歯医者さんで作るマウスガードの良いところを教えてください。

Question  歯医者さんで作るマウスガードの良いところを教えてください。値段は高いのでしょうか?

Answer 個人の歯型を採り、調製するため適合性に優れています。市販品よりは高めになります。

歯医者さんに作ってもらうマウスガードをカスタムメイド・タイプといいます。このタイプは、選手個人の歯型を採って口腔内にぴったり合うように調製されるので、市販品のものと比べ適合性に優れ、違和感が少なく設計における製作時の自由度に応えることにも可能になります。なんといっても正しいあごの位置や噛み合わせを付与することができることが重要なポイントだと思います。

このカスタムメイド・タイプのマウスガードには、その制作方法によりバキュームタイプ、ラミネートタイプ及び埋没填入タイプの3種類があります。

バキュームタイプは、製作が簡便、そのうえ比較的安価であるため、低年齢層や普及型タイプとして有用と思われます。

ラミネートタイプは、マウスガード材を加熱・加圧により層状に張り合わせることで必要な部分の厚みを増やせます。また材料・材質を変化させることで、衝撃吸収能の高いマウスガードの製作が可能となります。このタイプは、バキュームタイプよりさらに優れており、多くのニーズに応えられます。

埋没填入タイプは、入れ歯を作るのとほぼ同じ製作過程をとります。このタイプは、形態・厚みなどを自由に設計できることから、外傷を受けやすい部位の厚みを十分確保することができます。また繊細な仕上がりが期待できます。しかし製作過程に多くの時間と労力を要し、材料自体の価格が比較的高価なため、他の2つのタイプに比べ経済的負担が大きくなる傾向にあります。

「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

Q 先日娘から「息が臭い」といわれました。毎日きちんと歯みがきをしているのですが・・・。

A 歯周病かもしれません。3ヶ月~半年に一度歯科医院で歯石取りと掃除をしましょう。

この悩み、多くのお父さん・お母さん方からよく聞きます。原因は歳のせいでも、歯みがき不足だからでもありません。

本当に口臭が出てくる真性口臭症には、生理的口臭と病的口臭があります。前者は口臭の原因となる病気がないのに口臭が発生しますが、あまり強くありません。後者は、多くの場合歯周病が原因で、強い悪臭が特徴です。とくに中年になりますと歯周病が急に増えてきます。そこで、家族から「口が臭い」と指摘されることがあるようです。したがって、歯周病が原因の病的口臭かもしれません。

ところで、あなたは3ヶ月~半年に1回、歯科医院で歯石取りや歯の掃除・研磨をしていますでしょうか?歯医者さんに行くのは、歯が痛いときだけではないですか?歯科医院での歯の掃除は時間がかかるうえ、不快感もあるかもしれません。しかし半年に1回、歯の掃除をやってもらいましょう。歯周病の予防は「歯みがき」と「歯石取り」の2つが基本です。先進国では、ほとんどの国民が「歯石取り」を習慣としていますが、多くの日本人には、この習慣がなく、汚い口の人が多いようです。

あなたの場合はお嬢さんが口臭を指摘してくれたからラッキーでしたが、他人があなたの口臭に気づくと困りものです。私の調べでは、人々はあなたに近寄らないようになります。あるいは、あなたから顔を背けるという行動もとります。寂しいですね。

こうなるまえに、3ヶ月~半年に1回、歯科医院を受診して、「お口を爽やかに健康に」なりましょう。紳士の「おしゃれ」です。

ホワイトニング以外に歯を白くする方法は?

Q ホワイトニングをしたのにあまり白い歯になりません。なにか良い方法はありませんか?

A 歯の表面を薄く削り好みの白さの薄い板を装着するラミネートベニアという方法があります。

ホワイトニングでイメージしていた歯の色にならない原因をご説明しましょう。例えば歯のつめ物やかぶせ物はホワイトニングでは白くなりませんから、以前に大きなつめ物をしている場合、思い通りの白さにならないことがあります。また、小さい頃に大きな病気をし、ある種の薬(テトラサイクリン系抗菌剤) を長期服用した方は歯が変色することがあり、この場合も効果が出にくくなります。

このような場合「ラミネートベニア」という方法があります。これは、歯の表面を薄く削って、そこに好みの白さの薄い板(ベニア)を装着するもので、つけ爪を想像していただければよいと思います。ベニアの材料には、ポーセレン(陶材)やコンポジットレジン(プラスチックのような材料)があります。かみ合わせや歯並びの状態によっては適応できないことがありますので、事前に十分な診査が必要です。当院の場合、費用はポーセレンラミネートベニアで1本8万円(税別・2009年現在)です。

ラミネートベニアとホワイトニングの大きな違いは、後者がまったく歯を削らないのに対し、前者はわずかですが歯を削る点です。しかし、かぶせ物をする場合は歯の全周を削りますから、これに比べればベニアのほうがはるかに削る量は少なくて済みます。しかし、たとえわずかでも削った歯は元には戻りません。事前に歯医者さんと相談してください。

一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Question  せっかく治したのにむし歯ができて。一度詰めたり、かぶせたりした歯でもむし歯になるのですか?

Answer  きちんと歯をみがいていないと再びむし歯になることがよくあります。

確かに一度歯科医院でむし歯を治したのに、数年たって再びむし歯になると、悔しい気持ちになりますね。

歯科医は、むし歯をできるだけ必要最小限に削って、レジンという接着剤を詰めて治します。大きなむし歯で歯髄という神経を除去したケースでは、型を取り、歯科技工士が作製した金冠や差し歯を、接着剤を用いて、歯にくっつけています。

歯を完全に、そして永久に接着する材料は存在しません。現在、これらの接着剤の耐久性について研究が進んでいますが、口のなかという過酷な環境下では、5年以上たつと接着剤の接着性能が半減することがわかっています。

したがって、治してから数年もすると、詰め物やかぶせ物がとれたり、歯とのあいだにすき間ができることが考えられます。

さらに、毎日のブラッシングが不十分ですと、そのすき間からむし歯菌が再び侵入して、残っている歯質が酸でおかされ、再びむし歯となってしまうのです。

この再度生じた虫歯のことを「二次う蝕」と呼んでいます。

「二次う蝕」の発生頻度は10~20%前後と報告されています。ただ、よくブラッシングされている患者群では、その発生率は10%以下に下がることもわかっています。

むし歯を治したあとも安心せず、毎日毎食後のブラッシングを続けてください。

電動歯ブラシでみがくのは効果的ですか?

Question 自分で歯をみがけない人の歯みがきは、手でみがくのと電動歯ブラシでみがくのとでは、どちらが効果的ですか?

Answer  介護する方が介護される方の歯をみがく場合は、電動歯ブラシが効果的です。

自分で歯がみがけなくても、お口を清潔に保つことは大切です。最近は電動歯ブラシも市民権を得て、たくさんの種類があります。

さて、おたずねの件ですが、ひと言でいうと「自分でみがく通常の使用では、どちらでも同じ。しかし、自分で歯をみがけないため、介護する方が介護される方の歯をみがく場合は、電動歯ブラシのほうが効果的」です。

歯みがきで最も重要なことは、歯面に毛先を当てて、こすることです。自分で歯みがきをする場合は、毛先がどこに当たっているか口の中の感覚でわかります。でも他人の口は目で見ないとわかりません。とくに奥歯は、歯ブラシを動かすために頬を引っ張って隙間をつくり、その状態でのぞきこみながら歯ブラシを横に小刻みに動かさなければなりません。しかも相手は動いたり、文句をいったりするなど、大変な重労働です。みがく人とみがかれる人の双方が慣れるとコツがわかり、少しは楽にできるようになりますが、やはりきれいにみがくのは大変です。電動歯ブラシがおすすめなのは、毛先を歯に当てることだけに専念できるので、小刻みに動かさなくても、楽できれいにみがけるからです。

電動歯ブラシも多種多様ですが、介護されている方の歯をみがく場合は、ヘッドが小さいものが使いやすくておすすめです。最近は、毛先が一列に植毛していなくて、カップ上に丸く植毛してある製品がいくつか製品化されています。

矯正治療は大人でもできますか?

Question 子どもの矯正治療を見て、わたしもしたくなりました。大人でもできますか?費用は大人と子どもとではちがいますか?

Answer  大人でもできます。費用は子どもと基本的に同じです。

当院では「子どもが治ったのをみて私も」「うちの子と一緒に」というお母さまが多くなっています。励ましあって矯正治療をなさる姿はとても微笑ましいものです。

ちなみに当院では永久歯の治療に変わりないので、大人も子どもも同じ料金です。

矯正技術の進歩によりいろいろな矯正治療法がありますので、歯が存在し、それを支える歯槽骨さえあればいくつになっても矯正適応年齢です。アメリカ矯正学会で有名なザクリソン先生は、60代はもとより70代、80代の方の矯正治療例を発表されました。

例えば62歳の女性という方もいます。お孫さんの治療に付き添ううちに昔から気になっていた出っ歯を治したいとはじめました。治療後は、よく噛めるようになっただけでなく、横顔も美しくなって若々しくなりました。現在74歳ですが毎日生きいきとしているそうです。

年をとると食べることがとても重要になります。40歳で噛み合わせに不安があるという方は、平均寿命から考えたらまだ倍以上の年数で自分の歯を使う計算になります。長い人生を素敵に過ごすため、ぜひ矯正治療をおすすめします。ただし、40歳を超えると歯周病にかかっていたり処置歯が多かったりと治療が難しくなってきます。信用できる先生とじっくり話し合ってください。また、子どもの頃に比べ、適応能力が落ちてきますから、矯正装置の違和感がなかなかなくなりません。やり遂げる強い覚悟は必要です。

ホワイトニングをすると歯がしみますか?

Q  ホワイトニングをすると歯がしみると友達から聞きました。痛みがでたら治らないのでしょうか?

A  大体のケースでは時間が経てば治ります。

ホワイトニングは「歯を削らず痛まない」ことが魅力なのですが、残念ながら途中で知覚過敏を経験される方がいます。時間が経てば治まり心配はいりません。ホワイトニング剤の歯に対する安全性は確認されています。

しかし、とくに自宅でホワイトニングをなさっている方は、一時中断し歯医者さんに連絡して指示をもらってください。

さて、なぜ知覚過敏が起きるのでしょうか?その前に、ホワイトニングでなぜ歯が白くなるかですが、ホワイトニング剤の過酸化水素が分解すると、活性酸素分子(フリーラジカル)が発生します。このフリーラジカルが、歯の表面から浸透し、歯の有機着色物質を分解すると説明されています。ですから、歯にヒビやエナメル質の薄い部分があったり、歯肉が下がって歯根が出ていたり、歯と詰め物の間に隙間があると、このフリーラジカルが歯の奥深くまで浸透し、知覚過敏を起こすといわれています。始める前に、歯医者さんのチェックが必要なのはこのためです。幸いなことに、フリーラジカルは、分解・消失が早く、痛みは一時的です。

これとは別に、光やレーザーを照射して漂白効果を高める場合、発熱が一時的な知覚過敏を起こすこともあります。元々歯がしみる方は、別の方法を選択されるべきかもしれませんが、しみる原因に対処し、フッ化物の入ったジェルなどを使用することでほとんどの方が普通にホワイトニングを続けられます。

部分入れ歯と残っている歯のむし歯予防法は?

Q 部分入れ歯の留め金(クラスプ)と接する歯の色が変わってきたような気がします。虫歯でしょうか?

A 部分入れ歯の留め金はむし歯菌が付着しやすく、接する歯がむし歯になることはよくあります。

部分入れ歯の留め金(クラスプ)は維持力を発揮させるために複雑な形状をしており、接する歯(鈎歯)にもクラスプが安定して適合するように小さな溝などが削られたりしています。このため、食後よく洗浄しないで部分入れ歯を装着したままにしておきますと、むし歯菌がクラスプや鉤歯に定着し、食べ物の残りカスを栄養源としてプラークを形成し、酸を出して鉤歯の一部にむし歯を生じることがよくあります。そのためにクラスプに接する鉤歯が着色してきたものと考えられます。

またクラスプが接する鉤歯には噛むたびに大きな咬合力がかかるため、過剰負担となって歯周病が進行する危険もあります。このような場合、歯周病菌も鉤歯のまわりの歯周ポケットという歯肉の溝にたまりやすくなり、歯肉が腫れたり鉤歯が揺れだしたりします。

このようなクラスプに伴うむし歯や歯周病を放置すると、最悪抜歯しなければならなくなり、部分入れ歯に人工歯を追加したり新調する必要がでてきます。

鉤歯のむし歯を予防するためには、まず部分入れ歯を清潔に持つことが必要です。できれば毎食後、部部入れ歯をよくブラッシングし、一週間に一度は義歯洗浄剤に浸しておくことが大切です。部分入れ歯専用の洗浄剤も市販されています。また、鉤歯をよくブラッシングすることも重要です。フッ素入りの歯みがき材でブラッシングするとむし歯の発生が抑えられることもわかっていますので、使用をおすすめします。

ラミネートベニアはどれくらいもつのでしょう?

Q 歯科医院でラミネートベニアを勧められています。どれくらいもつのでしょう。歯に悪くありませんか?

A 条件さえよければ10年をこえる症例も出てきており、信頼性の高い治療といえます。

ラミネートベニアは、〝つけ爪〟のような方法です。自分の歯の上に、セラミックスの薄い板を接着させて、色や形を自由に変更し見た目を変える方法です。表面のエナメル質を、約0.5~1.0㎜ほど薄く削ります。歯肉に近いところではエナメル質が薄いので、下の象牙質が出てしまう場合があり、その際は麻酔の注射が必要なこともあります。

削った後、ベニアを付けるまでの間、冷たいものや温かいものに感じる場合もありますが、さほどではありませんし、不安なく普通に何でも食べられます。

表面だけに人工物を接着しますから、その他の歯面は天然の歯のままです。したがって噛み合わせが、治療前と変わらないという大きな安心感があります。また、歯肉近くのエナメル質は、もとのままわずかですが残します。ですから、歯肉が退縮しても、患者さんはほとんどの場合、継ぎ目が気にならないようです。これらは、歯を全部覆ってしまう冠タイプにはない利点ですね。材料のセラミックスは、歯ブラシでも減らないですし、それ自体の変色もありません。ただし、歯ぎしりの強い患者さんは時としてヒビが入ることもありますから注意が必要です。

昔は神経のある歯だけを対象に行っていましたが、今は接着の技術やベニアを作る材料が進歩し、神経をとった歯にも可能です。

長持ちさせる秘訣は、日常適切な歯ブラシ清掃を励行すること、定期的に歯医者さんで歯石除去、歯面のクリーニング、また噛み合わせのチェックを受けることです。