歯周病とインプラントに関する勉強会へ所属していますが、先日そこで担当となった海外の論文に関する発表と検討会を行いました。
最近のインプラント事情も含めそのときの内容を記載します。
インプラント治療はかなり普及をしてきましたが、必ずしも一生モノのではありません。お手入れを怠ってしまうと「インプラント周囲炎」(詳細はこちら)という病気にかかってしまいます。
インプラントの先進国のスウェーデンでさえインプラントを入れた方の4人に1人がこの病気にかかっているとも言われています。
そこでここ最近、盛んに研究が行われているのがこのインプラント周囲炎という病気の治療方法についてです。
それらの研究の成果として数多くの論文が発表されておりますが、残念ながら決定的な治療方法はまだ見つかっていないことが現状です。
今回はそのようなインプラント周囲炎の治療方法の研究論文(英語・論文を書いたのはスウェーデンの研究者)を翻訳しながら、その内容を読み解いていき、勉強会メンバーの前で発表しながらディスカッションを行ってきました。
今回の研究論文の詳細はこちらのページの下段のほうにある「論文解説」というところにアップされています。
今回はインプラント周囲炎によって炎症(腫れたり血が出たり膿が出たりする状態です)を起こしている歯肉に対する治療方法の検討です。
歯科用のレーザーを使った治療とエアーアブレーシブという特殊な洗浄剤を噴霧する洗浄機器を使った治療について研究された論文でした。
結果は炎症の少しの改善はあったものの完全治癒(完全に治った。完治した)とまではなかなか行きませんでした。
インプラント周囲炎は非常に難治性(治り難いという意味)の病気であることがうかがわれます。
ここでは、インプラント周囲炎にならないようにするためには、インプラント治療前に歯周病をしっかりと治しておくことと、インプラント治療後も日々のお手入れや定期的なメンテナンスクリーニングは絶対に必要だと、この論文では訴えていました。
インプラント治療は治療前の診査(検査)と治療計画をしっかりと行い、歯周病やむし歯などの治療をきちんと行い、治療後はしっかりとしたお手入れと定期的なメンテナンスクリーニングを行えば、自分の歯のようにしっかりと咬めて長く使っていくことができます。ただし,誰しもがインプラント治療の適応であるとは限らないので、可能か不可能かを見分けるためにしっかりとした検査と治療計画を行っていかなければなりません。