「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

Q 先日娘から「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

A 歯周病かもしれません。3ヶ月~半年に一度歯科医院で歯石取りと掃除をしましょう。

この悩み、多くのお父さん・お母さん方からよく聞きます。原因は歳のせいでも、歯みがき不足だからでもありません。

本当に口臭が出てくる真性口臭症には、生理的口臭と病的口臭があります。前者は口臭の原因となる病気がないのに口臭が発生しますが、あまり強くありません。後者は、多くの場合歯周病が原因で、強い悪臭が特徴です。とくに中年になりますと歯周病が急に増えてきます。そこで、家族から「口が臭い」と指摘されることがあるようです。したがって、歯周病が原因の病的口臭かもしれません。

ところで、あなたは3ヶ月~半年に1回、歯科医院で歯石取りや歯の掃除・研磨をしていますでしょうか?歯医者さんに行くのは、歯が痛いときだけではないですか?歯科医院での歯の掃除は時間がかかるうえ、不快感もあるかもしれません。しかし半年に1回、歯の掃除をやってもらいましょう。歯周病の予防は「歯みがき」と「歯石取り」の2つが基本です。先進国では、ほとんどの国民が「歯石取り」を習慣としていますが、多くの日本人には、この習慣がなく、汚い口の人が多いようです。

あなたの場合はお嬢さんが口臭を指摘してくれたからラッキーでしたが、他人があなたの口臭に気づくと困りものです。私の調べでは、人々はあなたに近寄らないようになります。あるいは、あなたから顔を背けるという行動もとります。寂しいですね。

こうなるまえに、3ヶ月~半年に1回、歯科医院を受診して、「お口を爽やかに健康に」なりましょう。紳士の「おしゃれ」です。

一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Question  せっかく治したのにむし歯ができて。一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Answer  きちんと歯をみがいていないと再びむし歯になることがよくあります。

確かに一度歯科医院でむし歯を治したのに、数年たって再びむし歯になると、悔しい気持ちになりますね。

歯科医は、むし歯をできるだけ必要最小限に削って、レジンという接着剤を詰めて治します。大きなむし歯で歯髄という神経を除去したケースでは、型を取り、歯科技工士が作製した金冠や差し歯を、接着剤を用いて、歯にくっつけています。

歯を完全に、そして永久に接着する材料は存在しません。現在、これらの接着剤の耐久性について研究が進んでいますが、口のなかという過酷な環境下では、5年以上たつと接着剤の接着性能が半減することがわかっています。

したがって、治してから数年もすると、詰め物やかぶせ物がとれたり、歯とのあいだにすき間ができることが考えられます。

さらに、毎日のブラッシングが不十分ですと、そのすき間からむし歯菌が再び侵入して、残っている歯質が酸でおかされ、再びむし歯となってしまうのです。

この再度生じた虫歯のことを「二次う蝕」と呼んでいます。

「二次う蝕」の発生頻度は10~20%前後と報告されています。ただ、よくブラッシングされている患者群では、その発生率は10%以下に下がることもわかっています。

むし歯を治したあとも安心せず、毎日毎食後のブラッシングを続けてください。

ラミネートベニアはどれくらいもつのでしょう?

Q 歯科医院でラミネートベニアを勧められています。どれくらいもつのでしょう。歯に悪くありませんか?

A 条件さえよければ10年をこえる症例も出てきており、信頼性の高い治療といえます。

ラミネートベニアは、〝つけ爪〟のような方法です。自分の歯の上に、セラミックスの薄い板を接着させて、色や形を自由に変更し見た目を変える方法です。表面のエナメル質を、約0.5~1.0㎜ほど薄く削ります。歯肉に近いところではエナメル質が薄いので、下の象牙質が出てしまう場合があり、その際は麻酔の注射が必要なこともあります。

削った後、ベニアを付けるまでの間、冷たいものや温かいものに感じる場合もありますが、さほどではありませんし、不安なく普通に何でも食べられます。

表面だけに人工物を接着しますから、その他の歯面は天然の歯のままです。したがって噛み合わせが、治療前と変わらないという大きな安心感があります。また、歯肉近くのエナメル質は、もとのままわずかですが残します。ですから、歯肉が退縮しても、患者さんはほとんどの場合、継ぎ目が気にならないようです。これらは、歯を全部覆ってしまう冠タイプにはない利点ですね。材料のセラミックスは、歯ブラシでも減らないですし、それ自体の変色もありません。ただし、歯ぎしりの強い患者さんは時としてヒビが入ることもありますから注意が必要です。

昔は神経のある歯だけを対象に行っていましたが、今は接着の技術やベニアを作る材料が進歩し、神経をとった歯にも可能です。

長持ちさせる秘訣は、日常適切な歯ブラシ清掃を励行すること、定期的に歯医者さんで歯石除去、歯面のクリーニング、また噛み合わせのチェックを受けることです。

口腔ガンなどの手術の傷跡を隠すのに、メディカルメイクというものがあると聞きました。

Q 口腔ガンなどの手術の傷跡を隠すのに、メディカルメイクというものがあると聞きました。どういうものなのですか?

A 形成外科、皮膚科、歯科、時に精神科と協働して、メイクだけで傷跡に対応します。

「振り返られない自分になりたい」。みなさん、この言葉をどう受け止められますか。

手術のため、または事故や病気による外観上の傷跡により自信を失い、社会生活にうまく適応できない人が少なくありません。メディカルメイクの目的は、このような人々が求める「美の追求ではなく、自己を受け入れるための外観づくりです。患者さんを悩みから解放し、社会復帰に向け後押しする医療の一環です。

歴史は、1928年、アメリカにおけるカバー用化粧品開発から始まります。イギリスでは、1970年代、英国赤十字社の看護婦さんたちがボランティアで、傷病兵のアザやキズ跡をファンデーションで隠したのが始まりです。日本では、1960年の全国皮膚科学会で初めて実演されました。病変部を目立たなくするためには専門的なメイク技術を駆使します。しかし、重要なことは、この特殊メイクを、患者さんが習得し、毎日簡単に実践できることなのです。使われるメイク用品も医療用です。例えば、ファンデーションは顔料に工夫があり、下地を隠す効果が抜群で瘢痕への高い付着能も有します。メイクには限界がありますが、このような分野があることを一人でも多くの方に知っておいて頂きたいと思っています。

インプラントの製品の選び方とその理由

Q インプラントにもいろいろあるそうですが、どんな製品を選んでいますか?

A 世界中で広く使用されていて、しかも信用できるインプラントを選ぶようにしています。

現在、多くの会社から歯科用インプラントが販売されていますが、インプラント体に用いられる素材は、そのほとんどがチタンです。そこで、各社さまざまな工夫をして、微妙な違いや特徴を出しているのが現状です。

それでは、どのような点に注目してインプラントを選択しているかというと、まずは今までの実績があること。この実績とは、今までにどれくらい世界中で使われ、その成功率はどの程度なのか、そのインプラントについてどれだけの実験データがあるのか(科学的根拠)といってものです。

また、そのインプラントを作っている会社のありかた、方向性も非常に重要視します。

たとえば、ある会社が新たにインプラントを発売したとします。しかし、この製品にはほとんど使用実績がなく、その会社のインプラント販売という点についての将来性も、すぐに信用できるものではないとしましょう。仮にそのインプラントを使用し、将来何らかの理由で修理が必要になったとき、部品が売られていないと困ります。また、患者さんが転居した際も、同様のインプラントを使用している先生を紹介することもできません。

したがって、私は世界中で広く使用され、しかも信用できるものを選ぶようにしています。それは、価格が安いなど今だけを考えてのことではなく、この先長く関わりあえるものとして、もっとも安心できるからです。

インプラント治療を受ける患者さんは、どのような会社のどういったインプラントを使うかも、知っておく必要があると思います。

当院ではアストラテック社のインプラントを使用しています。

子供用の歯ブラシの選び方は?

Q どんな歯ブラシがよいのですか?痛がって逃げられるので、特に仕上げみがき用について教えてください。

A お子さまの年齢に合わせて、仕上げ歯ブラシを選び、仕上げみがきの達人になりましょう。

仕上げみがき用の子ども歯ブラシの選び方ですね、お任せください。

2歳

2歳くらいのお子さんで、仕上げみがきを嫌がるときは、毛がソフトで密集したタイプを選びましょう。お母さまの手の甲をみがいたとき、マッサージのようで気持ちイイ、と感じるソフト歯ブラシなら、お子さんも嫌がらないはず。2歳くらいでは、仕上げみがきという習慣をつけることが大切です。歯垢を落とす目的の、ふつう歯ブラシでいきなりみがくのではなく、少々、歯垢は落ちにくくとも、まずは柔らかめのソフト歯ブラシで試してみてください。慣れてきたら、ふつうの硬さにステップアップしていきます。

4歳

4歳ともなれば、乳歯列も完成し、大脳新皮質の発達により大人の会話を理解、それに合わせて行動することができるようになります。なぜ仕上げ磨きが必要か、説明すれば理解し、大人しく磨かせてくれるはずですよ。そんな4歳さんには、年齢にあった仕上げ磨き用歯ブラシを選んでください。お店で迷ったときは、次の3つのポイントが、役に立つでしょう。①毛の高さは高すぎるより、低くカットしてあるもの。②ブラシの幅は、狭すぎるものよりも幅があるものの方が磨くとき安定して子どもが痛がりません。③毛先が球状にふくらんだものや切りっぱなしのものは避け、ラウンド処理など歯肉を傷めない加工がしてあるものを選びます。それでも磨かせてくれないときは、みがき方に問題があるかもしれないので、お近くの小児歯科で相談してみてくださいね。

口臭を気にしていますが検査では問題がない場合どうすればいいでしょうか?

Q 16歳の娘が口の臭いを気にして人前に出たがりません。検査では問題なかったのですが・・・どこかに相談したほうがいいかしら?

A 口臭がないのにあると悩む病気の可能性があるので心の専門医へのご相談をおすすめします。

お話からすれば、仮性口臭症・口臭恐怖症の可能性があるようです。いずれも、口臭がないのに「口臭がある」と思い悩む病気です。ただし、このように診断する前に「どのような検査を受けたか?」が問題です。まずは、「朝、起床時から飲食禁止のうえ、歯みがきやうがいも禁止して口臭を検査したかどうか」が重要です。こうすることで、一日のうちでもっとも強い口臭が測定できます。つぎに、口臭検知機器のほかに「正常に嗅覚を持った医師などが官能検査(臭いを嗅ぐ検査)を行ったかどうか」です。このような検査を繰り返しても口臭がないとすれば、仮性口臭症あるいは口臭恐怖症です。

先生が、お嬢さんに「口臭がないこと」を科学的に説明しても「まだ口臭がある」と信じるようでしたら口臭恐怖症です。この状態では、本当の病気は心のなかにあります。一般歯科医師の範囲外です。医師の中には、口臭が検出されないのに「口臭がある」として、いろいろな口臭予防製品や方法をすすめようと考える人もいます。しかし、口臭治療経験が十分にある歯科医師だったとしても、心身医学の専門家である大学病院の診療歯科あるいは心療内科などに転医したほうがよいでしょう。口臭以外の心理ファクターも検討しなければなりません。口臭恐怖症患者には社会恐怖症に罹患している方が多いようです。万一、人格障害が基礎にありますと、専門医といえども治療は非常に難しいのです。基本的には、お嬢さんが何でも話し頼れる「心の専門医」を見つけることです。

子どもが、むし歯があるのにひどく歯医者さんを嫌がり、行くとギャーッと泣いてしまいます。

Question 子どもが、むし歯があるのにひどく歯医者さんを嫌がり、行くとギャーッと泣いてしまいます。どうしたらいいでしょう?

Answer 2歳のお子さんが歯医者さんで泣いたりするのは当たり前です。とにかく小児歯科の受診を!

むし歯の穴が深い、あるいは痛がっている場合は、緊急事態発令です!すぐに小児歯科を受診してください。

乳歯の神経は、大人の歯にくらべ未発達なことが多いので、子どもがむし歯を痛がったら、それだけで一大事。神経を取る処置が必要になるでしょう。むし歯が神経まで達していないなら、今がチャンス。できるだけ早くに小児歯科を受診して、必要な処置を受けてください。また、2歳のお子さんが歯医者さんでギャーっと泣いたり暴れるのはごく当たり前の反応です。

小児歯科では、お子さんがけがしないように、大人がからだを押さえたり、ネット(網)にくるんで治療することがあります。ネットにくるまれたお子さんは、全身で抵抗して激しく号泣するので、本当に緊急のとき以外は使いません。

いちばん困るのは、お子さんが歯医者に行きたくないと泣くのをみて、パパが行くなといったので、といった理由で治療を中断するケースです。これではお子さんは、強く泣けば要求が通る、という誤った学習をしたことになります。激しく泣くお子さんのむし歯治療は、母親一人が抱え込むのは難しいのです。事前にパパにも治療方針や回数、お子さんの反応などを説明して、最後まで通いとおせるように応援してもらいましょう。

むし歯治療 ビフォー&アフター

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

ビフォー(治療前)

むし歯治療

アフター(治療後)

むし歯治療

黒いむし歯を削って白い詰め物で治療しました。

痛みもない段階で処置できたので最小限の歯を削るだけで治療が完了しました。

(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)

痛みなどがなくても銀歯の下に虫歯が進行しています。

(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)

よく見ないと分かりにくいのですが銀歯の下のほうに、銀歯との境目からむし歯ができています。

いたみなしみるなどの自覚症状は全くなく、自分で鏡で見ても気がつかないくらい小さな穴です。

銀歯の境目からむし歯ができています

しかし銀歯をはずしてみると中の奥のほうまで黒く変色した虫歯が進行していました。

このまま放置しておくとどんどん大きくなって神経までやられてしまうところでした。

銀歯をはずすと黒いむし歯が中まで進行しています。

黒く変色した虫歯をキレイに取り除いてから、白いプラスチックを直接詰めていきました。

キレイに研磨して仕上がりです。

あとはこの状態からむし歯にならないよう、しっかりと予防処置とメインテナンスを行っていきます。

黒い虫歯も削り取ったあと、白いプラスチックで治療しました。

このように一度治したところでもまたむし歯にはなり、重症になるまで進行しないと痛みなどの自覚症状が出てきません。

そのためむし歯を再発させないように予防処置とメインテナンスは必要です。

定期健診をして予防処置とメインテナンスを受けましょう!

お手入れすれば長く使えますからね。

(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)