病院や医院へは、なかなか足が向かないものです。
強烈な痛みや、強い症状などがあればすぐさま受診されると思いますが、
それほど症状などがない場合は受診しにくいという方も多いです。
たとえば
「なんとなく痛い気もする」
「腫れぼったい感じが時々する」
「毎日ではないけど、たまに痛みが出るがすぐになくなる」
「食事をすると違和感があるが、食べられないわけでがない」
「歯ブラシで血が出る時もあるがすぐに止まる」
「口が臭う気がする」
「口が開きにくいが、食事はできる」
など、自分でもはっきりした症状はないけど気になる方は
まずは医療機関に電話でお問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
その症状で受診をしたほうがいいのか?
ほかの医療機関を受診したほうがいいのか?
など、何らかの回答はしてくれるのではないかと思います。
何もせず放置してしまったばかりに
病状が悪化し
歯を抜かないといけないくらい重症化し
入れ歯などが必要になってくることは
できれば避けたいところです。
ちなみに
進行した虫歯は痛くなくとも
自然治癒は絶対にしません。
何もしなかったために
重症化をすることはよくあります。
年末年始のお休み(2016-2017)
2016年12月29日午後から2017年1月4日まで休診とさせていただきます。
2017年1月5日(木)より通常通り診療を行います。
歯が痛くなっても、歯に原因があるとは限りません。
歯が痛くなると、歯科医院を受診されると思います。
しかし、歯が痛いのに、痛いはずのその歯にむし歯が全くないこともあります。
それでは、なぜ歯が痛くなっているのでしょうか?
それは歯以外の他の場所に痛みの原因がある時に、健康な歯でも痛みを感じることがあるからです。
もちろん痛みの原因が歯にないので、歯の治療をしても痛みは変わりません。
では、他にある痛みの原因とはどんなものなのでしょうか?
それは、筋肉であったり、神経であったり、鼻だったり、血管だったり、ウイルスだったりなど
歯以外の様々な場所に、ある特定の病態が原因となって、歯が痛く感じることがあります。
そのような歯や口の周りの痛みを科学する学会が「日本口腔顔面痛学会」です。
今年もまた口腔顔面痛学会に参加してきました。
痛みの診断をするためには、
さまざまな原因があるので幅広い知識と診断能力が必要になります。
その原因によっては、耳鼻科、脳神経外科、内科、皮膚科などの様々な専門のドクターと連携をとって
治療が必要になることもあります。
そのような知見を得るために、日本口腔顔面痛学会に参加しています。
今回の学会でもいろいろな知識を得ることができました。
これを日々の診療で患者さんへ最大限に還元できるように、していこうと思います。
歯科衛生士専門学校のオープンキャンパスがあります
宇都宮歯科衛生士学校で今年もまたオープンキャンパスが開催されます。
http://www.uda1977.com/top/senmon.html
歯科衛生士とは患者さんが虫歯や歯周病にならないよう予防を行うことが仕事の一つになります。
「むし歯にならないようにするには?」
「歯周病が悪くならないようにするには?」
ということを中心に行います。
患者さんの健康を守るとても大切な仕事です。
また患者さんの健康を守るため、患者さんから監査をされることも多く、やりがいがある仕事です。
求人は毎年数倍あるとのことで、就職先も豊富です。
歯が痛く感じたものが、実は原因は歯とは別にありました
上あごの奥歯が痛いとのことで来院した患者さんがいました。
来院までの症状の経過のお話をよく伺いました。
そして口の中をよく見させてもらい、レントゲンの検査を行わさせてもらいました。
その結果、私の判断は
「歯に明らかな異常がないので、もしかすると鼻の方が原因かもしれない」
というものでした。
患者さんへその理由をお伝えし、耳鼻科受診することに承諾していただきました。
それから数週間後その患者さんが再度来院され、
「鼻が原因だったので治療をしたところ、歯の痛みもなくなりました。」
というものでした。
口の中や歯はとても敏感な場所なので痛みを感じやすいこともあります。
しかし、必ずしも歯が痛い事が歯に原因があるとは限りません。
痛みの原因は様々なものがあります。
他の歯科医院で「全部抜歯」と言われた方が、歯周病治療で歯を抜かずに済んだ話
日本歯周病学会という歯を温存することを目的とする事を研究発表をする場で、歯科では最大級の学会です。その学会が時々研修会を開催しています。
今年は栃木県がその対象になり開催されたので、参加してきました。
学会を代表する著名な4名の講師の講義を聴講しました。その中でも歯を温存するにあたって、非常にいいお話だったものをご紹介いたします。
臨床経験が長い講師からは40年以上経過をした長期経過の治療例の紹介がありました。
歯周病のためずっと悩んでおり受診した歯科医院では「全部の歯を抜歯しないとダメだ」と言われた方が、40歳にして初めてこの講師の方の診察を受け、そこから二人三脚で歯を温存する治療を開始しました。
そして、その方は80歳代でお亡くなりになったとのことですが、それまで1本も自分の歯を失うことがなかったそうです。
今回の講習ではその治療内容や患者さんの努力などを細かに教えていただきました。
これは歯科医院での歯を温存する治療を行ったことはもちろんですが、それと同時に大きな要素として自分の歯を失いたくないという患者さんのすさまじい熱意があったから成功したとのことでした。
その熱意は毎日の自分のお口の中のお手入れに注がれ、非常にきれいな状態を保っていたそうです。
毎日歯磨きを行っても磨きのこしをなくすることはかなり至難の業です。しかし、その方はほとんど磨きのこすことはなく、逆に毎日ピカピカに光るほどの状態を維持していたそうです。
ここまできれいにしておけばばい菌の増える機会もないため、歯周病という病気も進行することはなくなることを実践した例でした。
もちろんしっかりとした歯周病治療が必要なことは言うまでもありません。そのためにはしっかりと歯周病検査をして、今の歯周病の病態がどのような状態なのかを、医療者と患者さんで共有して治療に挑む必要があります。
そして今回の実例のように、治療が成功すればするほど医療者と患者さんとは非常に長い付き合いとなります。
患者さんとの良い関係のもとに二人三脚で治療を行っていくことの大切さを改めて実感した研修会となりました。
患者さんから絵をいただき、診療室に飾りました
当院で治療を行った患者さんから、治療内容がとても良かったとのことで、そのお礼にとご自身が書いた絵をいただきました。
さっそく診療室に飾らさせていただいたところ、ほかの患者さんから
「素晴らしい絵ですね。この診療室にあっていますね。どちらで購入されたのですか?」
と聞かれるほどほかの患者さんからも大好評です。
この絵を描いた方は、個展を開いてたくさんの方に絵を購入していただいているとの高いレベルの方で、
わざわざ当院のためにこの絵を書いて下さったと、そのことを共通の知人から教えていただきました。
素晴らしい絵をいただき、本当にありがとうご逢いました。
当クリニックに来院されるときは見ていただければと思います。
マンション杭問題を歯周病に例えて説明をしてみました
重症歯周病の患者さんへの説明をマンション杭問題にたとえてしたところ非常にわかりやすいと好評でした。
患者さん 「この歯は抜かずに何とかなりませんか?」
先生 「重症な歯周病なので、この歯を使っていくようにするには難しい状況ですね」
患者さん 「どれくらい重症なのですか?」
先生 「今の状態はマンション杭問題と同じ状態で、この歯の基礎が不安定な状態です」
患者さん 「このままにしておいても大丈夫ですか?」
先生 「基礎が悪いためマンションが傾いてきたのと同じように、歯を支えている骨が溶けて歯が傾いてきている状態です。マンションも倒壊する前に建て替えをするようになっていますが、この歯も何か大きな問題を起こす前に処置をしたほうがメリットは大きいです。処置とはこの場合、歯を抜くことにはなってしまいますが。」
患者さん 「抜かないでこのままにしておくとどうなりますか?」
先生 「杭問題のマンションと同様、将来的に大事故が予想されます。歯肉が急に腫れたり、急に強く痛み出したり、歯がグラグラして痛くて食事ができなくなったりなどが主に予想されます。このままにしておくのか、この歯を抜くのか、選択していただければと思います。」
患者さん 「説明が分かりやすく、状況がよくわかりました。この歯は抜いて下さい。」
このようなやり取りで患者さんは現状をよく理解していただきました。その結果、歯を抜くことを自ら選択をしていただきました。
有病率8割に対する挑戦!
日本顎関節学会と同時開催の日本口腔顎顔面痛学会に参加してきました。
2015年の日本顎関節学会は日本口腔顎顔面痛学会という口の周りに関連する痛みを研究する学会と同時開催でした。口の周りでは虫歯や歯周病はもちろんですがそれ以外の様々な病気によって痛みがsyつ元して、その痛みに悩まされることがあります。そのような痛みを研究しているのが口腔顎顔面痛学会です。
顎関節症も時に痛みも伴う病気です。痛みがあることは患者さんの苦痛であり、それを少しでも早く改善したいという患者さんの希望にできるだけこたえるべく今夏のこの同時開催はとても勉強になりました。
もちろんすべての痛みがすぐに改善できるとは限りませんが、最近の研究でわかってきたことや、アメリカの大学で留学して研修を受けた先生の講演などを聞くことができました。
顎関節症の診断方法が現在世界共通基準をつくろうという動きがあり、そのプロジェクトに日本の顎関節学会から複数参加をしているとのことです。現在の診断基準作成の進行状況などの報告もありました。
これからはますますグローバルな視点が必要になってくることになり、さらなる研鑽をつんでいこうと思います。
記 沼尾明弘