放射線と歯科治療のX線撮影のお話

先日、歯科用CTの研修を受けてきましたが、そのときにタイトルのような話も聞いてきましたので資料をもとに少しまとめてみました。

まず

放射線とは、電磁波や各種粒子線の総称です。病院でレントゲン検査で利用されるX線は電磁波に分類されます。

ベクレル(Bq)とは、放射線をだす性質や能力のことを放射能といいますが、その能力の強さの単位がベクレルです。

シーベルト(Sv)とは、人体に与える放射線の影響の単位です。

例えば2000ベクレル/キログラムのほうれん草を1日50グラム、1ヶ月間食べ続けた場合、人体に与える影響は0.07ミリシーベルトとなります。

7.8ベクレル/リットルのお茶を1日1リットルを1年間のみ続けた場合0.02ミリシーベルトになります。

一人当たりの1年間に浴びる自然放射線は世界平均で2.4ミリシーベルトです。自然放射線とは普通に生活していても自然と浴びる放射線のことで、その内訳は宇宙からが0.4ミリシーベルト、大地からが0.5ミリシーベルト、大気からが1.2ミリシーベルト、食物から0.3ミリシーベルトといわれています。

 

こんな難しい話が続きましたが、これを踏まえて放射線やエックス線(X線)は有害なのかどうかが知りたいところでしょう。

放射線によって人体に影響が出るといえばがんの発生率が増加することが挙げられますが、100ミリシーベルト以下ではがんの過剰発生はみられないそうです。100ミリシーベルト以上被ばくして初めてがんの発生率が上昇します。これは100ミリシーベルト以上被ばくした場合、ガンになりやすくなるとのことで必ずガンになるわけではないということです。

ちなみに、不妊、造血系への影響、眼への影響、脱毛などは100ミリシーベルト以上にさらに大量のシーベルトを被ばくしないとこれらの影響が出てきません。

 

ここで歯科のエックス線検査ではどれくらいの放射線を使用しているかを紹介します。

口の中にフィルムを入れて撮影する口内法は1回で0.01ミリシーベルト

顎全体を撮影するパノラマ撮影は1回で0.03ミリシーベルト

最近普及してきた歯科用CTでは1回で0.1ミリシーベルト

比較の参考例として東京-ニューヨーク間を飛行機で往復すると宇宙からの放射線の影響で0.2ミリシーベルトになるようです。

当クリニックでは口内法とパノラマ撮影を院内で行っておりますが、歯科用CTは患者さんの同意を得て他の医療機関に依頼しています。

放射線は浴びないに越したことはありませんが、エックス線検査によって肉眼では見る事のできない人体の内部を観察することによって、治療を成功に導いてくれるメリットは計り知れません。

人体への影響がないレベルで必要最小限のエックス線検査をこれからも心がけていこうと思いますので、ご理解をお願いいたします。

今まで記載した内容が分かりやすく図になっているポスターを待合室に貼ってありますので、来院された方はよろしかったらご参考にしてみてください。