Question
乳歯のむし歯がひどいので永久歯こそ大切にしたいと思いますが、そんなことできるでしょうか?
Answer
もちろんです。まずは正しい生活スタイルを身につけること。今日からはじめましょう。
むし歯は、ひとつの原因で起きるのではなく、複数の因子がからんだ疾患です。次の4つの対策を、できるところからはじめてください。
①「甘いもののダラダラ食べ」を止める。
一番重要で、一番難しいのがこれ。赤ちゃんの頃から飴をもらって食べる習慣はありませんか。あるいはのどが渇いたら、水よりもジュースやイオン水を好んで飲んでいませんか。甘い物はデザートとして食事の直後にたっぷり与えましょう。手作りのおやつをドドーンと与えて満足させ、他人から飴をもらわない子どもにしつけられればベスト。のどが乾いたら「水」か「お茶」を飲ませます。これが守れると口の中のベトつきがだいぶ減ります。
②フッ素入りの歯みがき剤を乾いた歯ブラシに適量つけて、朝晩2回ていねいにみがく。
自分で磨かせた後で大人が行う、仕上げ磨きは必須です。
③虫歯の悪玉菌、ミュータンス菌を親子ともに口の中から減らす。
ミュータンス菌がつくるプラークは非水溶性なので、みがいてもみがいても落ちないレンジ汚れのような粘着度があります。毎食後、キシリトールガムかタブレットを食べることで、ミュータンス菌の数は減っていきます。ただし、歯みがきができていることが前提です。
④かかりつけの歯医者さんをもち、定期的に検診を受ける。
何でもなくても、15歳までは定期健診を受け、フッ素塗布やシーラント処置を受けましょう。
以上が実行できたら、ピカピカの永久歯に育ちますよ。がんばって!
ケガを防ぐためにはマウスガードが効果的だそうですが、どれくらいの効果があるのですか?
Question
ケガを防ぐためにはマウスガードが効果的だそうですが、どれくらいの効果があるのですか?
Answer
ある年の高校ラグビー全国大会でマウスガードを義務化したところ、ケガが減ったそうです。
マウスガードには、スポーツの競技中などに起こる口の中や周りのケガ、アゴの骨折、頚部へのダメージ、脳震盪(のうしんとう)などを予防する効果があります。マウスガードがなぜケガやダメージを予防する効果があるのかというと、いわばショックアブソーバーのはたらきをするからです。すなわち、弾力あるマウスガードの素材がクッションとなり、衝撃を吸収するのです。さらに、マウスガードを装着し、グッと噛みしめると、噛みしめたところの面積が広がります。その結果、衝撃が広く分散されることになります。1か所に集中して衝撃が伝わると、その歯にダメージが及んだり、アゴが骨折する要因になりかねません。
では、実際にどれくらい効果があるのかを調べた調査によると、3つの高校のラグビー部(計205名)で、マウスガード未使用時には、6か月間で87件の口の中や周り、アゴの骨折、脳震盪などを含めた外傷例がありましたが、全員マウスガードを使ったら6か月間で26件にまで減少しました。同じような結果は、他の調査でも数多く報告されています。また、最近では科学的根拠に基づいたマウスガード有効性を報告した研究もあります。
もちろん、マウスガードの材料がもっている許容範囲を超えるような大きな力を受けた場合は、ケガをしてしまいます。しかし、その程度や範囲は間違いなく小さくなることはご理解いただけるのではないでしょうか。
スポーツは、安全に行ってこそ楽しいものであり、健康づくりにも役立つのです。そのためにも、マウスガードを使いましょう。
デスクワークでずっと下を向いて作業をしていると、顎関節症が悪化すると聞きました、本当ですか?
Question
デスクワークでずっと下を向いて作業をしていると、顎関節症が悪化すると聞きました、本当ですか?
Answer
その可能性はあります。歯を食いしばることが多く、関節に負担をかけてしまうからです。
あなたが下を向いて、書いたり、パソコンを使ったりといったデスクワークをしている姿を想像してください。その時にあなたの歯はどこにありますか?通常は上顎の歯と下顎の歯はふれあうことはなく、空間を形成していて、その間に空気や舌が入り込むような状態になっています。しかし、すごく面倒な作業や複雑な作業をしていると、思わず歯を食いしばっていることが多くなります。食いしばりが一過性ならとくに問題はないのですが、その状態が長時間、長期間に及ぶと、顎関節症になったり、悪化させたりするのです。これはデスクワークに限らず、炊事など家庭での家事労働でも同じくらい、悪化の原因になりやすいのです。
これらの作業の何が問題なのかというと、実は下を向いて作業していることがいけないのです。うつむき加減で作業をしていると下顎は顔の前のほうに下がっていきます。唾液もよだれとして出やすくなるでしょう。これを避けるために、 歯を食いしばってしまうことが多いのです。この状態が長引くと、関節に器械的、生物学的負担をかけるので、ついには関節組織が壊れてしまいます。さらにかむために使う筋肉も疲労して筋肉痛が起こり、それが顔全体の痛みとして認識されることが多くなります。
予防法は簡単で、デスクワークでも家事でも、たとえばおしゃべりをするとか、歌を歌いながら作業をするとか、場合によってはガムを噛みながら作業をするなど、食いしばらないための工夫をすればよいのです。
矯正中の歯みがきでは、ふつうの歯みがきとはちがった注意が必要ですか?
Question
矯正中の歯みがきでは、ふつうの歯みがきとはちがった注意が必要ですか?
Answer
矯正中は歯みがきが難しい状況になるので、時間をかけて1本ずつみがくようにします。
一般的な矯正装置は、治療中は取り外しができず、歯に装着されたままになるので、一時的にせよ歯みがきが難しい状況になります。そこで、次の①~⑤に注意して、時間をかけて1本ずつみがくように指導しています。
① 最初、歯みがき剤はつけずにみがく。最初からつけると泡がでてさっぱりした気がするので、実際はみがけていなくてもみがいた気になってしまいます。最後に歯みがき剤をつけて仕上げみがきをするように。
② 手鏡を見ながらみがく。洗面台のような大きな鏡では、奥のほうがよく見えません。自分専用の手鏡を使うとよいでしょう。
③ 補助歯ブラシの使用。矯正装置は複雑な装置です。人によっては普通の歯ブラシだけでは上手にみがけない場合があります。細かいところは、インタースペースブラシなど小回りのきく小さなブラシを使います。
④ デンタルフロスの活用。歯と歯の間(隣接面)はなかなかみがけない場所。面倒でもフッ素つきのデンタルフロスを利用しましょう。
⑤ 洗口剤の利用。本人はちゃんとやっているつもりでも、残念ながらみがけていないこともあります。そこで、寝る前にフッ素含有の洗口剤でブクブクゆすぎましょう。
おすすめ歯ブラシは、小回りがきくようにヘッドは小さめで、毛の硬さはやわらかめ。硬いものは歯肉を傷めるので避けましょう。握り方は必ず鉛筆もちで、ていねいに1本ずつ磨いてください。矯正中の歯ブラシは装置のせいですぐ傷み、寿命がはやいのでこまめに取り替えましょう。
笑うと奥歯の金属が光って見えてしまいます。
Question
笑うと奥歯の金属が光って見えてしまいます。目立たなくするにはどんな方法がありますか?
Answer
金属の部分が小さいなら歯の色をしたコンポジットレジンやセラミックでおきかえられます。
気軽に始められる順にお答えしましょう。まずは、メイクアップにひと工夫。口紅を肌に近い淡い色にして目元を強調したメイクをすると、見る人の視線を口元から目元にそらす効果がありますよ。
次は、金属部分に歯のマニキュア(ホワイトコート)を塗り、金属色を隠す方法です。費用は1本2千円程度、耐久性は1~3ヵ月です。欠点は噛む面や下の歯に使えないため、口を大きく開けた時には金属が見えてしまいます。
ここからは、歯の金属をはずして行う処置の紹介です。はずした金属部分が小さいなら、コンポジットレジンと呼ばれるプラスチックのような材料を直接詰めることが可能です。これですとその日のうちに歯が白くなりますし、費用も保険内です。しかし、金属が大きい場合、削って歯を整え、次の来院時に、コンポジットレジンかセラミックスで作っておいた白い詰め物を、歯に接着します。この処置は保険外のことが多いです。
金属が冠の場合、神経の治療や土台づくりが必要となる場合が多く、来院回数が多くなります。しかし、セラミックスなどの冠で歯を覆ってしまうので、仕上がりはもっともきれいです。
どの材料や方法が適しているかは、噛み合わせなどの考慮もありますから、金属をとる前に先生と相談しましょう。笑うと見える金属の部分を一掃するのは、確かに高い治療費がかかる場合が多いです。でも、最高の笑顔で笑えるとしたら、それだけの価値があるのではないでしょうか。
4歳になる息子の口が臭くて。
Question
4歳になる息子の口が臭くて。むし歯もなく、歯や口に問題はないと思うのですが、ほかに原因があるのかしら?
Answer
1日中口臭が強いのでなければ生理的口臭の可能性が高いです。あまり神経質にならないように。
「むし歯がないのに口臭がある」のは不思議かもしれませんが、実際に調べてみると、意外にもむし歯のない子どものほうが口臭が強いようです。もちろん、歯に大きな穴があいて神経が露出したり、食べ物が詰まったりすれば、むし歯も口臭の原因になりますが・・・・。
坊やの場合、1日中口臭が強いわけではないはずです。いかがでしょうか?朝食前とか、幼稚園から帰ってきた時、そして外で遊んで帰ってきた時などに臭いませんか?このような状況でしたら、生理的口臭の可能性が高いです。何も飲み食いをしていない時間が1~2時間続きますと、細菌や粘膜の垢が増え、生理的口臭が出てきます。きちんとした証拠はないのですが、理論的には、歯の生え変わりも口臭の原因となります。
根本的な対策としては、まず口臭の原因となる歯肉炎や大きなむし歯がないか、歯医者さんで調べてもらってください。そして半年に1回は、必ず歯医者さんのチェックを受けましょう(定期的な歯科受診を坊やの一生の習慣にしてあげましょう。一緒にお母さんも健康のためにチェックを受けるとよいです)。また、舌が汚れていたら、舌ブラシで時々掃除してください。万一、1日中臭うとか、鼻息が臭い、吐瀉物に近い臭いがする、かび臭い、魚臭い、その他、特殊な臭いがするようでしたら、小児科医に相談しましょう。
お母さんにお願いしたいことは、神経質になりすぎないことです。親が気にしすぎて、萎縮してしまっている子どもを時々見かけます。子どもの心にはよくないことです。
全部歯を抜いて総入れ歯にしたら味がよくわかりません。
Question
全部歯を抜いて総入れ歯にしたら味がよくわかりません。どうしてなのでしょう?
Answer
総入れ歯の大きさや熱が伝わりにくい素材も原因の一つです。
味覚には、甘い(あまい)・酸(すっぱい)・苦(にがい)・鹹(しおからい)・辛(からい)があり、さらに「うま味」や「コク」などが加わり、複雑な組み合わせで味が形成されます。さらに味覚に影響する要素に、摂取した食品そのものの性状があります。温度(例:熱いスープ、アイスクリーム)、硬さ(例:固焼きせんべい、プリン)、歯切れ(スルメ、レタス)など、複雑な多岐にわたる「食感」です。
味覚を感じるための一番重要な器官は、舌の表面にある味蕾(みらい)です。また、唇、頬、ノド、の感覚もきわめて鋭敏です。総入れ歯は、上下の顎の土手(顎堤)を中心として、粘膜の大部分を覆うような形態をしているのが特徴です。入れ歯の歯ぐきに相当するピンク色の部分(義歯床)はプラスチック(レジン)でできていますが、入れ歯の安定やさまざまな外力に耐えるために、一定程度の厚みや長さを確保しなければなりません。しかもレジンは熱を伝えにくいため、レジンで粘膜を覆われるとどうしても味覚に影響することになります。また、舌ざわりも味覚に大きく影響します。
解決方法としては、入れ歯の強度や安定性を損なわない程度に義歯床を調整し、まず慣れることが必要かと思います。上顎(口蓋)部が金属でできた入れ歯(金属床)も選択肢の一つでしょう。金属床はレジン床に比べて薄く設計でき、熱の伝導性がよいため、熱いものは熱く、冷たいものは冷たい快適な食事ができます。しかし、金属床は保険がききませんので、費用の点で、かかりつけの先生とよく相談するようにしてください。
歯石を取りましょう!
(栃木県日光市の歯科 沼尾デンタルクリニックで実際に行われた治療例です。これらの写真は患者さんご本人の承諾を得て公開させていただいております。もちろん個人を特定できるものは一切掲載しておりません。)
-歯石が付いている歯って見たことがありますか?-
歯周病の原因のひとつに「歯石」があります。
歯石はばい菌の塊です。それが歯についたままにしておくと、そこから出てくる毒で歯肉や歯を支えている骨が炎症を起こしてしまいます。
炎症が起こると、歯肉がやせてきたり、歯を支えている骨が溶けてきたりします。
そうすると歯肉が腫れたり、膿がたまったり、歯がグラグラしてきたり、痛みが出てきたりします。
最終的には歯が抜け落ちてしまうか、抜かないと痛くてしかたない状態になってしまいます。
歯石がついたまま放置しておくと、そのように歯周病が進行してしまうので、歯石はとらなければいけません。
この写真は下あごの前歯の裏側です。歯と歯肉の境目に茶色い歯石が大量についています。
歯肉も暗赤色に変色し、丸くなって腫れています。
しかし、この状態でも本人にはまったく自覚症状がありません。痛くもかゆくもないのです。
相当、歯周病が進行しないと、痛みなどの自覚症状は出てきません。
-歯石を取った直後の写真-
上の写真が歯石を取った直後の状態です。
下の写真が歯石を取る前の状態です。
歯石を取ると、本来の歯の色である白くきれいな状態になっています。
しかし、歯石を取った直後はまだ歯肉が赤く腫れています。
これは、歯石がついていたために、歯肉が炎症を起こしているからです。
歯石を取ると血が出た経験がある方も多いと思いますが、これは歯石を取るときに歯肉を傷つけたり切っているわけではなく、
歯肉に炎症があって腫れているため、とても出血しやすい状態になっているからです。
歯石がついたままだと、この炎症がどんどん進行してしまいます。
でも、歯石を取って、汚れがつかないようにしっかりと歯ブラシができれば
炎症によって赤く腫れあがった歯肉は回復してきます。
-歯石を取って5日後の写真-
上の写真が歯石を除去したあと5日後の写真です。
下の写真が歯石除去をした直後の写真です。
赤く腫れあがっていた歯肉が、5日間でかなり正常な状態に回復しているのがわかると思います。
歯石を取っただけでこれだけ短期間に歯肉は回復してきます。
逆に言えば、歯石がどれだけ歯肉に悪影響を与えているかよくわかると思います。
そのために歯石は早急に取らないといけません。
いつまでもついたままにしておくと、どんどん歯周病が重症になっていき、このように回復しないほど病気が進行してしまうからです。
-歯石を取って回復していく歯肉-
歯石がついている写真
歯石除去直後
歯石除去2週間
上から初期の歯周病の術前・術直後・術後2週間と経過をした連続写真です。
治療後(歯石を取った後)2週間でこのように回復してきます。
治療をしなければ口の中が一番上の状態で、ずっとそのままになってしまいます。
歯石がついている茶色の部分は、歯周病のばい菌の塊です。
歯石を取らないでおいておくことは、口の中にばい菌の温床を残しておくことです。
そうなるとどんどんばい菌が繁殖してきます。
ばい菌の増殖は、口臭の原因にもなります。
歯石をついたまま放置しておくのなら、このようにきれいに掃除して、健康な歯肉を手に入れてみませんか?
(治療過程の写真をweb上でこのような形で匿名で使用することは、患者さんご本人の承諾を得て使用させていただいております。この場をお借りしてご本人へ改めて御礼を申し上げます。)
母はよく「口が乾く」と訴えます。水を与える以外に何かいい方法はありませんか?
Question:
母はよく「口が乾く」と訴えます。水を与える以外に何かいい方法はありませんか?
Answer
保湿作用のある薬やジェルなどを利用するほか、歯科や内科の先生に相談するとよいでしょう。
高齢者では、口が乾くという訴えは高頻度にみられます。原因として、唾液の分泌量の減少が基本にあります。詳細はまだわかりませんが、①加齢に伴う自然な唾液分泌機能の低下、②普段服用している各種薬剤の副作用によることが多いようです。
日本医薬品集に掲載されている薬の実に4分の1(約600品目)に唾液分泌減少の副作用、および高血糖、脱水といった結果的に口腔乾燥症状を引き起こす可能性のある副作用が記載されています。代表的なものは、抗うつ薬、降圧薬などですが、風邪薬やアレルギー性鼻炎の薬、睡眠薬、鎮静薬などでも唾液の分泌が減少します。このほかに、ふだんお口を開けて寝るなど、口呼吸があっても口は乾きます。
対策としては、口が乾いた時に水を含むと一時的に楽になります。ただし、水だけでは短時間で再びお口が粘っこくなったり、乾いたりします。ただし、水だけでは短時間で再びお口が粘っこくなったり、乾いたりします。そのため、保湿作用のあるヒアルロン酸を含んだ「絹水」や「オーラルウェット」などの保湿薬でお口を濡らすか、「オーラルバランス」という保湿作用のあるジェルをお口の内側に塗ります。口内保湿洗口剤の「マウスウォッシュ」という製品もあります。
もっと強力な効果を期待する場合は、唾液分泌刺激効果のある「サリグレン」「エボザック」という薬おありますが、これらは医師の処方が必要です。人口唾液の「サリベート」も同様に処方薬です。そのほかにも、漢方薬やお口周囲の刺激、唾液腺マッサージなど多くの治療法があります。いちど歯科や内科の先生にご相談されるとよいでしょう。
バイオフィルムという言葉を聞きました。これはどういうものですか?
Question:
バイオフィルムという言葉を聞きました。これはどういうものですか?
Answer:
物の表面と液体との境にできる微生物の巣で、口のなかで作られる歯垢(プラーク)もその一つです。
口のなかには、硬い物質である歯と唾液という液体があり、その境界部分の歯の表面に歯垢(プラーク)は作られます。まず唾液の中のタンパク質が歯の表面に薄い膜を作り、そこにむし歯菌(ミュータンス菌)がくっつきます。むし歯菌は食べ物の中の砂糖を利用してネバネバした物質(グリコッカス)を作り、自分たちの棲みやすい環境を整えます。そして、そのなかで数をどんどん増やし、やがてむし歯以外の歯周病の原因菌なども共同生活を始めるようになります。これが歯垢で、う蝕と歯周病を引き起こす悪の温床となります。
体のほかの部位では、緑膿菌などによって呼吸器や尿路、カテーテルの挿入などにバイオフィルムが作られる事があります。
バイオフィルムである歯垢のやっかいなところは、グリコカリックスがあるため、殺菌効果のあるうがい薬などが内部に浸透しにくく、中に棲んでいる微生物を死滅させにくい点です。さらに、微生物をやっつける、免疫を担当する細胞たちも、仕事をしたくても、その強固な守りにはばれてしまいます。
では、このバイオフィルムの脅威から歯や歯肉を守るにはどうしたらよいのでしょうか?
答えは簡単です。
歯ブラシを用いたブラッシングで、その構造を徹底的に破壊し、グリコカリックスごと微生物を取り除いてしまうことです。ブラッシングは、棲み家を失う微生物たちにとっては残酷ですが、私たちのからだを確実に守るためには不可欠な習慣なのです。