日本歯周病学会という歯を温存することを目的とする事を研究発表をする場で、歯科では最大級の学会です。その学会が時々研修会を開催しています。
今年は栃木県がその対象になり開催されたので、参加してきました。
学会を代表する著名な4名の講師の講義を聴講しました。その中でも歯を温存するにあたって、非常にいいお話だったものをご紹介いたします。
臨床経験が長い講師からは40年以上経過をした長期経過の治療例の紹介がありました。
歯周病のためずっと悩んでおり受診した歯科医院では「全部の歯を抜歯しないとダメだ」と言われた方が、40歳にして初めてこの講師の方の診察を受け、そこから二人三脚で歯を温存する治療を開始しました。
そして、その方は80歳代でお亡くなりになったとのことですが、それまで1本も自分の歯を失うことがなかったそうです。
今回の講習ではその治療内容や患者さんの努力などを細かに教えていただきました。
これは歯科医院での歯を温存する治療を行ったことはもちろんですが、それと同時に大きな要素として自分の歯を失いたくないという患者さんのすさまじい熱意があったから成功したとのことでした。
その熱意は毎日の自分のお口の中のお手入れに注がれ、非常にきれいな状態を保っていたそうです。
毎日歯磨きを行っても磨きのこしをなくすることはかなり至難の業です。しかし、その方はほとんど磨きのこすことはなく、逆に毎日ピカピカに光るほどの状態を維持していたそうです。
ここまできれいにしておけばばい菌の増える機会もないため、歯周病という病気も進行することはなくなることを実践した例でした。
もちろんしっかりとした歯周病治療が必要なことは言うまでもありません。そのためにはしっかりと歯周病検査をして、今の歯周病の病態がどのような状態なのかを、医療者と患者さんで共有して治療に挑む必要があります。
そして今回の実例のように、治療が成功すればするほど医療者と患者さんとは非常に長い付き合いとなります。
患者さんとの良い関係のもとに二人三脚で治療を行っていくことの大切さを改めて実感した研修会となりました。