Question
全部歯を抜いて総入れ歯にしたら味がよくわかりません。どうしてなのでしょう?
Answer
総入れ歯の大きさや熱が伝わりにくい素材も原因の一つです。
味覚には、甘い(あまい)・酸(すっぱい)・苦(にがい)・鹹(しおからい)・辛(からい)があり、さらに「うま味」や「コク」などが加わり、複雑な組み合わせで味が形成されます。さらに味覚に影響する要素に、摂取した食品そのものの性状があります。温度(例:熱いスープ、アイスクリーム)、硬さ(例:固焼きせんべい、プリン)、歯切れ(スルメ、レタス)など、複雑な多岐にわたる「食感」です。
味覚を感じるための一番重要な器官は、舌の表面にある味蕾(みらい)です。また、唇、頬、ノド、の感覚もきわめて鋭敏です。総入れ歯は、上下の顎の土手(顎堤)を中心として、粘膜の大部分を覆うような形態をしているのが特徴です。入れ歯の歯ぐきに相当するピンク色の部分(義歯床)はプラスチック(レジン)でできていますが、入れ歯の安定やさまざまな外力に耐えるために、一定程度の厚みや長さを確保しなければなりません。しかもレジンは熱を伝えにくいため、レジンで粘膜を覆われるとどうしても味覚に影響することになります。また、舌ざわりも味覚に大きく影響します。
解決方法としては、入れ歯の強度や安定性を損なわない程度に義歯床を調整し、まず慣れることが必要かと思います。上顎(口蓋)部が金属でできた入れ歯(金属床)も選択肢の一つでしょう。金属床はレジン床に比べて薄く設計でき、熱の伝導性がよいため、熱いものは熱く、冷たいものは冷たい快適な食事ができます。しかし、金属床は保険がききませんので、費用の点で、かかりつけの先生とよく相談するようにしてください。