口の中が乾いていると口臭が起こりやすいですか?

Question  口の中が乾いていると口臭が起こりやすいという話を聞きました。こまめに水やお茶を飲んでうるおせば解決しますか?

Answer  あまり期待できません。まずは唾液が本当に減っているのか、調べてみましょう。

確かに唾液の分泌量が減ると口臭が強くなります。ところが、正常の人は唾液を増やしても口臭は減らず、水を飲んでも効果は限られています。中には「チューインガムを噛んで、唾液を通常より増やすと口臭が減る」と誤解している方はいませんか?

あなたの場合は、唾液が本当に減っているのかまず調べてください。唾液が正常ならば、水を飲んでも強い効果は期待できません。一度、口腔外科などで唾液分泌量を調べてください。唾液が減っていれば口臭予防のために、こまめに水分を摂取するほか、唾液分泌の促進や人工唾液などが必要かもしれません。専門医と相談してください。

一方、唾液分泌が正常な人でも、長い時間しゃべったり緊張すれば、口が乾き口臭が出ます。こういう時、水を飲めば口臭は減りますが、せいぜい20~30分ぐらいの効果です。飲むだけでなく、何か固形物を食べて、それから水分を摂取してください。物を食べるという行為で口臭物質が8割減ります。ちなみに歯みがきでは2割しか減りません。

もしガムぐらいしか食べるものがないというのであれば、シュガーレスガムでなく、普通の「砂糖入りガム」にしてください。砂糖のため口が酸性になると口臭は発生しません。ただし、むし歯予防のため歯みがきを忘れずに。

口臭は歯周病が原因のことがはるかに多いので、その予防のため、3ヶ月~半年に1回、歯科医院での「歯石取り」も忘れずに。

一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Question  せっかく治したのにむし歯ができて。一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Answer  きちんと歯をみがいていないと再びむし歯になることがよくあります。

確かに一度歯科医院でむし歯を治したのに、数年たって再びむし歯になると、悔しい気持ちになりますね。

歯科医は、むし歯をできるだけ必要最小限に削って、レジンという接着剤を詰めて治します。大きなむし歯で歯髄という神経を除去したケースでは、型を取り、歯科技工士が作製した金冠や差し歯を、接着剤を用いて、歯にくっつけています。

歯を完全に、そして永久に接着する材料は存在しません。現在、これらの接着剤の耐久性について研究が進んでいますが、口のなかという過酷な環境下では、5年以上たつと接着剤の接着性能が半減することがわかっています。

したがって、治してから数年もすると、詰め物やかぶせ物がとれたり、歯とのあいだにすき間ができることが考えられます。

さらに、毎日のブラッシングが不十分ですと、そのすき間からむし歯菌が再び侵入して、残っている歯質が酸でおかされ、再びむし歯となってしまうのです。

この再度生じた虫歯のことを「二次う蝕」と呼んでいます。

「二次う蝕」の発生頻度は10~20%前後と報告されています。ただ、よくブラッシングされている患者群では、その発生率は10%以下に下がることもわかっています。

むし歯を治したあとも安心せず、毎日毎食後のブラッシングを続けてください。

部分入れ歯と残っている歯のむし歯予防法は?

Q 部分入れ歯の留め金(クラスプ)と接する歯の色が変わってきたような気がします。虫歯でしょうか?

A 部分入れ歯の留め金はむし歯菌が付着しやすく、接する歯がむし歯になることはよくあります。

部分入れ歯の留め金(クラスプ)は維持力を発揮させるために複雑な形状をしており、接する歯(鈎歯)にもクラスプが安定して適合するように小さな溝などが削られたりしています。このため、食後よく洗浄しないで部分入れ歯を装着したままにしておきますと、むし歯菌がクラスプや鉤歯に定着し、食べ物の残りカスを栄養源としてプラークを形成し、酸を出して鉤歯の一部にむし歯を生じることがよくあります。そのためにクラスプに接する鉤歯が着色してきたものと考えられます。

またクラスプが接する鉤歯には噛むたびに大きな咬合力がかかるため、過剰負担となって歯周病が進行する危険もあります。このような場合、歯周病菌も鉤歯のまわりの歯周ポケットという歯肉の溝にたまりやすくなり、歯肉が腫れたり鉤歯が揺れだしたりします。

このようなクラスプに伴うむし歯や歯周病を放置すると、最悪抜歯しなければならなくなり、部分入れ歯に人工歯を追加したり新調する必要がでてきます。

鉤歯のむし歯を予防するためには、まず部分入れ歯を清潔に持つことが必要です。できれば毎食後、部部入れ歯をよくブラッシングし、一週間に一度は義歯洗浄剤に浸しておくことが大切です。部分入れ歯専用の洗浄剤も市販されています。また、鉤歯をよくブラッシングすることも重要です。フッ素入りの歯みがき材でブラッシングするとむし歯の発生が抑えられることもわかっていますので、使用をおすすめします。

夜更かしを続けていたら、急に虫歯が増えちゃって・・・

Question 夜更かしを続けていたら、急に虫歯が増えちゃって・・・何か関係があるのですか?

Answer 関係あります。夜更かしをして飲食しブラッシングせずに眠るとむし歯のリスクが高まります。

「夜遅くまでテレビを観ながらお菓子をボリボリ食べ続けた・・・」「眠くなってそのままブラッシングをせずに眠ってしまった・・・」そんなことはありませんか?食事の回数が多い、ダラダラ食べるなど、一日のうち、口の中が酸性になる時間が長いほど、むし歯になりやすい環境となります。たとえば「ミルク一杯のんだだけだから大丈夫!」と思いがちですが、実は牛乳も糖質です。甘い砂糖だけでなく、果物、お酒も同じで、水やお茶以外のほとんどの食べ物が口の中でむし歯菌と一緒になって、むし歯の原因となる酸を作り出します。

また、睡眠時間が少ないと疲れるため、唾液の量が減少します。唾液には、口の中の汚れを洗い流す自浄作用、良性の菌をたくさん含むことによる殺菌作用があります。夜ふかしをすると、仮に規則正しい生活の時と同じ食事回数、ブラッシング回数であったとしても、むし歯になりやすい環境となってしまいます。つまり、唾液の減少によっても、口腔内のむし歯菌が増加し、むし歯になりやすい状態になるのです。

夜ふかしをして何か食べた場合は、必ずブラッシングをするようにしましょう。また、ブラッシング後に甘い物がほしくなったら、キシリトール100%のガムやタブレットを利用しましょう。キシリトールは、歯の表面にむし歯菌をつけないため、むし歯にならない代用糖として使われています。

子どもが、むし歯があるのにひどく歯医者さんを嫌がり、行くとギャーッと泣いてしまいます。

Question 子どもが、むし歯があるのにひどく歯医者さんを嫌がり、行くとギャーッと泣いてしまいます。どうしたらいいでしょう?

Answer 2歳のお子さんが歯医者さんで泣いたりするのは当たり前です。とにかく小児歯科の受診を!

むし歯の穴が深い、あるいは痛がっている場合は、緊急事態発令です!すぐに小児歯科を受診してください。

乳歯の神経は、大人の歯にくらべ未発達なことが多いので、子どもがむし歯を痛がったら、それだけで一大事。神経を取る処置が必要になるでしょう。むし歯が神経まで達していないなら、今がチャンス。できるだけ早くに小児歯科を受診して、必要な処置を受けてください。また、2歳のお子さんが歯医者さんでギャーっと泣いたり暴れるのはごく当たり前の反応です。

小児歯科では、お子さんがけがしないように、大人がからだを押さえたり、ネット(網)にくるんで治療することがあります。ネットにくるまれたお子さんは、全身で抵抗して激しく号泣するので、本当に緊急のとき以外は使いません。

いちばん困るのは、お子さんが歯医者に行きたくないと泣くのをみて、パパが行くなといったので、といった理由で治療を中断するケースです。これではお子さんは、強く泣けば要求が通る、という誤った学習をしたことになります。激しく泣くお子さんのむし歯治療は、母親一人が抱え込むのは難しいのです。事前にパパにも治療方針や回数、お子さんの反応などを説明して、最後まで通いとおせるように応援してもらいましょう。

むし歯治療 ビフォー&アフター

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

ビフォー(治療前)

むし歯治療

アフター(治療後)

むし歯治療

黒いむし歯を削って白い詰め物で治療しました。

痛みもない段階で処置できたので最小限の歯を削るだけで治療が完了しました。

(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

痛みなどがなくても銀歯の下に虫歯が進行しています。

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

よく見ないと分かりにくいのですが銀歯の下のほうに、銀歯との境目からむし歯ができています。

いたみなしみるなどの自覚症状は全くなく、自分で鏡で見ても気がつかないくらい小さな穴です。

銀歯の境目からむし歯ができています

しかし銀歯をはずしてみると中の奥のほうまで黒く変色した虫歯が進行していました。

このまま放置しておくとどんどん大きくなって神経までやられてしまうところでした。

銀歯をはずすと黒いむし歯が中まで進行しています。

黒く変色した虫歯をキレイに取り除いてから、白いプラスチックを直接詰めていきました。

キレイに研磨して仕上がりです。

あとはこの状態からむし歯にならないよう、しっかりと予防処置とメインテナンスを行っていきます。

黒い虫歯も削り取ったあと、白いプラスチックで治療しました。

このように一度治したところでもまたむし歯にはなり、重症になるまで進行しないと痛みなどの自覚症状が出てきません。

そのためむし歯を再発させないように予防処置とメインテナンスは必要です。

定期健診をして予防処置とメインテナンスを受けましょう!

お手入れすれば長く使えますからね。

(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

唾液があまり出ず、口の中が乾いてしまい不快です

Question 薬を服用しているので唾液があまり出ず、口の中が乾いてしまうため、入れ歯がいつもベタついて不快です。

Answer 唾液には重要な役割があります。副作用のより少ない薬について主治医と相談してみてください。

 唾液には、口の環境を整える抗菌作用や粘膜保護作用、歯や歯ぐきの汚れを洗い流す自浄作用、さらに食べ物の消化作用、歯の再石灰化などきわめて重要な機能があります。

 口やのどが乾く症状を口腔間乾燥症(ドライマウス)といいます。軽度の場合は口の中のネバネバ感、歯垢や舌苔の増加、むし歯や歯肉炎の発生、それに伴った口臭が現れます。

 さらに唾液分泌量が減少すると、自浄性も低下して強い口臭が発生します。舌の表面が乾燥してひび割れしたりすると、強い痛みで食事が取れない摂食障害や発音障害も現れます。その原因は、唾液腺疾患、糖尿病、腎疾患、自己免疫疾患などの全身疾患、薬剤の副作用、加齢、ストレス、口呼吸や喫煙、過度のアルコール摂取など多岐にわたります。

 入れ歯が口の中で安定して機能するためには、唾液の存在は重要です。食べ物を摂るときに咀嚼や嚥下運動を円滑にしてくれるとともに、入れ歯と歯ぐきの粘膜のあいだに唾液が介在することで表面張力が発生し、入れ歯の安定性が増加します。唾液が不足したり、ネバネバになると安定性を欠くことになります。このような入れ歯の不快な状態に対しては、対症療法としてうがい薬や人工唾液、保湿液の処置を行うこともあります。

 ご相談ように、唾液分泌に影響する薬剤として降圧剤、抗うつ剤、鎮静剤、抗パーキンソン剤などが考えられます。現在服用している薬について、副作用のより少ない薬への変更や服用量の調整を、主治医の先生とよく相談することも必要かと思います。

むし歯治療の技術が進歩しているという話も聞いたのですが?

Question 前歯の欠けた部分をレジンで充填しましょうといわれました。こうした接着の技術が進歩しているという話も聞いたのですが・・・。

Answer 歯科医療を大きく変えた接着の技術について

 日進月歩の歯科医療ですが、最近の動向を見ますと、治療から予防へ、そして幸福歯科へと、人びとのQOL(生活の質)を上げる歯科医療へと変化しつつあります。

 数年前、WHO(世界保健機構)が提唱したMI(ミニマル・インタベーション)の理論は、あっというまに日本にも定着しました。この理論は、最小の侵襲で最大の効果を上げるために、なるべく歯を削らない歯科医療のことをいいますが、多くの歯科医師に支持されて市民権を得ることになったのです。また、その背景には、多くの患者さんがそれを望んでいるという裏付けがあります。

 さらに、接着歯学の進歩が、MIに基づく歯科医療の後押しをしています。歯に強力に付く接着技術の登場が、歯科医療を革命的に変えたのです。歯をそんなに削らなくても、簡単にしかもきれいにむし歯を修復できます。つめる材料のレジンは、色もたくさんあり、ほとんどのケースで周りの歯と調和させて目立たなく治すことができます。

 ご質問のケースですが、感染した歯質を除去し、色の選択を行い、接着剤を塗ったあと、レジンをつめて光で硬化させます。硬化は簡単に終わりますが、研磨はていねいに行います。こうして、見かけもよく、丈夫なレジン充填が短時間で完了します。

 日本の歯科用充填剤はとても優れていて、米国やヨーロッパにも輸出されています。美容歯科やアンチエイジング歯科の観点からも、接着の技術が大きな力を発揮しているのです。

ただし、材料の限界はあります。あまりにも大きくかけてしまった部分にはこの治療方法は適応できないこともあります。

1歳半の子どもの仕上げみがきはどうすればいいですか?

Question 1歳半健診で、脚を押さえて仕上げみがきをするように指導を受けましたが、うちの子は暴れて嫌がります。続けていいものでしょうか。

Answer お子さんにむし歯がなく正しい食生活を送れているなら「週末みがき」をしてみましょう。

 かわいい乳歯をむし歯にしないために、毎日の歯みがきが大切なことはご存じですね。それでも、お子さんの抵抗が激しいと歯みがきそのものが疑問に思えてしまう、お母さまのお気持ちはとてもよくわかります。

 そんなときは一人で悩まずに、近くの小児歯科に相談してみましょう。

 歯の表面が白濁する「初期むし歯」や、穴の空いたむし歯が見つかったなら、心を鬼にしてでも毎日、朝晩2回、フッ素の入った歯みがき剤をつけて、仕上げみがきをしなければいけません。

 反対に、むし歯がない、甘いもののダラダラ食べやダラダラ飲みがなくて正しい食生活が送れているようなら、毎日の仕上げみがきを無理矢理せずに、食後にお茶か水を飲ませてからキシリトールタブレットをなめさせる、フッ素スプレーを歯にひと吹きしておくなどでしばらく様子をみるという手もあります。

 この場合は、週末にお父さまに協力してもらって、両親のひざにお子さんを寝かせ、お子さんの両手、両足を父親が押さえ、母親がみがく「週末みがき」が必要です。

 大きすぎず、小さすぎず、やわらかめの仕上げ専用歯ブラシで、1本ずつ毛先を震わせるように優しくみがいて、歯みがきは痛くないことを教えてあげましょう。

 また、歯みがきしつけ絵本や、人形を使った歯みがきごっこなども、歯みがき好きにするのに効果的ですよ。