Question 前歯の欠けた部分をレジンで充填しましょうといわれました。こうした接着の技術が進歩しているという話も聞いたのですが・・・。
Answer 歯科医療を大きく変えた接着の技術について
日進月歩の歯科医療ですが、最近の動向を見ますと、治療から予防へ、そして幸福歯科へと、人びとのQOL(生活の質)を上げる歯科医療へと変化しつつあります。
数年前、WHO(世界保健機構)が提唱したMI(ミニマル・インタベーション)の理論は、あっというまに日本にも定着しました。この理論は、最小の侵襲で最大の効果を上げるために、なるべく歯を削らない歯科医療のことをいいますが、多くの歯科医師に支持されて市民権を得ることになったのです。また、その背景には、多くの患者さんがそれを望んでいるという裏付けがあります。
さらに、接着歯学の進歩が、MIに基づく歯科医療の後押しをしています。歯に強力に付く接着技術の登場が、歯科医療を革命的に変えたのです。歯をそんなに削らなくても、簡単にしかもきれいにむし歯を修復できます。つめる材料のレジンは、色もたくさんあり、ほとんどのケースで周りの歯と調和させて目立たなく治すことができます。
ご質問のケースですが、感染した歯質を除去し、色の選択を行い、接着剤を塗ったあと、レジンをつめて光で硬化させます。硬化は簡単に終わりますが、研磨はていねいに行います。こうして、見かけもよく、丈夫なレジン充填が短時間で完了します。
日本の歯科用充填剤はとても優れていて、米国やヨーロッパにも輸出されています。美容歯科やアンチエイジング歯科の観点からも、接着の技術が大きな力を発揮しているのです。
ただし、材料の限界はあります。あまりにも大きくかけてしまった部分にはこの治療方法は適応できないこともあります。