海外留学をして学んできた歯科医師たち

先日、海外の大学院へ留学して博士や専門医となって帰国してきた歯科医師数名による講演会があったので参加してきました。

主催者は米国歯科大学院同窓会(JSAPD)という組織です。これはアメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなど世界各国へ2年以上の留学をして博士号や専門医の資格などを取得してきた歯科医師たちの組織です。

今回のセミナーでは歯周病の専門医・インプラントの専門医・補綴(入れ歯など)の専門医・矯正の専門医など5名の専門医の先生たちの講演を聞いてきました。

2010米国大学院 002

写真は休憩時間の会場内の様子です。

日本の歯科とはまた違った教育を受けてきた先生方ばかりの講演だったので、普段目にするしか情報とはまた別のグローバルな視点からの考え方を学ぶことができました。日本だけの情報に偏らずに、世界中の歯科の情報からこれからも勉強していかなければならないと今まで以上に思いました。

今回はお世話になっている先生が講演者の1人だったので、たまたまこのような機会にめぐり合えたことはとてもラッキーだったと思います。

しかし、ずっと昔から数多くの日本人が海外へ留学し勉強をしにいっていたことは私の想像をはるかに超えていました。まだまだ見聞を広めないといけないことはたくさんあるなと実感して帰ってきました。

これからも米国歯科大学院同窓会(JSAPD)の公開セミナーは積極的に参加していきたいと思います。

歯周病の再生療法

歯周病とは専門用語では歯周炎と呼ばれ、昔は一般的には歯槽膿漏などと呼ばれていた病気のことです。

歯周病は成人の80%以上の人にあるとも言われており、むし歯と並んでとても罹患率の高い病気です。80%以上といえば10人いれば8,9人は歯周病ということです。

とくに40歳以降では歯を失う原因はむし歯よりも歯周病のほうが多いといわれています。しかしながら、若い方にも歯周炎は発症します。若年性歯周炎といわれる病気もあり、その歯周炎は10代から発症します。

そのような歯周病とはどんな病気なのでしょうか?

歯周病は歯そのものを冒すことはありませんが、その歯を支えている歯肉や顎の骨を痩せさせたり溶かしてしまう病気です。その結果、むし歯のない健康な歯でもグラグラとなって抜けてしまう恐ろしい病気です。

歯周病の原因は口の中で歯周病菌が増殖していき、歯肉を痩せさせ骨を溶かしてしまいます。

歯周病を治すためにはその原因となっていた歯周病菌を減少させて、再び増殖しないよう警戒監視していくことが大切になります。

それでも一度溶けてしまった骨は元通りにはならないため、少しでも溶けてしまった骨を復活させるために治療法の1つに歯周病の再生療法があります。

先日、その歯周病の再生療法についてレクチャーを受けてきました。講師はスウェーデンデンタルセンターの弘岡先生です。

2日間の講習会の最後にCertificateをいただきました。

スウェーデンデンタルセンター弘岡秀明先生よりCertificateをいただきました。 

全ての歯周病に適応できるとは限りませんが、条件がそろえばとても有効な治療法です。

共同通信社にも弘岡先生の再生療法の記事が取り上げてありますのでご参照ください。

歯周病治療の勉強会に行ってきました

現在、東京で開催されている歯周病治療の年間コースに出席してきました。

講師は歯周病治療の先進国であるスウェーデンへ5年間の留学のある先生です。

第4回目にあたり、今回も2日間にわたり朝から夕方までレクチャーを受けてきました。

今回のテーマはより重症化した歯周病になった歯を何とか残して使える方法を学んできました。

今までもその治療方法は知ってはいましたが、より詳しい内容や今までの治療例をたくさん閲覧し、またそれらを裏付ける論文もたくさん紹介してもらいました。

しかし、これらの治療法をもちいても限界があることも事実としてあります。

今回のレクチャーで得たことを患者さんへ還元して1本でも多くの歯周病の歯を抜歯しないで残していくようにしていければと思います。

やっぱり自分の歯で咬めることが一番ですよね。

スウェーデン デンタル センターを見学してきました

東京都千代田区にあるスウェーデンデンタルセンターを見学させていただきました。

ビルの3階にある入り口です 

【ビルの3階にある入り口です】

待合室です 

【待合室です】

診療室へ通じる廊下です

【診療室へ通じる廊下です】

院長用診療椅子です。窓の外には日比谷のオフィス街が広がります

【院長用診療椅子です。窓の外には日比谷のオフィス街が広がります】

スウェーデンにあるイエテボリ大学のリンデ教授のもとで歯周病学を中心に5年間学んでこられた弘岡先生のオフィスです。

現在、定期的に弘岡先生のレクチャーを受けているため、今回お願いして見学をさせていただきました。

スウェーデンなどの北欧では予防歯科が世界の中でも格段に進歩しており、虫歯や歯周病の有病率が非常に低く有名な地域です。

そのスウェーデンで行われている治療を、この日本でそのまま実践されているオフィスはとても勉強になることばかりでした。

弘岡先生の5年間の留学経験といままでの臨床経験には学ぶべきものがたくさんあり、ひとつでも多くのことを吸収して日々の自分の診療へとフィードバックしていければと思いました。

歯周病の勉強会に行ってきました。

平成21年6月、土曜日を臨時休診にさせていただき、土曜日曜の二日間カンズメになって歯周病の勉強会に参加してきました。

コレは1年間通じてのコースでその第2回目に当たるのが今回の勉強会でした。

今回の勉強会は歯周病治療の基本的な部分を過去に発表された論文を中心に検証していくものでした。

何十年も前から研究されてきた歯周病ですが、先人たちの研究の成果が論文という形で現在へ伝えられています。それらをひも解いていくと1本でも多くの歯を抜かずに救える可能性が広がっていきます。

その中で1つ印象的だった論文を紹介します。

歯周病治療では歯の回りについている歯石や歯垢(プラーク)が原因であるためきれいに掃除していくことが初期治療として大切になります。そうすれば歯周ポケットの中の細菌が減少して、歯肉の状態が回復していきます。

しかし、治療後に歯ブラシなどでうまく掃除できなかった場合、歯垢や歯石がまたつきはじめてしまいます。そうなると治療によって減少した細菌の数がたった4週間で治療前に数まで増殖してしまいます。

つまり、がんばって治療を行ってもうまく歯磨きができないとたった4週間でもとの歯周病の状態に戻ってしまいます。もちろんそれ以降はさらに歯周病が進行してしまいます。

病院で治療を行うことも大切ですが、毎日歯ブラシをして歯垢をきれいにとっていくことはとても重要なことということですね。歯ブラシのほかにフロス (糸ようじ)や歯間ブラシなどを使って掃除することを「ホームケア」といいますが、歯周病を治すためには病院での治療とホームケアの両方がとても大切ということです。

音波歯ブラシについて

沼尾デンタルクリニック勉強会

音波歯ブラシの最大のメリットは普通のハブラシや電動歯ブラシよりスピーディに汚れを落とすことができることです。さらに、歯と歯の隙間や細かい溝の部分の汚れも簡単に落とすことができます。普通のハブラシでも細かいところの汚れは落とすことはできますが、そのためには細やかに歯ブラシを動かさないと落とすことができません。この細やかな動きを音波歯ブラシはやってくれるので磨くほうは非常に楽に汚れを落とすことができます。

音波歯ブラシだとあとは汚れているところに毛先を当てることだけを考えていれば簡単に汚れが落ちていきます。歯の裏側や奥歯や上顎など磨きにくい場所でも、ちゃんと汚れているところに毛先が当てられるようには当院スタッフが丁寧に説明させてもらうとみなさん上手にしかも簡単に歯の汚れを落とすことができるようになります。

今回の音波歯ブラシには「ノーマル」「ソフト」「スーパーソフト」の3段階の強さが設定できます。初めて使う場合や、歯肉が痛む場合などはスーパーソフトモードで行えば痛みなく使用することができます。慣れてきたらソフトモード、ノーマルモードとパワーをあげていけば、よりスピーディに汚れを落とすことができます。

音波歯ブラシをオススメな方は

・毎日が忙しい方で効率的に歯垢(歯の汚れ、プラークとも言います)を除去したい方。

・面倒くさがりの方

・もっと口の中をキレイにしたい方

・ツルツル感・さっぱり感をもっと実感したい方

・歯周病で届きにくい場所に集中的に歯ブラシを当てたい方

・ブリッジやインプラントなどがはいっており、ホームケアを十分に行いたい方

・歯並びが凸凹している方

・矯正治療中で装置が口の中にある方

・子供の仕上げ磨き

・高齢者や手が不自由な方

これらが思い当たる方はぜひ体感してみてください。

おしゃぶりが歯並びに影響しないでしょうか?

Question  うちの孫はおしゃぶりが大好きで、いつも手放せません。歯並びに影響しないでしょうか?

Answer  4歳までに止めさせないと永久歯に影響がでます。ご家族が一丸となって卒業させましょう。

お祖母ちゃまから、お孫さんの歯のことで質問をいただくなんて、「子育て歯科」の理想の姿です。

おしゃぶりや指しゃぶりは、奥歯を噛んでも前歯が噛み合わない開咬(オープンバイト)という不正咬合の原因になります。開咬は、前歯でものが噛み切れない、反対に使いすぎる奥歯がむし歯や歯周病になりやすい、という問題のおおい噛み合わせです。

おしゃぶりや指しゃぶりは、永久歯に影響が出るので、そろそろ止めさせたいですね。

止めさせ方は、とても簡単。おしゃぶりの卒業イベントをお家で開き「○歳になったので、おしゃぶりにはバイバイしましょう」といって、おしゃぶりをポイッと捨ててしまいます。すかさず、全員で拍手でおめでとうと、ほめてあげると、たいてい止められます。多くの患者さんが成功したといっていますから、本当です。これが、おしゃぶりのよいところ。指しゃぶりではこうはいきません。身体の一部なので、隠れて再開する、爪噛みに変わるなど、後をひきやすいのです。

とはいえ、おしゃぶりや指しゃぶりをする子の深層心理は、もっと遊んでほしい、もっとかまってもらいたい、などの精神的欲求の解消手段として使われることが多いのです。親子のふれあいが不足していないか、一人で遊ばせる時間が長くないかなど、周囲の大人も生活を見直していただきたいのです。

たばこ(喫煙)と歯周病の関係は?

Question 喫煙が歯周病を悪化させると聞きましたが、禁煙すれば歯周病は治りますか?

Answer  それだけでは治りません。禁煙に加え、プラークや歯石を完全に取り除くことが大切です。

 喫煙と歯周病との関係は密接で、喫煙者は①歯周病にかかりやすく、②悪くなりやすく、③治りにくいことがわかっています。特に1日の喫煙本数や喫煙を続けてきた年数が多くなるほど、その傾向が高まります。

 タバコの煙のなかには約4000種類の化学物質が含まれ、そのうち約2000種類が有害物質で、さらにそのなかのニコチン、タール、一酸化炭素が3大有害物質です。

 タバコを吸うと、煙が口のなかに入り込みますので、これらの物質が、歯の周りで歯を支えている歯ぐき(歯肉)、骨(歯槽骨)、歯根膜などに悪影響を与えるのです。そのなかで一番大きなものは、体をまもる免疫の仕組みがきちんと働くのを妨害することです。そのために、歯周病の原因となるプラークのなかの病原菌の感染を許していしまいます。そしてこの病原菌は歯周病を発症させ、歯の周りの組織を破壊するのです。また歯ぐきの毛細血管が必要以上に収縮して血行を悪くしたり、歯のまわりの細胞たちの動きを悪くして、治療後の傷の治りを遅くしたりします。

 そのため、歯周病予防や、歯科医師による治療が円滑に進むのを助けるためには「禁煙」が必要です。では、禁煙すれば歯周病が治るのかというとそうではなく、それはあくまで、歯の周りの組織にとって不利な条件のひとつを取り除いたのに過ぎません。治ることはないのです。きちんと治すためには、禁煙に加えて歯周病の直接的な原因のプラークや、それが固まった歯石を完全に歯の表面から取り除かなければなりません。

歯周ポケットの奥深くの歯石を取るには外科手術は、どのような方法ですか?

Question  歯周ポケットの奥深くにたまった歯石を取るにはフラップ手術という外科手術はどのような方法ですか?保険でできますか?

Answer 歯の周りの歯ぐきを麻酔してメスで切り開き、歯石を取り除いた後、元通りに縫い合わせます。

歯周病を引き起こす病原菌の集合体であるプラーク(歯垢)が石のように硬くなったものを歯石と呼びます。プラークと歯石は歯ぐきの下に入り込み歯の表面にこびりつき、そこで炎症を起こし、歯の周りの歯ぐきや骨を破壊します。その結果できのが歯周ポケットで、これは歯周病が進むと深くなります。

歯石を取る治療のスケーリングは、ポケットの中に器具を差し込み、手探りで歯の表面の歯石を掻き取り、ポケットの中をきれいにします。しかしポケットが深いところでは、器具がうまい具合に歯石に届かなかったり、届いても正確な操作ができなかったりします。

そこでフラップ手術です。手術を行う歯の周りの歯ぐきを麻酔して、メスで歯ぐきを切り開きます。これにより、歯科医師は歯石のついている場所、範囲、量などを肉眼で確かめることができます。こうなればしめたもの。器具を確実に使って歯石をきれいに取り除いていきます。またデコボコしている歯の表面を滑沢な状態に仕上げます。その後、切り開いた歯ぐきはできるだけもとの位置に戻し、しっかりと縫い合わせます。最後に包帯をつけることもあります。

処置の時間は、歯の本数や状態にもよりますが、数本で1時間から2時間ぐらいです。細かい操作をするので時間がかかります。抜糸は、1~2週間後。もう歯周ポケットはなくなっています。その後再発しないよう、歯ぐきを歯みがきでしっかり管理します。

口の中が乾いていると口臭が起こりやすいですか?

Question  口の中が乾いていると口臭が起こりやすいという話を聞きました。こまめに水やお茶を飲んでうるおせば解決しますか?

Answer  あまり期待できません。まずは唾液が本当に減っているのか、調べてみましょう。

確かに唾液の分泌量が減ると口臭が強くなります。ところが、正常の人は唾液を増やしても口臭は減らず、水を飲んでも効果は限られています。中には「チューインガムを噛んで、唾液を通常より増やすと口臭が減る」と誤解している方はいませんか?

あなたの場合は、唾液が本当に減っているのかまず調べてください。唾液が正常ならば、水を飲んでも強い効果は期待できません。一度、口腔外科などで唾液分泌量を調べてください。唾液が減っていれば口臭予防のために、こまめに水分を摂取するほか、唾液分泌の促進や人工唾液などが必要かもしれません。専門医と相談してください。

一方、唾液分泌が正常な人でも、長い時間しゃべったり緊張すれば、口が乾き口臭が出ます。こういう時、水を飲めば口臭は減りますが、せいぜい20~30分ぐらいの効果です。飲むだけでなく、何か固形物を食べて、それから水分を摂取してください。物を食べるという行為で口臭物質が8割減ります。ちなみに歯みがきでは2割しか減りません。

もしガムぐらいしか食べるものがないというのであれば、シュガーレスガムでなく、普通の「砂糖入りガム」にしてください。砂糖のため口が酸性になると口臭は発生しません。ただし、むし歯予防のため歯みがきを忘れずに。

口臭は歯周病が原因のことがはるかに多いので、その予防のため、3ヶ月~半年に1回、歯科医院での「歯石取り」も忘れずに。