

 チューインガムは、装置に慣れてきたら、100%キシリトール入りなら食べても大丈夫です。このガムはむし歯菌を抑制することでも知られていますので、ときには積極的にかんでもらうこともあります。

インプラントの治療期間はどのくらいかかりますか?

Question インプラントの治療期間はどのくらいかかりますか?

Answer 通常、4ヵ月から7ヵ月かかります。

 インプラント治療には、歯を失った部分の歯槽骨(顎の骨)に歯の根の部分の代わりとなるチタン製の人工歯根(インプラント)を植え込んでから骨としっかり結合するまでの安静期間が必要です。

 一般的には下顎で3ヵ月、上顎で6ヵ月必要であるといわれています。

 そして、手術後、一定期間安静にした後、型採りをして、インプラントの上部に補綴物(歯の部分)を作製し取り付けます。これではじめてしっかりとかめるようになるわけですが、合計すると短くてもおおよそ下の顎は4ヵ月、上の顎は7ヵ月かかることになります。

 しかし、インプラントを埋め込む部分の骨が足りない場合は、骨を増やす処置が必要となります。程度にもよりますが、土台となるしっかりした骨を造るには6ヵ月必要となります。

 また、まだ抜歯をしていない方は抜歯に至った理由にもよりますが、抜歯の痕が完全に治癒するまで少なくとも3ヵ月はかかりますので、それも計算に入れてください。

 インプラント治療は歯のない部分だけ治療をしても良い結果は得られません。

 残っている歯の治療も含めた治療計画について、担当歯科医師に十分な説明を受けることをおすすめします。

 また、治療期間の長い治療方法ではありますが、かめるようになったときの快適さと満足感は「言葉では説明できないものがある」と、治療を受けられた多くの方はおっしゃいます。