1歳半の子どもの仕上げみがきはどうすればいいですか?

Question 1歳半健診で、脚を押さえて仕上げみがきをするように指導を受けましたが、うちの子は暴れて嫌がります。続けていいものでしょうか。

Answer お子さんにむし歯がなく正しい食生活を送れているなら「週末みがき」をしてみましょう。

 かわいい乳歯をむし歯にしないために、毎日の歯みがきが大切なことはご存じですね。それでも、お子さんの抵抗が激しいと歯みがきそのものが疑問に思えてしまう、お母さまのお気持ちはとてもよくわかります。

 そんなときは一人で悩まずに、近くの小児歯科に相談してみましょう。

 歯の表面が白濁する「初期むし歯」や、穴の空いたむし歯が見つかったなら、心を鬼にしてでも毎日、朝晩2回、フッ素の入った歯みがき剤をつけて、仕上げみがきをしなければいけません。

 反対に、むし歯がない、甘いもののダラダラ食べやダラダラ飲みがなくて正しい食生活が送れているようなら、毎日の仕上げみがきを無理矢理せずに、食後にお茶か水を飲ませてからキシリトールタブレットをなめさせる、フッ素スプレーを歯にひと吹きしておくなどでしばらく様子をみるという手もあります。

 この場合は、週末にお父さまに協力してもらって、両親のひざにお子さんを寝かせ、お子さんの両手、両足を父親が押さえ、母親がみがく「週末みがき」が必要です。

 大きすぎず、小さすぎず、やわらかめの仕上げ専用歯ブラシで、1本ずつ毛先を震わせるように優しくみがいて、歯みがきは痛くないことを教えてあげましょう。

 また、歯みがきしつけ絵本や、人形を使った歯みがきごっこなども、歯みがき好きにするのに効果的ですよ。

歯をぶつけてしまい、グラグラしています

Q 子供が歯をぶつけてしまい、グラグラしています。いつも通院している小児歯科医院と、一般歯科ではどちらがいいのでしょうか?

A 早急な処置が必要な場合もあるので、すぐ行ける歯科を受診してください。

 障害の程度によっては早急な処置が望まれますので、すぐに行ける歯科医院や大学病院が良いと思います。ただ定期的に通院されている歯科医院が近くにあるならば、そちらのほうが望ましいでしょう。

 ご質問のような場合や、転んだりして歯や歯ぐきが損傷した場合を「外傷」と呼びます。外傷はその程度や状況、年齢により、手当ての方法や治療の期間が異なります。

 外傷では、歯が抜けかけていたり、歯が折れていたりするケースもあります。この場合、その部分には触らないようにして、早急に歯科を受診してください。歯科ではその部分を固定します。この固定は骨折などと同じで、歯の位置を安定させるための処置で、固定期間はおおむね1~3週間です。

 その他に歯が欠けて感染が疑われる場合には、必要に応じてX線撮影をし、いわゆる「根の治療」が必要となります。また、歯肉に裂傷がある場合には縫うこともあります。

 乳歯の場合には、事故直後には何の症状がなくても、数日から数ヶ月の後に歯の色が褐色に変化することも珍しくはありません。この色の変化は歯の神経が壊死(死んでしまう状態)したためです。歯の変色があっても、歯ぐきが腫れるなどの症状がないときには、処置を行わないことも多くあります。

 また、乳歯ではぶつけた方向や強さによっては、乳歯の根の近くに存在している永久歯に何らかの影響がある可能性もあります。その場合には、永久歯が完全に生え終わるまでの管理が大切になります。

歯との付き合い方 小児期編

-乳歯が生えそろった!-

乳歯が生えそろうころには、子供は不十分ながら少しずつ一人で歯を磨けるようになってくるでしょう。しかし、磨いていることと「磨けていること」は違いますから、家族がチェックしてあげる必要があります。
まだこのころは、仕上げ磨きをしてあげるとよいのです。とくに奥歯の溝や隣り合った歯の間、歯と歯ぐきの境目のあたりに磨き残しがないかどうか調べながら磨いてあげてください。なぜ歯を磨かなければならないのか、歯の大切さを離してあげてください。

-永久歯が生えてくる!-

永久歯で最初に生えてくるのは、第一大臼歯です。これは、六歳前後に生えてきますが、一生使う歯ですから、むし歯にならないように一生懸命磨くようにしてください。
永久歯があごの中からどんどん顔を出してくると、乳歯はグラグラしてきます。乳歯がグラグラしてきたら、自然に抜けるまでそのままにしておいてかまいません。
しかし、グラグラしているために食事やおやつを食べるときに痛がるようなら、歯医者さんに乳歯を抜いてもらいましょう。
また、乳歯がグラグラしながらも抜けず、永久歯が脇のほうから顔を出してくるような場合も、歯医者さんに診てもらったほうがよいでしょう。

-むし歯になりやすい時期、要注意!-

その後、乳歯は少しずつ永久歯に生えかわり、第二大臼歯まで生えそろうのは十三歳ころになります。永久歯の数は親知らずを含めて三十二本ですが、親知らずは生えない人もいます。
生えたての永久歯は、むし歯になりやすいものです。できれば、歯医者さんでむし歯を予防する処置を施してもらうとよいでしょう。それは「フッ素の塗布」です。
これは、フッ素入りのむし歯予防ジェルを塗布してしばらく待ち、終わったらブクブクうがいをして完了という、簡単で効果の高い方法です。年に三~四回くらい塗布すると、ある程度むし歯を防ぐことができるのです。
このころの子供の歯は、一度むし歯になるとたいへん進行が速く、できはじめたと思ったらずいぶん深かったということもあるほどです。口の大きさに合った、小さな歯ブラシを選んで、日ごろからていねいな歯磨きをする習慣をつけさせましょう。

-歯並びのよしあしはいつごろから?-

年齢に見合った正しい歯並びの基準は、三の倍数の年齢がおおよその目安になるといわれています。
三歳では乳歯列の完成、六歳では上と下の第一大臼歯が生えそろっていることが目安。九歳では乳歯と永久歯の両方が混ざった混合歯列気のまっただなかで、いわゆる「みにくいアヒルの子」といわれる歯並びの時期です。十二歳で上と下の第二大臼歯が生え始め、十五歳で永久歯列がほぼ完成します。
生え変わりの時期は、歯列の良し悪しが決定するまでにはまだ時間がありますが、両親や兄弟の歯並びから、本人の歯並びも良くないだろうと予測される場合は、この頃から小児科医、矯正歯科医に相談してみるのも良いでしょう。

4歳になる息子の口が臭くて。

Question
4歳になる息子の口が臭くて。むし歯もなく、歯や口に問題はないと思うのですが、ほかに原因があるのかしら?
Answer
1日中口臭が強いのでなければ生理的口臭の可能性が高いです。あまり神経質にならないように。
「むし歯がないのに口臭がある」のは不思議かもしれませんが、実際に調べてみると、意外にもむし歯のない子どものほうが口臭が強いようです。もちろん、歯に大きな穴があいて神経が露出したり、食べ物が詰まったりすれば、むし歯も口臭の原因になりますが・・・・。
坊やの場合、1日中口臭が強いわけではないはずです。いかがでしょうか?朝食前とか、幼稚園から帰ってきた時、そして外で遊んで帰ってきた時などに臭いませんか?このような状況でしたら、生理的口臭の可能性が高いです。何も飲み食いをしていない時間が1~2時間続きますと、細菌や粘膜の垢が増え、生理的口臭が出てきます。きちんとした証拠はないのですが、理論的には、歯の生え変わりも口臭の原因となります。
根本的な対策としては、まず口臭の原因となる歯肉炎や大きなむし歯がないか、歯医者さんで調べてもらってください。そして半年に1回は、必ず歯医者さんのチェックを受けましょう(定期的な歯科受診を坊やの一生の習慣にしてあげましょう。一緒にお母さんも健康のためにチェックを受けるとよいです)。また、舌が汚れていたら、舌ブラシで時々掃除してください。万一、1日中臭うとか、鼻息が臭い、吐瀉物に近い臭いがする、かび臭い、魚臭い、その他、特殊な臭いがするようでしたら、小児科医に相談しましょう。
お母さんにお願いしたいことは、神経質になりすぎないことです。親が気にしすぎて、萎縮してしまっている子どもを時々見かけます。子どもの心にはよくないことです。

噛まなくなった現代人に危険信号

-戦前に比べると、咀嚼回数は6割も減少-
「食事の時間を惜しんで、噛む時間が短くてすむ、柔らかいファストフードやジャンクフード(塩分、糖分、脂肪分が多く、栄養価が低いスナック菓子などのこと)のようなものばかり食べている現代日本人の咀嚼回数は、わずか数十年の戦前に比べると、約6割も減っています。
時代によって変わる咀嚼回数(1回の食事)
弥生時代  3990回
鎌倉時代  2654回
江戸時代  1465回
戦前    1420回
現代     620回
また、健康を維持するためには、本来は食事から必要な栄養素を適切に摂取することが大切なのに、安易に健康補助食品や栄養剤などを多用するという傾向もあります。こうしたことで、人間の生存にとって身体的にも精神的にも不可欠な、『咀嚼』という行動が疎かにされ、いろいろな問題が起きてきているのです。
小児や未成年者が、噛む回数が少なく柔らかい、ファストフードやジャンクフードばかり食べていますと、咀嚼筋とそれらが関連する顔やあごの骨の成長発達が遅れ、頭、顔、あご、口、さらに唾液を分泌する唾液腺、特に耳下腺の発達が抑えられ、あごが小さくなります。それに伴って、歯や舌の位置が不正となり、口呼吸となり、虚弱体質をつくることになり、顎関節症や種々の耳鼻咽頭疾患、姿勢障害、睡眠障害などを発症させやすくします。必然的に先ほど述べた咀嚼の効能も阻害されます。また、中高年以上でも咀嚼の効能が阻害され、健康に影響が及ぶことになります。」
小林義典教授はそう警告する。
-よく噛むには〝正しい噛み合わせ〟が条件-
健全な咀嚼は、咀嚼筋やあごの関節、あごの骨、それに歯や歯周組織、舌、唾液腺など、咀嚼系を構成する器官と中枢神経系が健全に働かなくては成り立たない。特に、咀嚼運動には、「噛み合わせ(咬合)」が具体的に関わるので、咬合に問題がある場合には、咀嚼にも影響が出てくる。現代の日本人が噛まなくなったのは、噛み合わせの不具合も影響しているということはないだろうか。
小林義典教授によれば、「噛み合わせが不安定だったり、損なわれている場合には、歯科治療を行い、適正に回復する必要があります」ということだ。悪い噛み合わせをそのままにしておくと、「ものが食べにくい」だけでなく、顎関節症や口腔顔面痛、口腔顔面変形、姿勢障害、全身運動機能低下、聴力障害などを起こしやすくなることもあり、脳内ストレスや睡眠中の歯ぎしりや噛みしめ、睡眠障害を起こす可能性もあるという。
「噛まなくなった現代日本人」は。今一度、「咀嚼」の重要性、「食べる」ことの正しいあり方について考え直す必要があるようだ。なによりも、健康長寿には、「咀嚼」が大切なことを再認識したい。
「噛むこと、そして食べることは、人間が生きていくための基本的な動作です。多くの動物では、噛めなくなることは命が終わることを意味します。家族が食卓を囲んで楽しく食事すること、そして健全な咀嚼は何かまで、『いかに食べるか』を考えることは、今、緊急の課題として、われわれが取り組まなくてはならないことだと思います」